水族館の入館者を3倍にした戦略の「急所」とは? 「強み」をゼロから作り上げたクラゲ水族館

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存続の危機にあった水族館を救い、ギネス掲載にまでつながった「クラゲ戦略」(写真:Toshi/PIXTA)
当然ですが企業にとって「売上を上げる」ことは存続をかけた大問題です。しかし、「売上を追っても売上は上がらない」と断言するのは、『ドリルを売るには穴を売れ』などのベストセラー著者でマーケティング・コンサルタントの佐藤義典さん。『顧客の「買いたい」をつくる KPIマーケティング』の著書もある佐藤さんに、戦略的な売上の作り方を聞きました。
今回はゼロから「強み」を作り、存続の危機から入館者を3倍にし大人気となった「クラゲ水族館」の戦略をご紹介します。

存続が危ぶまれる状態だった加茂水族館

山形県鶴岡市立加茂水族館は、今となっては「クラゲで有名な水族館」としてメジャーな存在となりましたが、クラゲ展示を始める前は、存続が危ぶまれる状態で、加茂水族館のホームページに掲載された「館長想い出語り12」によると、当時の館長(村上龍男氏)が家を担保に入れるような状態でした。

戦略的に表現すれば、昔は「強み」が全くなかった、ということです。

一時期ラッコが人気だったこともあり、ラッコの飼育・展示を始めるもすぐに飽きられ、入館者数は増えませんでした。

そもそも周りでラッコが人気だからと言って、自分たちもラッコを展示しても、差別化できません。差別化とは、「人と違うことをする」ことです。

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