人口870万人ほどのスイスでは、毎日660万人が鉄道やバスといった公共交通機関を利用する。家族旅行で訪れるなら、時間に正確なことで有名な鉄道の旅がおすすめだ。雄大な山々の絶景や素朴なクッキーを楽しめるほか、名物のチョコレート工房を訪ねるツアーもある。
ゴッタルド・パノラマ・エクスプレスの旅は、ルツェルンから蒸気船に乗って湖を渡るところから始まる。フリューエレンの町に上陸したら、いよいよ列車に乗って、イタリアの影響が色濃い南部に向けて出発。いくつもの言語を使いこなせるガイドが、18世紀に建てられたワッセンの教会をはじめとする名所を教えてくれる。ワッセン付近で列車は高度を上げるためにループ状の線路を走るので、この有名な教会を3方向から眺めることができる。窓が開けられる車両なら、ロイス川流域のような雄大な景観を写真に収めることも可能だ。
首都ベルンとルチェルンを結ぶ「クッキー列車」に乗れば、1910年創業のクッキーメーカー「カンブリー」の工場に立ち寄れる。子どもと一緒にクッキー作りを体験できるので、お土産に持って帰ろう。モントルーを出発する「チョコレート列車」では、乗車するとまずチョコレート・クロワッサンとホット・チョコレートが振る舞われる。その後、中世の古い町並みや世界的に有名なチーズがあるグリュイエールに立ち寄り、ブロでは「メゾン・カイエ」のチョコレート工場を訪れることができる。
無料の「スイス・ファミリー・カード」を持っていれば、16歳以下の子どもは無料か半額で鉄道を利用できる。「このカードがあれば、思いのままにスイスをめぐることができます」と話すのは、ナショナル ジオグラフィックの家族旅行の専門家ヘザー・グリーンウッド・デービス氏だ。「長距離列車には遊具を備えた家族専用の車両や、子どもたちを飽きさせないように、テーブルにゲームが組み込まれた家族ゾーンもあります」。冬には、スイスの公共交通機関を利用して、持続可能性を重視するラークスなどのスキーリゾートを訪ねるのもいいだろう。家族一緒に受けられるスノーボード教室もある。
※「いつか訪れたい旅先25 2023年版」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。
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