感情の支配を加速するSNSと、“それでも”囲い込みたいテック企業の攻防:『WIRED』が振り返る2020年(ソーシャルメディア編)

オンラインでのコミュニケーションがいっそう盛んになった2020年。WIRED.jpでよく読まれたソーシャルメディアに関連する記事を振り返ると、SNSを介してわたしたちの行動を掌握するテック企業の脅威と新たに誕生したサーヴィス/機能に関する記事が上位にランクインしていた。うち上位5本を紹介しながら、『WIRED』日本版が振り返る2020年(ソーシャルメディア編)をお届けする。
感情の支配を加速するSNSと、“それでも”囲い込みたいテック企業の攻防:『WIRED』が振り返る2020年(ソーシャルメディア編)
ADOLESCENT CONTENT/CAROLINE JAPAL/GETTY IMAGES

ソーシャルメディアを介したコミュニケーションが、これほど(ほぼ強制的に)なされた1年はなかったのではないだろうか。

世界中のほぼすべての地域で同時に、実世界での人との接触が制限された2020年。構造的な悪に対する正義を問う「Black Lives Matter」は、コロナ禍においてもSNSを介して共感と連帯を呼び、世界各地に広がる過去最大規模の抗議運動に発展した。

今年「WIRED.jp」でよく読まれたソーシャルメディア関連の記事をリストアップしてみると、SNSを介して増幅していったBlack Lives Matterに関するものだけでなく、既存のSNSの脆弱性を乗り越えるべく生み出された新たなサーヴィスや機能に関するものも多く見られた。

2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、ソーシャルメディア経由で沸き立てられ、交換される感情の総量は急増した。そして、この増加は2021年以降も続くに違いない。以下5本の記事からは、日増しに精緻にわれわれの一挙一動を掌握するソーシャルメディアの脅威と、それでも自社サーヴィスに囲い込みたい企業との攻防の現在地が読み取れるはずだ。


01

SNSに溢れる「黒塗りの画像」は、過去の苦闘の記録を“塗りつぶす”ことになりかねない

黒人のジョージ・フロイドが白人の警察官から暴行を受けて死亡した事件に抗議するために、TwitterやInstagramに黒塗りの四角形の画像を投稿する動きが加速している。だが、黒塗りの画像がSNSのフィードに溢れることが、結果的にこれまで地道に続けられてきた人種差別や警察への抗議活動の記録を“塗りつぶす”ことになりかねないと、反発の声も上がっている。
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02

新型コロナウイルスの情報を検閲していたWeChat、その全貌が調査レポートで明らかに

中国のソーシャルメディアにおいて、新型コロナウイルスに関する情報も厳しく検閲されていた──。そんな調査レポートをトロント大学の研究チームが公表した。WeChatのようなプラットフォームでブロックされていたキーワードからは、中国においてパンデミックが政治問題と化し、政府が積極的に情報操作に取り組んでいる様子が浮き彫りになってくる。

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KEVIN FRAYER/GETTY IMAGES

03

Twitterが試験導入する「消えるツイート」は、いったい何をもたらすのか?

Twitterに「消えるツイート」が試験導入される。24時間後に自動的に削除される「Fleet(フリート)」と呼ばれる投稿は、ブラジルで始まる。FacebookやInstagramでも導入されている消える投稿は、ソーシャルメディアの世界に何をもたらすことになるのか。

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04

いまシリコンヴァレーで最も注目されている新サーヴィス、音声SNS「Clubhouse」の正体

いまシリコンヴァレーで最も注目されている新しいサーヴィスといえば、音声SNSの「Clubhouse」だろう。有名ヴェンチャーキャピタルの出資で話題になり、現時点で招待制ということもあって利用希望者が殺到している状況だ。そのSNS体験とは、いったいどのようなものなのか?

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05

ドキュメンタリー『監視資本主義』は、ソーシャルメディアの問題をあまりに単純化している:映画レヴュー

Netflixのドキュメンタリー映画『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』は、ソーシャルメディアを大きな“脅威”としてとらえ、その問題点に焦点を絞っている。元グーグルのデザイン倫理担当者であるトリスタン・ハリスの言葉を織り交ぜながら問題を浮き彫りにしようとしているが、問題は単純化されていて何の実用的なアドヴァイスも示されていない──。『WIRED』US版によるレヴュー。

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『WIRED』日本版が振り返る2020年

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TEXT BY MANAMI MATSUNAGA