いよいよ2020年がやってくる。『AKIRA/アキラ』や『ブレードランナー』で予想された壮大な世界を夢見ていたわたしたちは、なぜかそれとはほど遠い、スマートフォンの画面のなかに見える脆いつながり合いに一喜一憂するという偏狭な世界に生きている。
世界中の誰とでもつながり合い、共感を育み合える“ツール”として成長を遂げてきたSNS。現代が「ソーシャルメディア時代」と称されるように、いまや政治やビジネスなど社会のあらゆる問題は、SNSの要素なしに語ることはできなくなった。
フィルターバブルによる偏りやプライヴァシーの扱い、メンタルヘルスへの影響など問題点ばかりが取り沙汰されているが、地球の歴史から鑑みれば、SNSはまだまだ「生まれたて」の部類に入る。これから本当に必要な機能が見極められ、より洗練されていくはずなのだ(と、信じたい)。
とはいえ、それぞれのサーヴィス開始から数えてみれば、2020年にFacebookは16歳、Twitterは14歳、Instagramは10歳になる。人間だって10歳にもなれば、自分以外の誰かとの関係性を意識した、それなりに分別のある態度が身についてくる年ごろだろう。洗練された姿にはほど遠くとも、SNSにだってそろそろ「なくてもいい機能」や「向いてない使われ方」が見えてきてもいいはずだ。
SNSはすでに一国の大統領選の結果を左右したり、誰かを死に追いやったりしてしまう力をもってしまった。SNSを提供するソーシャルメディア企業の度重なるアップデートが、最適化と便利さを“トゥーマッチ”にしていくなかで、わたしたちは今後どのような取捨選択をしていくべきなのか。
2019年に「WIRED.jp」でよく読まれた記事のランキングを振り返ってみると、そのような「選び取るべき機能」を見極めるための示唆に富むタイトルが上位にランクインしている。ここからSNSとともに“成長”していく、すべてのユーザーが知るべきヒントが見てとれるはずだ。
タイムラインがときめく片付けの魔法:そのツールは、あなたのTwitterを「こんまりメソッド」で整理する
お義理でフォローバックしたアカウントや世界中から押し寄せる不穏なニュース──こんな雑多なTwitterのタイムラインを片付けるツールがある。その名も「Tokimeki Unfollow」だ。2019年にNetflixで始まった「KonMari~人生がときめく片づけの魔法」シリーズで、一躍世界的に有名になった片づけエキスパート・近藤麻理恵の哲学を応用したこのツールは、いかにして「デジタルのゴミの山」と化したタイムラインにときめきを取り戻すことができるのだろうか。
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インフルエンサーたちによる“拡散”で、超高額チケットの95パーセントが48時間で売り切れた豪華音楽フェスティヴァル「Fyre Festival」。その前代未聞の大失敗を描いたドキュメンタリー作品からは、インターネットが増幅する「FOMO(fear of missing out:取り残されることへの不安)」という病の現状が見えてくる。そしてこの失敗を経たいま、わたしたちは「エンゲージメントのルール」を再考すべきときを迎えているのだ。
FacebookとInstagramのアカウントは、あなたが知らないうちに「連携」されている
フェイスブック傘下のSNSであるInstagramとFacebook。それらの両方にアカウントを保有していると、「リンク済みのアカウント」として登録していなくても、システムの内部的には連携されてしまうことが明らかになった。つまり何度「リンクを解除」の設定を試みたところで、FacebookユーザーがInstagramに「裏アカ」をつくることは実質的に不可能なのだ。フェイスブックの広報担当者によると、すべては「パーソナライズされた体験」のためなのだという。
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SNSの「おすすめ」が自殺を助長する:アルゴリズムによる悲しみを増やさないために、いま取り組むべきこと
SNSのアルゴリズムによる“おすすめ”が、心に病を抱える人々の自傷や自殺を助長する──。14歳の少女の死をきっかけに、レコメンドエンジンとメンタルヘルスの関係についての議論に拍車がかかっている。“おすすめ”には自分のメンタルヘルスを再形成してしまう問題がある一方、有害なコンテンツを禁止することが“逃げ場”としてのSNSに弊害をもたらす可能性もあること。そしてソーシャルメディア企業と医療従事者が互いにもつべき知識についてふたりの専門家が解説している。
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フェイスブックによるターゲティングの広告配信アルゴリズムには、広告主の意図せぬところで人種や性別のバイアスがかかっている──。そんな研究結果が大学などの共同研究から明らかになった。出稿主の企業が定めた対象ではなく、実はフェイスブックによるさらなる“絞り込み”の先に配信されていることが多いというのだ。同社が広告事業もおいて他者と差異化する「最適化」という機能の根本に差別があると認められれば、広告事業そのものに悪影響が出る可能性は高い。
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TEXT BY MANAMI MATSUNAGA