旧正月とは:世界で最も多くの人が移動する日々の起源と希望

中国の春節だけじゃない、世界の数十億人の人々が再会を祝う

2024.02.10
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春節のライトショーのリハーサルが行われる中国、西安市。家族の再会と希望の祝日である旧正月は、今では世界各地で祝われている。(PHOTOGRAPH BY VCG, GETTY IMAGES)
春節のライトショーのリハーサルが行われる中国、西安市。家族の再会と希望の祝日である旧正月は、今では世界各地で祝われている。(PHOTOGRAPH BY VCG, GETTY IMAGES)

 世界各地で祝われる旧正月(太陰暦の正月)には、例年、人の移動が地球最大規模で発生する。欧米ではChinese New Year(中国節)と呼ばれることもあるが、これは中国だけの祝日ではない。2024年は2月10日にあたる旧正月は、家族が再会し、おなかいっぱい食べ、にぎやかにお祝いをする伝統の行事だ。

春節の起源

 現代の中国では、実際には、世界の大半の国々と同じくグレゴリオ暦が使われている。しかし祝日に関しては、およそ4000年前から使用されていたとされる、伝統的な太陰暦に従っている。1912年、建国されたばかりの中華民国がグレゴリオ暦を正式に採用したとき、指導者たちは太陰暦の正月を「春節」として、今日の中国で知られているような祝賀を行うようになった。

インドネシアの舞踏集団が、旧正月を迎えるために龍の踊りを練習している。人々は何週間もかけて旧正月の準備をする。お祝いの風習にはさまざまなものがあるが、先祖への捧げ物、爆竹、家族との再会と祝宴は欠かせない。(PHOTOGRAPH BY ANDI M RIDWAN, SIPA USA/AP)
インドネシアの舞踏集団が、旧正月を迎えるために龍の踊りを練習している。人々は何週間もかけて旧正月の準備をする。お祝いの風習にはさまざまなものがあるが、先祖への捧げ物、爆竹、家族との再会と祝宴は欠かせない。(PHOTOGRAPH BY ANDI M RIDWAN, SIPA USA/AP)

 太陰暦は月の満ち欠けの状態によって決まるため、正月の日付は年によって異なる。旧正月を祝う国は、中国のほか、韓国やベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシア、その他中国人の多い地域でも旧正月を祝う。お祝いのやり方は国によってさまざまではあるものの、共通しているのは、これが再会と希望の祝祭であることだ。(参考記事:「ベトナム、旧正月を祝う花」

旧正月のお祝い

 中国では春節前後の期間に、いくつもの小さなお祭りや儀式がある。旧正月の前後7日間の国の祝日となっており、大晦日には、家族や親戚が集まって大勢で夕食をとりながらお祝いする。これは一年で最も大切な食事と考えられており、親戚の中でいちばんの高齢者の家で行われる。

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