賛否両論の「デジタル給与」押さえておきたい論点 それでも進めたい?見えてくる政府側の思惑

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話題のデジタル給与、どう捉えたらいいでしょうか(写真:Luce / PIXTA)

「デジタル給与がいよいよ解禁へ」というニュースを目にした人は多いだろう。

ひと口に言えば、給料がスマホ決済アプリなどのアカウントに入金できるようになるというもの。ネット上の反応を見ていると、歓迎する声もそうでない声もとまちまちだが、問答無用で給料の全額がキャッシュレス決済口座に入るということではない。ただ、今後会社によっては導入される可能性は大いにあるといっていい。

厚生労働省の審議会で検討されている内容をもとに、我々利用者にどんなメリットはあるのか考えてみたい。

急にふってわいた話ではない

まず、デジタル給与は降ってわいた話ではなく、数年前から議論されてきたもの。例えば日本の銀行口座を作りにくい外国人労働者にとって、アカウント開設が簡単なデジタル給与は利点がある。日払いなどの短期バイトで働く人や、副業での報酬も、月払いでなく散発的な支払い方が可能になれば便利だ。このような多様な働き方への対応策として期待された面もあった。

しかし、今回は正規労働者の給与がまるごとデジタル化されると感じた人もいたようで、不安の声が上がったのだろう。

現行の労働基準法では、賃金は通貨で直接、労働者にその全額を支払わなければならないのが原則だが、労働者が指定する銀行その他の金融機関への振込みも可能としている。これに加えて、基準を満たした資金移動業者(スマホ決済事業者など)口座への振り込みもできるようにしようというわけだ。

なお、口座の上限は100万円以下、出金は1円単位とし、月1回程度無料で出金できるようにする。万が一、業者が破綻した場合は、破綻から4~6日以内に労働者に残高の全額を保証する。

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