ペンギンは人々を魅了する、カリスマ性のある動物だ。
野生動物の観察や動物園で、ペンギンの印象的な外見と軽快なよちよち歩きを見て心を奪われたという人は多いだろう。2006年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した『皇帝ペンギン』をはじめ、ペンギンを題材にしたドキュメンタリー映像も世界中の人々をとりこにしてきた。 (参考記事:「2012年11月号 海を飛ぶコウテイペンギン」)
以前、Twitterで、@CheungEdwin909さんが、ペンギンはかわいいだけでなく賢いのかどうかとつぶやいていた。ペンギンは、カラスなどほかの鳥にも見られる知性、記憶力があるのかというのが@CheungEdwin909さんの疑問だった。そこで、ペンギンの知性や能力について、専門家に聞いてみた。
ペンギンの驚くべき知性
米セントルイス動物園の研究責任者デイビッド・パウエル氏は、知性というのは賢さだけではないと述べている。パウエル氏によれば、知性を評価する際は、狩りやナビゲーション(目的の場所に正しくたどり着くこと)など、「その動物にとって実際に意味がある」能力をテストすることが重要だという。 (参考記事:「「退化」は進化の一環、新たな力を得た動物たち」)
パウエル氏と同じく、セントルイス動物園で、鳥類キュレーターを務めるアン・ティーバー氏は、オウムやカラス科(カラス属、カササギ属など)は長い間、研究対象となっているが、ペンギンの認知能力に関する研究は少ないと話す。それでも「ペンギンの知性をカラス科の鳥と比較できることもある」とティーバー氏は述べている。
例えば、ペンギンはチャエリガラスのように、仲間と狩りを行う。アフリカの南端に生息するケープペンギンは、魚を捕まえやすいよう協力して誘導して、水面へと追い込む。「Royal Society Open Science」で発表された研究論文によれば、この方法は、1匹の魚を狙うより3倍近く効率的だという。 (参考記事:「研究室 渡辺佑基さん ペンギンカメラの衝撃」)
仲間と協力して狩りを行うには、「素早い情報処理が必要だ」とパウエル氏は話す。絶えず変化する仲間の動き、合図を統合し、「魚がどこに向かうのか、どうすれば捕まえられるかを予測」しなければならないからだ。
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