DJIの小型軽量ドローン「Mini 2」は、風のなかでも飛べるパワーを手に入れた:製品レヴュー

DJIの折り畳み式小型軽量ドローンの新モデル「Mini 2」が登場した。カメラの性能が向上しただけでなく、新しいモーターの搭載で風があっても飛べる能力を手に入れたことで、多くの人にとって最適のドローンへと進化している──。『WIRED』US版によるレヴュー。
DJIの小型軽量ドローン「Mini 2」は、風のなかでも飛べるパワーを手に入れた:製品レヴュー
PHOTOGRAPH BY DJI

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DJIの「Mini 2」は、その名の通り同社の製品で最も低価格な(しかもあらゆる面で非常に魅力的な)ドローンの第2世代モデルである。注目すべきは新しいカメラで、最大30フレーム/秒で4K動画を撮影できる上、静止画をRAWデータで撮影することもできる。新しいモーターはパワーアップしており、飛行速度が上がっただけでなく、さらに重要なことに風のなかでの飛行性能もアップしている。

このように新機能はいろいろある。だがMini 2(Amazon.co.jpでの価格はこちら)の最も優れている点は、前モデル「Mavic Mini」のレヴューでも指摘したように、気軽に飛行を楽しめるところだ。

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風が吹いていても飛べる

Mini 2の見た目は、先代のMavic Miniと基本的に同じである。と言ってもこの場合、同じであるのはいいことなのだ。このサイズ感については最初から完璧といえるものなので、特に変える理由がない。249g(日本仕様は199g)と小さくて軽いので、米連邦航空局(FAA)に登録する必要もない。

それでも畳んだ状態から広げると、おもちゃのような多くのドローンでは太刀打ちできないような状況でも飛べるくらい頑丈になる。そう、風が吹いていても飛べるのだ。

DJIが変えたのはモーターで、最高飛行速度が16m/秒にアップした(Mavic Miniは13m/秒)。飛行速度が速くなったということは、強い風にも耐えられるようになったことを意味する。これほど小さくて軽いドローンでは驚くべきことだと言える。

ただし、風の強さが「木々の葉を揺らす程度」を超えているなら、飛ばさないほうがいい。その程度の風がMini 2の限界だ。地面近くの葉が揺れていたら、上空では高い確率でかなりの強風が吹いている。

PHOTOGRAPH BY DJI

この新しいパワーの唯一の欠点は、無理してみたくなるところだ。実際に飛ばしてみた際に、自動でホームポイントまで飛行する「リターン・トゥ・ホーム(RTH)」機能が強風で使えない状況に2度ほど遭遇している。どちらの場合も手動で帰還させたが、大きな木々を風よけ代わりにしながら、森の中を地面すれすれに飛ばさなければならなかった。さらに、長時間の操縦経験を積むまでは試したくないような操作も必要になった。

この話の教訓は何かといえば、真似しないでほしいということである。いろいろな状況で飛ばしてみたいなら、もっと重量とパワーのあるドローンが必要だ。とはいえ、ほとんどの人にとってはMini 2のパワーで十分だろう。

風が制約になる可能性はあるものの、Mini 2はDJIのどの大型ドローンよりも飛ばすのが簡単だ。動きが機敏で、レーシングドローンのように飛ばしてほしいとせがんでいるかのようである。今回は庭の周辺で飛ばしてみて、敏捷さに欠ける大型で重量のあるモデルでは試したこともないような方法で、木々や低木の茂みをかわす動きを楽しんだ。

実際により大型のドローンは、まるで「飛ぶカメラ」のように感じられる。だがMini 2は、もっとずっと素晴らしいアクロバット飛行ができるのだ。

コントローラーは使いやすく進化

とはいえ、航空カメラとして使いたい人にとっても、魅力的なポイントは山ほどある。旧モデルの自動撮影モード(ドローニー、サークル、ヘリックス、ロケット)はそのままで、これに「ブーメラン」というモードが追加された。名前からわかる通り、低空飛行で大きな円を描いて戻ってくるモードだ。

コントローラーは改良され、「Mavic Air 2」のコントローラーとほぼ同じ見た目になり、スマートフォンをコントローラーの上に取り付けられるようになった。これはかなり快適で使いやすい。重量は増えたが、改良された点を考えれば大したことないだろう。

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カメラには1/2.3インチのCMOSセンサーを搭載しており、12メガピクセルの画像と、最大30フレーム/秒の4K動画を撮影できるようになっている。どちらも高品質なもので、これはMavic Miniの動画より一段階上だ。Mavic Miniで撮影できる動画は2.7Kまでだった。

DJIのスマート・パノラマモードである「スフィア」、「180°」、「広角」に加えて、わたしのお気に入りの機能「Trimmed Download」も、サポートされるようになった。この機能を使うと、撮影した動画を分割してから、編集用にスマートフォンに転送できる。編集に「DJI Fly」アプリを使うことはほとんどないが、使うときはたいてい、短い映像をすぐに共有したいときだ。Trimmed Downloadはこれに最適で、時間とスマートフォンの容量を節約できる。

上位モデルとどちらを選ぶべき?

Mini 2には高品質の動画撮影機能に加えて、改良されたDJIの映像伝送技術「OcuSync 2.0」も搭載している(OcuSyncはDJIによる周波数帯自動切り替え機能のことだ)。これにより遠距離からでも高品質の動画を受信できる。

DJIによると、Mini 2は最大で約6マイル(約9.6km)離れた場所から非常に鮮明な動画を転送できるという。あえて言うなら、見えなくなるほど遠くまで飛ばしても映像を受信できるというわけだ(念のために言っておくが、決してやってはいけない)。

ここで答えるべきは、これを買うべきか、あるいは上位モデルの「Mavic Air」を買うべきかという質問だろう。

Mavic Airには魅力的な機能が3つある。特に初心者には役立つ機能として重要なのは障害物回避機能で、これはMini 2にはない。Airに追加コストを払うとしたら、最大の理由はこれだろう。

そしてMini 2には、DJIの自動飛行モード「ActiveTrack」と「Point of Interest(POI)」がない。このふたつの機能があると、優れた動画を手間をかけずに撮影できる。Mavic Airに搭載されている大型のカメラセンサーがあれば、より鮮明な48メガピクセルの画像と60フレーム/秒の4K動画も撮影できる。

そうは言っても、あなたがドローンを飛ばした経験がそれなりに豊富で、高解像度の動画が不要で、しかも持ち運びやすくて気軽に飛ばせるドローンを求めているなら、Mini 2(Amazon.co.jpでの価格はこちら)がいちばんのおすすめになる。


◎「WIRED」な点
小型軽量で持ち運びやすい。米連邦航空局(FAA)への登録が不要な軽さ。4K動画(30フレーム/秒)とRAW画像の撮影が可能。パノラマモードと内蔵の動画トリミング機能が新たに追加された。強力なモーターによって風の強い状況でも高い性能を発揮。飛行距離が延びた。

△「TIRED」な点
障害物回避機能と自動飛行モードがない。


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TEXT BY SCOTT GILBERTSON

TRANSLATION BY MIHO AMANO/GALILEO