「クッキー列車」に「チョコレート列車」も、家族で楽しむスイスの鉄道旅

「いつか訪れたい旅先25 2023年版」第16回 家族編

2023.04.29
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
歯車式の登山鉄道、リギ鉄道。スイスの山の女王と呼ばれるリギ山を登りながら、ルツェルン湖の美しい景色を眺めることができる。(PHOTOGRAPH COURTESY CHRISTIAN MEIXNER, SWITZERLAND TOURISM)
歯車式の登山鉄道、リギ鉄道。スイスの山の女王と呼ばれるリギ山を登りながら、ルツェルン湖の美しい景色を眺めることができる。(PHOTOGRAPH COURTESY CHRISTIAN MEIXNER, SWITZERLAND TOURISM)

 人口870万人ほどのスイスでは、毎日660万人が鉄道やバスといった公共交通機関を利用する。家族旅行で訪れるなら、時間に正確なことで有名な鉄道の旅がおすすめだ。雄大な山々の絶景や素朴なクッキーを楽しめるほか、名物のチョコレート工房を訪ねるツアーもある。

 ゴッタルド・パノラマ・エクスプレスの旅は、ルツェルンから蒸気船に乗って湖を渡るところから始まる。フリューエレンの町に上陸したら、いよいよ列車に乗って、イタリアの影響が色濃い南部に向けて出発。いくつもの言語を使いこなせるガイドが、18世紀に建てられたワッセンの教会をはじめとする名所を教えてくれる。ワッセン付近で列車は高度を上げるためにループ状の線路を走るので、この有名な教会を3方向から眺めることができる。窓が開けられる車両なら、ロイス川流域のような雄大な景観を写真に収めることも可能だ。

 首都ベルンとルチェルンを結ぶ「クッキー列車」に乗れば、1910年創業のクッキーメーカー「カンブリー」の工場に立ち寄れる。子どもと一緒にクッキー作りを体験できるので、お土産に持って帰ろう。モントルーを出発する「チョコレート列車」では、乗車するとまずチョコレート・クロワッサンとホット・チョコレートが振る舞われる。その後、中世の古い町並みや世界的に有名なチーズがあるグリュイエールに立ち寄り、ブロでは「メゾン・カイエ」のチョコレート工場を訪れることができる。

 無料の「スイス・ファミリー・カード」を持っていれば、16歳以下の子どもは無料か半額で鉄道を利用できる。「このカードがあれば、思いのままにスイスをめぐることができます」と話すのは、ナショナル ジオグラフィックの家族旅行の専門家ヘザー・グリーンウッド・デービス氏だ。「長距離列車には遊具を備えた家族専用の車両や、子どもたちを飽きさせないように、テーブルにゲームが組み込まれた家族ゾーンもあります」。冬には、スイスの公共交通機関を利用して、持続可能性を重視するラークスなどのスキーリゾートを訪ねるのもいいだろう。家族一緒に受けられるスノーボード教室もある。

ギャラリー:いつか訪れたい旅先25 2023年版(画像クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:いつか訪れたい旅先25 2023年版(画像クリックでギャラリーページへ)
スコットランド高地(PHOTOGRAPH BY ROBERT ORMEROD, NATIONAL GEOGRAPHIC
関連記事 ギャラリー:鉄道で行く世界の絶景 写真16点 今はなき「死者を運ぶ鉄道」の歴史、19世紀の英国 廣田あいかインタビュー:路線図が切り開いた鉄道好きへの道

※「いつか訪れたい旅先25 2023年版」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。

文=NATIONAL GEOGRAPHIC STAFF

おすすめ関連書籍

世界の地下都市 大解剖

立体イラストで巡る、見えない巨大インフラ

世界の大都市の地下空間に建設された様々な構造物を精密な立体イラストで解説。中でも世界各都市の地下鉄建設史を詳しく紹介。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕

定価:3,520円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加