持続可能なツーリズムを目指して、9つの島からなるアゾレス諸島

「いつか訪れたい旅先25 2023年版」第6回 自然編

2023.01.29
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アゾレス諸島のサン・ミゲル島付近に群がるマッコウクジラの子どもたち。(PHOTOGRAPH BY ANDY MANN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
アゾレス諸島のサン・ミゲル島付近に群がるマッコウクジラの子どもたち。(PHOTOGRAPH BY ANDY MANN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 大西洋の中央部に位置する火山群島であるアゾレス諸島は、ポルトガル領の自治地域。ポルトガル本土からは1600キロほど離れている。大西洋に浮かぶこの島々は、世界でも有数のホエールウォッチングのスポットだ。

「アゾレス諸島は9つの島から構成されていて、島ごとに習慣も言葉のアクセントも違うんです」と話すのは、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーであるマリアム・クエスタ・ガルシア氏。彼女はピコ島に営巣する海鳥の夜行性活動を研究する海洋生物学者だ。「でも、アゾレス諸島には、持続可能性を目指す共通のビジョンがあります。ここのユニークな環境を守る必要があることを知っているからです。変化が起きたときにでも、同じままでいられるようにです」

 アゾレス諸島では全9島のうち4島がユネスコの生物圏保護地域に指定されているし、世界自然保護基金(WWF)は諸島全体を28種のクジラ・イルカ類にとって重要な生息域だとしている。そのため、アゾレス自治地域は持続可能なツーリズムを重要視している。オーストラリアを拠点にする国際的な諮問機関で、グリーン・ツーリズムをリードする「アースチェック」によって、諸島としては世界で初めて「持続可能な旅行先」であるとの認証を受け、2019年には同機関から賞も授与された。

 アゾレス諸島は現在、環境保全と生物多様性の保護、水質や大気質の維持・改善、先住文化の保全に注力している。たとえば、ピコ島の迫力ある火山性の景観を末永く楽しんでもらえるようにと、当局はポルトガルの最高峰ピコ山への入山者数を制限している。

ギャラリー:いつか訪れたい旅先25 2023年版(画像クリックでギャラリーページへ)
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トリニダードトバゴ(PHOTOGRAPH BY BRIAN SKERRY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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※「いつか訪れたい旅先25 2023年版」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。

文=NATIONAL GEOGRAPHIC STAFF

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