「シン・ウルトラマン」=おっさんホイホイの理由 原作忠実性、現代的テーマ、コント性の黄金比率

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映画『シン・ウルトラマン』公式サイトより。(C) 2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C) 円谷プロ

映画『シン・ウルトラマン』が好調だ。興行通信社が発表した5月21、22日の週末全国映画動員ランキングでは2週連続で1位、累計興行収入はすでに20億円を突破している。

観に行く前は、重々しい作品になるだろうと少しばかり緊張した。同じく、脚本:庵野秀明、監督:樋口真嗣による『シン・ゴジラ』(2016年)のヘビーな仕上がりを思い出しながら。

また、ネット等で事前に目にした批評も、非常に硬派で濃厚な書き方をしているものが多く、かつ賛否両論だったことも、緊張に拍車をかけた。

しかし、映画館で観ている途中から、その緊張が緩んでいくのが分かった。さらには、思わず笑ってしまうシーンもチラホラ出てきた。平日午前中ということもあり、比較的空いていることをいいことに、マスクの下で「おいおい」「マジかよ」「あちゃー」と、小声でつぶやきながら観た。

おっさんホイホイとしての『シン・ウルトラマン』

そして「これは我々、中高年男性が、理屈抜きに楽しめる映画なのではないか」と思い直した。言わば、「おっさんホイホイ」としての『シン・ウルトラマン』(なお、この「おっさんホイホイ」はアース製薬「ごきぶりホイホイ」からの引用で、おっさん世代がいとも簡単に吸引されることを表している)。

先に断っておけば、私はウルトラマンや特撮のマニアではない。ただそんな普通の(?)55歳による意見を、硬派で濃厚な論評の中に混ぜておいてもいいと思ったのだ(注意:以下、少しだけネタバレ含みます)。

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