新たな乗り鉄を発掘、北条鉄道「キハ40」導入戦略 都会人の「オアシス」的存在として期待が高まる

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北条鉄道のキハ40には長く運転した五能線というか東北を思わせる風景があった(写真:谷川一巳)
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2022年3月、兵庫県の第三セクター鉄道である北条鉄道に国鉄型キハ40ディーゼルカーが運行をはじめた。運行開始から少し時間を経た週末、久しぶりに北条鉄道を訪ねてみた。

北条鉄道は元国鉄北条線を引き継いだ第三セクター鉄道で、関係する加西市、小野市、そして兵庫県と地元企業が出資する。JR加古川線と神戸電鉄が乗り入れる粟生から、終点の北条町まで13.6kmのミニ路線で、目立った勾配や山越えはなく、平坦な単線非電化のローカル線である。

日本には地域の鉄道が数多くあるが、きわめて地味な存在といっていいかもしれない。国鉄の民営化時、不採算路線として切り離され、これといった観光資源に恵まれているわけでもない。地域需要だけではなかなか経営も難しいのではないかと思われる鉄道会社だ。そんな鉄道にキハ40がやってきたのだ。

ピカピカのキハ40にテンションも上がる

筆者は前日、姫路に宿泊、加古川で加古川線へ乗り継いで北条鉄道の起点である粟生を目指した。加古川線の列車はロングシートの2両編成、日曜日だったせいか、仕事利用の人は見ないが、週末の気軽な日帰り旅行と思しきカップルや熟年夫婦でそこそこの乗車率であった。

ところが、加古川線の列車が粟生に到着すると、多くの人が下車した。週末の日帰り旅行と思しき客は北条鉄道が目当てだったようで、思っていたより北条鉄道の人気が高まっていると感じた。キハ40形導入は鉄道ファンもさることながら、一般客の集客に効果を発揮しているとも感じた。

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北条鉄道には3両のディーゼルカーが在籍していた。第三セクター鉄道でよく見るタイプで、1両はすぐ近くにあった同じく第三セクター鉄道の三木鉄道が廃止になったとき譲り受けたものである。

しかし、これら在籍する車両が引退するわけではなく、路線を延ばすわけでもないのにキハ40形導入となった経緯は、路線のほぼ中間の法華口駅に列車の行き違い設備を設け、増発が可能になったためである。

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