いまは何時? 携帯電話やパソコンを見れば、かなり正確な答えがわかるだろう。時刻は不変のペースで刻まれているように思えるが、実は私たちの時計は何十年もの間、数年ごとに「うるう秒」を挿入して調整されてきた。
これは、原子時計と地球の自転に基づく時計を合わせるためであり、そうして調整された時計が長い間、国際的な時刻の基準になっていた。ところが、科学者たちはうるう秒を廃止することにした。うるう秒の何が問題なのだろうか?
「秒」を定める
「秒」という時間の単位は、24時間の天文学的な1日(地球の1回転)を単純に8万6400分割して作られた。ただ、一つだけ問題があった。地球は毎日同じ速度で自転しているわけではなく、わずかに変化するのだ。そして、重力や摩擦、地表の振動などの環境的および物理的な影響により、最も精巧で信頼性の高い時計でさえ、わずかに不正確になる。
しかし、物理学と原子に対する理解が深まるにつれ、「秒」そのものが再定義された。
従来の時計で周期を生み出していた振り子や水晶などの振動とは異なり、原子は極めて一定のペースで放射線を放ち、吸収する。このより確かな原子の振動の周期が、1940~50年代に開発された最初の原子時計の基礎となり、1967年には世界共通の単位系を管理する国際機関「国際度量衡総会(CGPM)」で、秒は「セシウム133原子が91億9263万1770回振動する時間」と定められた。(参考記事:「1kgの定義、原器から「原子の数」へ」)
うるう秒とは
こうして決められた「原子秒」の採用は、極めて正確で不変な時間を定義する方法だった。しかし、困った問題が生じた。原子秒は地球の自転に基づく天文学的な秒とは一致しないのだ。平均すれば、地球の自転で決まる1日は原子時計の1日(8万6400原子秒)よりわずかに長い。(参考記事:「20数億年前に地球の酸素急増の謎、1日が長くなったから? 新説」)
そこで、両者のずれを解消するために、科学者たちは1960年代後半に会合を開き、原子時計に基づく世界的な時刻の基準である「協定世界時(UTC)」に時々秒を追加することを決定した。この「うるう秒」により、UTCと天文学的な時刻は再び同期するようになった。
しかし、これにより長期間、UTCを監視・調整する必要がでてきた。1972年にうるう秒による調整が始まってから、これまでUTCにはうるう秒が27回挿入されている。特にGPSや電力網、インターネットなどさまざまな産業で標準的な時刻の重要性が高まっているなか、うるう秒を挿入しなければならないのはトラブルのもとであり、技術的な頭痛の種となっていた。(参考記事:「なぜ「うるう秒」ではトラブルが起きやすいのか」)
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