米国の家庭がとても欲しがり、レストランでは大胆なレシピを生み出しているもの。その正体はチリクリスプで、今や食品界のスターだ。トウガラシ、油、そしてニンニク、タマネギ、サンショウ、さらには発酵大豆などが入った中国の調味料であり、その万能性と刺激で存在感を示している。
しかし、どうしてこのような調合になったのだろう? ここでは、チリクリスプがどのように生まれ、なぜ今これほど愛されているのかを紹介しよう。
スパイシーな始まり
「トウガラシは昔から中国にあったわけではない」と米ウィットマン大学の歴史学教授で、『The Chile Pepper in China: A Cultural Biography(中国のトウガラシ:その文化史)』の著者でもあるブライアン・ドット氏は述べている。トウガラシは中南米原産で、探検と貿易が盛んになる16世紀ごろまで、中国では存在を知られていなかった。(参考記事:「コロンブスを航海に向かわせた、トウガラシをめぐる冒険」)
中国でトウガラシが最初に記録されたのは1591年で、絶賛とは程遠いものだった。「調味料としても薬としても、あまり興味を示していませんでした」と、ドット氏は現在の上海近郊に暮らしていた脚本家ガオ・リアンの記述から分析している。その代わり、ガオはトウガラシを観葉植物にしていたようだ。
しかし、中国の上流階級が自宅の庭でトウガラシを楽しんでいる間に、大衆はこの刺激的な植物を食べて楽しむようになった。1765年までには湖南省でトウガラシがソースや酢、香味油、漬物の風味付けに使われていた、と地元の歴史家は記している。トウガラシが登場する中国の古い料理本『Harmonious Cauldron(調和の大釜)』には、チリクリスプをほうふつさせる調味料のレシピまで載っている。(参考記事:「トウガラシが辛いのは菌類を撃退するためだった」)
1790年ごろに書かれたこのレシピは、短くてスパイシーだ。「まずはごま油。ごま油にトウガラシを丸ごと入れ、完全に火を通す。トウガラシを取り出し、油だけを後から使うために取っておく」
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