地元の「がごめ昆布」をコスメにした起業家の挑戦 ラグジュアリービジネスに参入した若手を紹介

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日本発の「新しいラグジュアリー」企業をご紹介。その共通点とは?(写真:saki/PIXTA)
これから2030年にかけて、世界・経済・ビジネスなどを考えるうえで重要な考え方の1つが「ラグジュアリー」です。「はいはい、自慢が趣味の、品のない人たちが好むやつね」「高級ブランドが使いたがる言葉でしょ」と思う人もいるかもしれません。しかし、いま若い世代や感度の高い人たちが注目する「新しいラグジュアリー」は、そうしたものとは一線を画します。
またその中心を担うのは、数年前には「ビジネスで何の役に立つんだ?」「もっと使える知識を教えるべき」とさえ言われた人文系の分野。つまり歴史や文学、哲学などの知識こそ、これから大いに必要とされるのです。
「新しいラグジュアリー」とはどんなもので、いま世界ではどんな動きが始まっているのか。人文系の内容を中心としながら、IT企業の戦略責任者やマーケター、テクノロジー分野の投資家などからも称賛され、各媒体の書評でも多く取り上げられている書籍『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義』から、3回にわたってお伝えします(2回目)。
1回目:ビジネスに歴史や美術、文学の視点が必要な理由

京都の老舗企業のように、すでに立派な歴史遺産・文化遺産を持つところは別として、「日本で新しいラグジュアリーをつくるなんて無理」という声をしばしば耳にします。ヨーロッパで兆円単位のビジネスを行う巨大ラグジュアリーコングロマリットを想定すれば、そのような声が出るのも無理はありません。

しかし、そのような巨大コングロマリットにしても、元をたどれば1990年代から形成・発展していった形態に過ぎません、各ブランドの大半は、傘下に収まる前は、家族経営でニッチな市場を握っていました。

ラグジュアリースタートアップの芽生え

新しい時代のラグジュアリーはむしろ、小さなスタートアップから始めやすいのです。かつては閉鎖的・特権的なものだったラグジュアリーは、来るべき未来においてはオープンで、ローカル文化に根づき、つくり手自身にも尊厳を感じさせ、購買者にも深い意味を与える、透明性の高いものになるでしょう。そのような新しいラグジュアリーの可能性や萌芽は、日本にも見ることができます。

日本発の「新しいラグジュアリー」企業として筆頭にくるのが、「マザーハウス」です。1981年生まれの山口絵理子さん率いる同社は、「途上国から世界に通じるブランドをつくる」という目標を掲げ、2006年に設立。以来、バングラディシュ、ネパール、インドネシアなどで、それぞれの土地の素材や文化を活かしたフェアなものづくりを行っています。丁寧につくられた上質なバッグやジュエリーを中心に扱うほか、最近ではチョコレートも扱っています。

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