逆転の発想で大ヒットした「ホンダ」4台の救世主 クリエイティブ・ムーバーに宿るホンダらしさ

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オデッセイ、CR-V、ステップワゴン、S-MXからなるクリエイティブ・ムーバー(写真:本田技研工業)
20~30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく。

ホンダは、1990年代に「クリエイティブ・ムーバー」と呼ぶモデルを続々と登場させ、ヒットを連発させた。それは1994年の「オデッセイ」、1995年の「CR-V」、そして1996年の「ステップワゴン」と「S-MX」だ。

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これらクリエイティブ・ムーバーは、ピンチの中で生まれたモデルであったが、ホンダを大きく成長させる救世主となった。

ピンチが生んだ画期的な4モデル

これらクリエイティブ・ムーバーとは、どんなものだろうか。それは、「使う人の生活をより楽しく、豊かに広げていける『生活創造車』を目ざしたホンダの新発想のクルマ」だという。正直、具体性がなく雲をつかむような説明だ。

しかし、そこからは「新しいクルマを送り出したい」というホンダの意気込みが伝わってきたし、実際にクリエイティブ・ムーバーは画期的なものばかりであった。

第1弾モデルとなったオデッセイは、3列シートを備えたMPV(多人数乗車モデル)であったけれど、車高が低くてセダンと同じヒンジ式の4枚ドアを備えていた。

オデッセイはアコードのプラットフォームをベースに開発された(写真:本田技研工業)

MPVといえば箱型のミニバンが常識だったところに、セダンライクのまったく新しいスタイルを提案したのだ。

第2弾のCR-Vは、SUVである。しかし、その内容は当時として常識外れであった。当時のSUVは「クロスカントリー4WD」と呼ばれており、ラダーフレーム構造のボディにオフロード走行を重視した足回りを持つ、屈強なオフローダーのことであった。

CR-VはトヨタのRAV4とともに「ライトクロカン」というジャンルを確立(写真:本田技研工業)

ところがCR-Vは、乗用車と同じモノコックのボディを使い、セダンやステーションワゴンのような乗り心地を実現したのである。これにも大いに驚かされた。

そして、ミニバンであるステップワゴン。これも、乗用車と同じモノコックを採用するFF(前輪駆動)車で、当時のミニバンが商用車ベースのFR(後輪駆動)だった中で先鋭的だった。

ステップワゴンのヒットによりノア/ヴォクシーなどの追随モデルが生まれた(写真:本田技研工業)

最後のS-MXは、ステップワゴンの全長を切り詰めた背の高い箱型のコンパクトカー。トヨタ「ルーミー」をはじめ、今となっては珍しくないボディタイプだが、当時としては目新しいものであった。

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