ポストコロナ社会の幕開けから、5G対応のiPhone登場まで:2020年に最も読まれた10本のストーリー

「WIRED.jp」で2020年を通して最も読まれた10本のストーリーを紹介する。新型コロナウイルスの感染拡大で様変わりした人々の日常をはじめ、5Gの普及に伴い懸念された健康被害、iPhoneおよびMacシリーズの動向まで、この1年間の動きとともに振り返る。
ポストコロナ社会の幕開けから、5G対応のiPhone登場まで:2020年に最も読まれた10本のストーリー
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2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題に始まり、そしてパンデミックの話題が収束することなく終わった年だった。世界中の多くの国々で厳格な外出規制が敷かれ、在宅勤務という労働環境が一般化した。こうしてソーシャルディスタンスに新たな意味が定義されるとともに、「ポストコロナ社会」という新時代が幕を開けた。

オンライン飲み会やヴィデオ会議に欠かせないツールとして、「Zoom」のようなアプリが必要不可欠なインフラの地位を確立する一方で、相次いで発覚したセキュリティ上の問題への関心が高まった。また、閉塞的な生活に癒やしを与えてくれる娯楽として、「あつまれ どうぶつの森」をはじめ、ヴィデオゲームの存在価値が高く評価されたことも特筆に値する。

新時代のインフラが普及した1年

2020年といえば、第5世代移動通信システム、通称「5G」の通信サーヴィスが日本国内でも本格的に提供され始めた年でもあった。5Gの普及に先立って、米国の一部自治体が電波による健康被害を懸念してインフラ構築にまったをかけたことが、年始早々から大きな話題となった。

5Gの通信には、大幅な高速化を実現するために高周波数帯「ミリ波」の技術が用いられている。しかし、ミリ波による通信は従来の低周波数帯と比べて長距離通信の信頼性に欠けており、広範囲に普及させるには小規模なアクセスポイントを大量に設置する必要がある。これにより、ミリ波が人体へ及ぼす影響に加えて、アクセスポイントの増加によって人々が4G時代よりも多くの電磁波に晒される可能性が、健康被害の懸念材料となったのだ。

電波や可視光、紫外線によって構成される電磁スペクトルは、高周波数帯の電離放射線と低周波数帯の非電離放射線に大きく分けられる。電離放射線には、X線やガンマ線といった分子結合を破壊しうる危険な放射線が含まれる。

一方、人々が日常生活で触れる電波や可視光は、非電離放射線に該当する。ミリ波もそのひとつである。従来の放送用周波数帯よりは高周波数ではあるが、実は可視光ほど高くはない。唯一健康上の懸念があるとすれば、それは電磁エネルギーによって生じる熱であると、専門家も指摘している。

iPhoneのハイエンド路線とMac革命

このほか、iPhoneシリーズやMacシリーズの動向は、2020年も多くの読者にとって引き続き注目の的だった。iPhoneからは、第2世代の「iPhone SE」が4月に、「iPhone 12」シリーズが10月に発売された。前者は「iPhone 11」シリーズと同じチップを搭載しながらも低価格化を図っており、後者の新シリーズではスマートフォン業界におけるイノヴェイションリーダーとしての地位を確立すべく、ハイエンド路線を突き進んだ。

Macシリーズにおいては、「MacBook Pro」の13インチモデルが刷新されたほか、アップルの独自チップ「M1」を搭載した新型「MacBook Air」が登場した。これまでPCにインテルのチップを採用し続けてきたアップルが、自社開発のチップを採用したことの意味は大きい。

ここからは、2020年に「WIRED.jp」で公開された編集記事を中心に、新型コロナウイルス関連以外で最も読まれた10本を紹介する。


01

「5Gの電波」は人体に悪影響がある? 専門家が出した結論

5Gの通信サーヴィスについて、米国では一部の自治体が電波による健康被害を懸念してインフラ構築にまったをかけている。5Gの電波は本当に旧来のワイヤレスネットワークよりも人体にとって危険なのだろうか。>>記事全文を読む


02

「iPhone SE」は“買い”なのか? 答えるなら「最高に買い得」と言っていい:製品レヴュー

低価格モデルの「iPhone SE」は、「iPhone 11」シリーズと同じチップを搭載しながら、価格は44,980円からに設定されている。シングルカメラでバッテリー容量は少なめだが、最高に買い得なiPhoneと言っていい。>>記事全文を読む


03

問題が相次いで発覚した「Zoom」でヴィデオ会議を開く際に、まずユーザーが考えるべきこと

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増えるなか、オンラインでのヴィデオ会議に使われる人気アプリ「Zoom」に相次いでセキュリティの問題が発覚した。さらなる問題の発覚につながる悪循環も起こり始めている。>>記事全文を読む


04

もはやこれで十分? 新型「iPhone SE」には、大半のユーザーが求める機能と性能が詰まっている:製品レヴュー

小型かつ低価格な「iPhone SE」は、最上位モデルと同等のプロセッサーを搭載し、カメラやディスプレイなどの性能も必要以上のレヴェルだ。先進的なところはないが、多くのユーザーが十分に満足できる良質なiPhoneに仕上がっている。>>記事全文を読む


05

太陽光発電施設で起きている鳥の大量死、その「謎」をAIが解き明かす

米国の太陽光発電施設では、毎年十数万羽の鳥が謎の死を遂げている。いまだ原因がわかっていないこの謎に挑むために、研究者たちは人工知能によるバードウォッチャーを開発中だ。>>記事全文を読む


06

オーストラリアの森林火災は、この地球の未来を“予言”している

オーストラリアで起きた大規模な森林火災によって、数百万人が深刻な呼吸器系疾患の危険に晒された。温暖化が引き金となった大規模火災が北半球でも南半球でも起こり始めているいま、地球全体への影響を防ぐことが喫緊の課題になりつつある。>>記事全文を読む


07

「あつまれ どうぶつの森」で起きた突然の金利引き下げは、この世界が“楽園”ではない現実を浮き彫りにした

「あつまれ どうぶつの森」の裏技を封じるために突如として実施されたゲーム内での金利の引き下げからは、この世界が決して楽園などではなく、後期資本主義の世界であることを改めて思い知らされる結果となった。>>記事全文を読む


08

ラインナップが出揃ったMacBookシリーズ。いま買うべき1台と、知っておくべき4つの注意点

アップルが「MacBook Pro」の13インチモデルを刷新したことで、最新のMacBookシリーズが出揃った。購入するならどれを選ぶべきなのだろうか。知っておくべき4つの注意点とともに解説する。>>記事全文を読む


09

レバノンの爆発事故が、あれほど破壊的な規模になった化学的メカニズム

レバノンの首都ベイルートで発生した大爆発は、不適切に管理されていた大量の硝酸アンモニウムに引火したことが原因と考えられている。破壊的な大爆発につながった理由は、硝酸アンモニウムの化学的な特性に起因しているようだ。>>記事全文を読む