プログラミング言語「Python」の人気が止まらない理由とは? 人気ランキングから見えてきたこと

プログラミング言語「Python」の人気が高まっている。最新のプログラミング言語人気ランキングで2位タイへと順位を上げ、その万能性ゆえにJavaScriptに次ぐ人気言語になったのだ。一方で、ランキングでは次なる注目株が着々と順位を上げてきている。
プログラミング言語「Python」の人気が止まらない理由とは? 人気ランキングから見えてきたこと
IMAGE BY ELENA LACEY

「Python(パイソン)」は、世界で最も人気のあるプログラミング言語のひとつだ。その人気はさらに高まっている。調査会社RedMonkが公開した最新のプログラミング言語人気ランキングで、Pythonは3位から2位タイへと順位が上がったのだ。

全回に引き続き1位だった「JavaScript」と、Pythonと2位を分け合った「Java」以外の言語がトップ2に入ったのは、RedMonkがランキングを開始した2012年以来、初めてのことになる。「Python 2」から「Python 3」への移行がときに険しい道だったことを考えると、この2位の重要性はさらに高まってくる(Python 2は19年に開発者がサポートを終了している)。

RedMonkの共同創業者スティーヴン・オグレーディは報告のなかで、RedMonkは通常は順位の小さな変化には大騒ぎしないと述べている。だが、プログラミング言語の上位は定評ある言語に占められており、上位に何らかの動きがあるのは稀なことだ。

JavaScriptは、ウェブブラウザー内でコードを実行する方法の1番手であることに加えて、モバイルアプリやデスクトップアプリの開発からドローンのプログラミングまで、さまざまな目的で利用が増えている。一方、JavaはAndroidアプリの標準言語であり、企業向けソフトウェア開発の要でもある。

多くの人がPythonに“改宗”

Pythonは、何の問題もなく成功し続けたわけではない。特に長きにわたるPython 2からPython 3への移行においては、開発者の離脱が起こる可能性があった。

Python 3は最初の公開が08年で、開発チームは当初はPython 2のサポートを15年に停止する計画だった。つまり、以降は公式プロジェクトによるバグ修正とセキュリティ更新は提供しないことになっていたのである。しかし、Python 3へのコード更新が間に合わない開発者が多いことが明らかになり、デッドラインは20年に延期された。

この間、モジラの「Rust」やグーグルの「Go」、ジェットブレインズの「Kotlin」といった新しいプログラミング言語に移ることにした開発者がいたかもしれない。また、新しいプログラマーが、より広く使われているJavaScriptを学習言語に選んだこともあっただろう。

これに対して、チュートリアルやサンプルコード、オープンソースのコードライブラリーの対応ヴァージョンがはっきりしないPythonは、敬遠されやすかったかもしれない。しかし、移行が原因で失われた開発者がいたとしても、それを補って余りある人が、新たにPythonに“改宗”したようだ。

人気の理由は「万能性」

Pythonがいま人気を集めている理由のひとつとして、オグレーディは万能性を挙げている。グーグル、Dropbox、インスタグラムのほかにも、たくさんの小さなヴェンチャー企業がPythonをあてにしている。また、多くの科学者や数学者が好むデータ処理言語として、Pythonは学術界にも定着している。

RedMonkのプログラミング言語ランキングは、Q&Aサイト「StackOverflow」における各言語の質問数と、マイクロソフト傘下のサーヴィス「GitHub」でホスティングされているプロジェクト数という、2つの尺度に基づいている。ソフトウェア開発コミュニティーにおけるトレンドに照準を合わせているわけだ。

RedMonkの評価は、少なくともPythonに関しては、ほかの評価と一致している。StackOverflowの調査によるとPythonは、JavaScriptと、データベース・クエリ言語「SQL」に次ぐ、3番目に幅広く使われているプログラミング言語だった(このランキングではHTMLは除外されている)。

また、回答者のお気に入りの言語でも、Pythonは2位に入っている(1位はRust)。一方、各言語の検索エンジンの結果数を集計するTIOBEインデックスでも、Pythonはこの数年で人気が高まっており、現在はJavaと「C」に次ぐ3位になっている。

注目株はグーグルの「Dart」

RedMonkの最新のランキングは、トップ20にあまり動きがなかった。そんななか、オグレーディはさらに下位の有望株「Dart」に注目している。Dartはグーグルが開発する言語で、過去1年半で33位から24位へと、順位を9つ上げている。

Dartは、ウェブブラウザー内で実行するソフトウェアを書くための言語だ。DartのコードはJavaScriptに変換され、JavaScriptは事実上すべてのモダンなブラウザーが対応している。

Dartの人気急上昇についてオグレーディは、18年12月にグーグルが公開したオープンソースのプログラミング・フレームワーク「Flutter」で使われているためだろうと説明している。


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TEXT BY KLINT FINLEY

TRANSLATION BY RYO OGATA/GALILEO