お気に入りの製品は、できるかぎり長く楽しみたいもの。そして、アウターの着用の仕方、フィット感の好みは千差万別。重ね着をするしない、自転車に乗る乗らないなど、体型、考慮すべき“カスタマイズ”要因は意外と数多い。そんなユーザーの思いに応える、パーソナルでロングライフな製品を生み出すべくスタートした画期的サーヴィスがある。
「渋谷PARCO」2階にオープンした「THE NORTH FACE LAB」では、独自の3Dスキャンシステムを駆使したデータを基に、全6モデル(2020年4月現在)のアウターについてサイズやカラーなどを自分好みにカスタマイズしてオーダーできる「141CUSTOMS」を展開している。世界初にして唯一、日本国内在住者のみを対象とした大人気サーヴィスのため、まずはウェブサイトでの来店予約が必須だ(フルカスタマイズ、サイズカスタマイズの場合)。また、サイト上で事前にカラーシミュレーションを済ませておけば、効率的に、精度と満足度の高いオーダーができるだろう。
店舗のブース内に設置された計26台のカメラでスキャンされた体型情報は、すぐさまモニター上の3Dアヴァターとなって3Dサンプルを着装した状態で確認できる。しかも実際に使用される生地見本を見ながらカウンセリングを受けられるので、仕上がりが容易にイメージでき、ズレが少ない。自らのライフスタイルを踏まえたアドヴァイスを専任スタッフに求めれば、ハイパフォーマンスな人気モデルを、完璧に自分サイズで好みの配色にアレンジして手に入れることが可能だ。
作成されたデザインは、オンラインで富山県の研究開発施設「ゴールドウイン テック・ラボ」へと送られ、1着1着、ほぼ手作業にて制作されるという。
つまりはパターンメイドという範疇を超え、実質はテーラーメイドといっても過言ではないレヴェル。製品の受け取りは再度来店し試着したうえでの手渡しということで、このあたりもテーラーメイド感を高めている。
人それぞれの体型やデザイン嗜好だけでなく、スタイルにまで対応することで、さらなるパフォーマンス向上を果たすであろう高機能アウターたち。ひょっとすると世界に1着という希少性ではなく、他人には決してわからない“パーソナリティ”という奥行きこそ、このサーヴィスの真髄なのかもしれない。
シリーズ:WIRED METHOD
- (1)ワンピースジャケットという革新:BALENCIAGA
- (2)衛星目線で母なる地球を意識する:STELLA McCARTNEY MENSWEAR
- (3)ブリュードプロテインが切り拓く衣服の未来:SACAI × SPIBER
- (4)頭脳労働者のパフォーマンスと利便性向上に:TEÄTORA
- (5)「丸い四角」といういイノヴェイティヴな矛盾:HERMÈS
- (6)伝統工芸と融合する、ごみの“付加価値”:BETA POST
- (7)職人的技巧とスニーカーの履き心地:THE ONITSUKA
- (8)IoTがもたらす贅沢でアクティヴな日常:SAINT LAURENT × GOOGLE
- (9)すべては長く、自分らしく楽しむために:THE NORTH FACE
※シリーズ「WIRED METHOD」のバックナンバーはこちら。
PHOTOGRAPH BY YUKI KUMAGAI
TEXT BY JUNYA HASEGAWA @america
STYLING BY TAICHI SUMURA
HAIR & MAKE BY KATSUYOSHI KOJIMA @TRON