星空ウォッチングで知っておきたい、見つけやすい5つの星座

アンドロメダ座からおおぐま座まで、まずは夜空の「目印」を見つけてみよう

2023.11.30
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米カリフォルニア州ヨセミテにある、垂直に切り立つエル・キャピタンの上で輝くアンドロメダ座。北半球では8月から2月にかけて見られる。(PHOTOGRAPH BY BABAK TAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
米カリフォルニア州ヨセミテにある、垂直に切り立つエル・キャピタンの上で輝くアンドロメダ座。北半球では8月から2月にかけて見られる。(PHOTOGRAPH BY BABAK TAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 ただ眺めるだけでも星空は美しい。だが、夜空を彩る星々のことをよく知り、星空の目印がわかれば、夜空を仰ぎ見るのはもっと楽しくなる。もしどこから始めたらいいかわからなければ、古代ギリシャ・ローマ時代から受け継がれてきた有名な星座から覚えるといいだろう。ここでは、なかでも目立つ5つの星座を紹介する。初心者でも肉眼で見つけやすく、星団や星雲、銀河なども含まれている。

アンドロメダ座

 鎖につながれた王女アンドロメダをかたどったアンドロメダ座は、北半球では8月から2月にかけて見ることができる。この北の空の大きな星座はペガススの大四辺形(隣のペガスス座の体に相当する)とつながっているので、かなり目立つ存在だ。

 アンドロメダ座で最も明るいアルフェラッツは、王女の頭を形づくると同時に、ペガスス座の一部でもある。この青い巨星は地球から97光年離れたところにあり、太陽の200倍もの明るさで輝いている。

 アンドロメダ座の4つの主な恒星は、東に膨らむカーブを描いて並び、ミラクがアンドロメダの腰、アルマクが鎖でつながれた足を表している。ミラクは見た目の明るさがアルフェラッツとほぼ同じだが、197光年離れた大きな赤色巨星である。

 アンドロメダ座は北半球の星座とされるが、星座を構成する星は南半球からも見ることができる。と言っても、いつも地平線近くに垣間見えるだけなので、有名な深空天体を観察するのはやや難しい。

 深空天体の中でも特に有名なのが、巨大な渦巻銀河のアンドロメダ銀河だ。メシエ31(M31)とも呼ばれるこの銀河は、私たちの天の川銀河に最も近い大型銀河で、250万光年の彼方に位置している。(参考記事:「アンドロメダ銀河が2つの巨大な「泡」を噴出?」

 驚くことにアンドロメダ銀河は、秋の晴れた夜に郊外で観察すれば、肉眼でも見ることができる。人間の目で見える宇宙で最も遠い天体の1つだ。

おおいぬ座

おおいぬ座の首星はとても明るいシリウスだ。ポルトガルのアルケバ星空保護区で撮影。(PHOTOGRAPH BY BABAK TAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
おおいぬ座の首星はとても明るいシリウスだ。ポルトガルのアルケバ星空保護区で撮影。(PHOTOGRAPH BY BABAK TAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 おおいぬ(大犬)座は、狩人オリオン(後述)に従う2頭の忠実な猟犬の大きいほうで、オリオンの足下に立っている。天の赤道のすぐ南に位置することから、世界中のほとんどの地域から見ることができ、しかも見つけやすい。おおいぬ座の首星は燦然(さんぜん)と輝くシリウスだ。

 英語で真夏の一番暑い時期を「犬の日」(ドッグ・デイズ)と言うが、これはシリウスの別名「犬の星」にちなんでいる。古代の北半球の天文家たちは、非常に明るい「犬の星」が太陽とともに昇り、沈むことに気づいていた。この2つの太陽の力が合わさることで、夏の終わりに暑い日が続くと考えたのだ。(参考記事:「英語で夏の盛りを「犬の日々」と呼ぶのは夜空と関係」

 双眼鏡や望遠鏡で観察するなら、おおいぬ座は星団の宝庫と言える。その筆頭が、シリウスから南に4度しか離れていない美しい散開星団M41で、別名「小さな蜂の巣」とも呼ばれている。80個あまりの恒星でできたこの4等級の星団は、2300光年も離れているのに、暗い夜なら肉眼でもぼんやりした斑点として見える。家庭用望遠鏡を使えば、星団の中にオレンジ色の星が散らばる印象的な姿が見られる。

次ページ:古代にはヨーロッパからも見えていた南の星座も

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