重力に逆らって上昇する日経平均の下落はいつか 世界の投資環境はどんどん悪くなっている

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日経平均株価は3万1000円台どころか3万2000円も通過点となりそうな勢い。だが「砂上の楼閣」の上に楼閣を重ねている可能性がある(写真:ブルームバーグ)

日本株、とくに日経平均株価は「『砂上の楼閣』の上に楼閣を重ねるような動き」が続いている。

シカゴの先物価格などの値動きからすると、6月5日の日経平均は3万2000円近辺でスタートしそうな勢いだ。ただ、「こうした株価上昇は短期的には危うい」という筆者の見解は変わっていない。また日経平均の安値予想値も、前回の当コラム「暴走している日本株はいずれ『正常化』で下落する」(5月22日配信)で上方修正した2万7000円から変更はない。

さらに、「日本株はいったん下振れする」と考える背景についても、前回のコラムで述べたとおりだ。確かに経済面では日本の内需は想定以上に堅調だが、世界経済の悪化に伴い、日本の外需(輸出)が不振である点を指摘した。

「円安だから日本の輸出株は買い」などと言っている場合ではない。また、短期筋が中心となって、日本の金融緩和維持、ウォーレン・バフェット氏の日本株への前向きな姿勢、東証の低PBR(株価純資産倍率)企業に対する改善要請など、日本株独自の買われすぎ要因を「格好のネタ」にして日本株買いを行っていることについても、やはり前回のコラムを参照されたい。

アメリカの金融政策は経済や株価、ドル相場に逆風

今回は主として、前回配信後から2週間ほどの間に起きた出来事に絞って材料を並べよう。この期間だけを眺めても、世界的に景気やほかの投資環境の悪化を示す要因が目白押しだ。

アメリカでは、同国の中央銀行に当たる連銀の高官から、タカ派的な発言が相次いでいる。そうした中、5月24日のクリストファー・ウォラー理事の講演は注目を集めた。

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