毎年4月22日は、世界中の人々が故郷の地球を称えるアースデイ(地球の日)だ。アースデイの始まりは、1970年に米国の大学のキャンパスで行われた討論会だった。それがやがて、環境保護活動の成果を称え、これから行うべきことを再認識する日へと発展した。
もっとも環境への関心は、アースデイが制定されるずっと前から芽生えていた。14世紀から16世紀には、環境汚染や不衛生が伝染病の蔓延につながることを人々は懸念していた。また、土壌を保全する取り組みも、2000年前の中国、インド、ペルーまでさかのぼることができる。
アースデイがそれまでと違ったのは、一連の活動が環境関連のさまざまな法律の制定につながった点だ。すなわち、米国ではすぐに大気浄化法と水質浄化法が改正され、環境保護庁が設立された。
その後、アースデイは世界に広がり、公式サイトによるといまや10億人規模のイベントになっている。アースデイはなぜ、どのような経緯で世界中に広がったのだろうか。そして活動家たちは、なぜアースデイがサステナブル(持続可能)な未来につながることを期待するのかを見てゆこう。
環境問題×学生の反戦運動
1960年代の米国は、環境問題の黎明期にあった。多くの米国人が環境汚染の問題を認識するきっかけとなったのは、1962年に出版されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』だった。自然愛好家で元海洋生物学者のカーソンはこの名著を通して、当時農薬として広く使われていたDDTが食物連鎖に入り込み、人間や動物のがんや遺伝子の損傷の原因となることを詳しく記述した。
『沈黙の春』は瞬く間にベストセラーとなり、人々は最新の技術が環境に与える影響に疑問を持ち始めた。『沈黙の春』は環境保護活動が加速する土台となったが、具体的な環境保護規制が法制化されるには、さらに8年が必要だった。
環境保護活動に大きな影響を与えたもう一人の人物が、アースデイの父でもあるウィスコンシン州選出の民主党上院議員(当時)ゲイロード・ネルソンだ。進歩主義者で自然を愛するネルソンは、精力的に環境保護立法に取り組んだ。たとえば、1964年には連邦政府の土地を守る「原生自然法」が、1968年には自然河川を保護する手続きを定めた「原生・景観河川法」が制定されている。(参考記事:「アメリカが未来へ残す原生の自然」、「美しき川の流れ」)
続く1969年1月、カリフォルニア州サンタバーバラで大規模な原油流出事故が起きた。たくさんの鳥が死に、多くのカリフォルニアのビーチが汚染された。当時、米国で起きた最大の原油流出事故であり、カリフォルニアでは今もこれを超える規模の惨事は起きていない。
この事故を受けてネルソンは、環境保護活動を展開する新たな草の根運動を思い立つ。
反戦運動に身を投じる学生たちにも刺激されたネルソンは、環境保護でも同じような活動を起こせないかと考え、教員と学生による環境をテーマにした討論会を提案した。日程は1970年4月22日。できる限り多くの学生に参加してもらおうと、春休みと期末試験のちょうど中間を選んだ。
さらにネルソンは、カリフォルニア選出の共和党下院議員ピート・マックロスキーと、若い活動家デニス・ヘイズに声をかけ、座り込みを企画した。これはすぐに、現在でもアースデイを象徴する抗議活動として発展することになった。討論会当日の4月22日には関心は大いに高まっており、2000の大学と1万の学校、そして2000万人の米国人が、デモや河川の清掃などを通じて最初のアースデイに参加した。
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