見守りロボットから大画面のスマートディスプレイまで、アマゾンが発表した新製品すべて(Alexa編)

アマゾンがオンラインイヴェントを開催し、家庭用の見守りロボットや大画面のスマートディスプレイ、子ども用のコミュニケーション端末など多くのデヴァイスやサーヴィスを発表した。まずは「Alexa編」として、音声アシスタント機能を生かした家庭用の新製品を紹介する。
Echo Show 15
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新しいハードウェアに関して言えば、2021年9月は大忙しの1カ月である。アップルとマイクロソフトに続いてアマゾンも(ヴァーチャルの)ステージに登場し、音声アシスタント「Alexa」で動作する「Amazon Echo」やセキュリティ関連機器「Ring」の新製品のほか、ピクサーの「ウォーリー」のようなロボットを発表したのである。

アマゾンは最近、電子書籍リーダー「Kindle」の新製品も発表したばかりだ。そんな同社が9月28日(米国時間)に発表した製品は以下の通りとなる。

家庭用の見守りロボット

今回の発表会で披露されたデヴァイスのなかで最も奇妙かつユニークだったのは、「Astro」という名の新しいAlexa対応ロボットだろう。

車輪で移動するこの家庭用ロボットは、コンピューターヴィジョンや人工知能(AI)、Alexa、そしてRingの技術を組み合わせており、“飼い主”のためのデジタル犬になる。その目的は、さまざまな日常用のデヴァイスにまつわる問題を解決し、高齢者や体の不自由な人とのコミュニケーションを容易にすることだ。

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例えば、留守にしているときに家中を巡回する防犯カメラとしてAstroを使い、部屋や人、ペットの様子を確認できる。ロボットには“眼”のほかディスプレイや会話の能力が組み込まれており、素早いイヌやネコのようにどこにもぶつからず自律的に家庭内を動き回るように設計されている。価格は1,000ドル(約11万円)で購入は招待制となっており、購入を希望する場合は招待の順番待ちに申し込める[編註:日本での発売は未定]。

低価格なサーモスタット

アマゾンがこれまでスマートサーモスタット(温度調節装置)を発売していなかったとは、ちょっとした驚きである。今回、アマゾンはハネウェルの「Home Thermostat Technology」を搭載したシンプルなデヴァイスを開発し、標準的なスマートホーム用サーモスタットの価格を大きく下回る59ドル(約6,600円)という驚くべき低価格で発売する。

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このサーモスタットは既存の空調システムの大半に対応しており、家の室温を上げたり下げたりするタイミングを設定するなど、サーモスタットの標準的な機能を備えている。エネルギーを節約できる可能性があることから、顧客のサステイナビリティの目標達成に寄与できるとアマゾンは説明している。

それにこの価格なら、グーグルの「Nest」やカナダ企業のecobeeなどを市場から締め出すことにも寄与しそうだ。11月4日に発売される[編註:日本での発売は未定]。

スマートディスプレイ「Amazon Echo Show 15」

これまでにアマゾンが発売したスマートディスプレイ「Echo Show」シリーズとは異なり、新たに発表された「Echo Show 15」は縦向きや横向きに壁に取り付けて利用できる。まるで現代の家庭内伝言板のようだ。

本体には15.6インチのフルHDディスプレイを搭載しており、これまでのアマゾンのスマートディスプレイでは最大サイズとなる。ホーム画面のデザインを一新しており、カレンダーやToDoリスト、買い物リストなどのウィジェットを搭載した。

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また、ピクチャーインピクチャー表示にも対応している。ヴィデオや音楽のストリーミングも可能で、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどを楽しめる。使わないときはアート作品(または家族の写真)を表示しておける。

Echo Show 15では、冷蔵庫が開きっぱなしになっているときに鳴る警告音や玄関のチャイムなど、特定の音を認識するようにAlexaを訓練できる。学習させた音を認識すると、Echo Show 15はユーザーのスマートフォンに通知を送る。この機能は、第1世代のAmazon Echoと第1世代の「Amazon Echo Dot」を除くほとんどのEchoシリーズにも搭載される。

アマゾン独自のプロセッサー「AZ2 Neural Edge」を搭載しており、機械学習に基づく音声モデルを旧モデルより高速に実行できる。5メガピクセルのカメラとヴィデオ通話用のマイクを内蔵しており、使わないときはどちらもオフにできる。

また、顔認識機能「Visual ID」にも対応した。これによりディスプレイの前にいる人物を認識し、その人の今後の予定や家族からのメモ、リマインダーなどを表示できる。

Echo Show 15は250ドル(日本では29,980円)だが、正確な発売日はまだ決まっていない。アマゾンによると、製品ページで登録すれば、予約注文が始まった際に通知を受け取れるという。スタンドなどのアクセサリーは別売となる。

子ども用のコミュニケーション端末

このコロナ禍で最も苦労したことのひとつが、遠く離れた子どもたちとのコミュニケーションだった。子どもたちをソファでおとなしくさせて黙ってテレビを見せておくよりも、何かあったほうがいい。その点で「Amazon Glow」は最も有望なデヴァイスのひとつと言っていいだろう。

Amazon Glowは高さが14インチ(約35cm)で自立するタワー型で、8インチのディスプレイと小型プロジェクターが内蔵されている。このプロジェクターからは19インチサイズの映像が投影され、22インチサイズのマットに映し出される。

インタラクティヴなコンテンツとして、パズルやストーリー、お絵かきなどが用意されている。オプションで「Glow Bits」という物理的に動かして遊べるパッケージも用意され、子どもはタングラムなどを実際に手で触れて楽しめる。

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保護者などの大人は、この端末をiOSかAndroidのタブレット端末に専用アプリをダウンロードして利用する。互いに顔を見ながら一緒に遊んだり、ストーリーの読み聞かせなどができるわけだ。ちなみにGlowを使っていないときには、カメラを物理的なシャッターでふさいでおける。

Glowは、子ども用タブレット端末「Osmo」とフェイスブックのヴィデオ通話端末「Portal」を合体させたような製品だ。アマゾンによると、同社はディズニーやセサミストリート、幼児・児童向け番組の大手であるニコロデオンなど子ども向けエンターテインメントの大手企業と協力し、Glowのための新しいオリジナルコンテンツを制作したという。

Glowの早期特別価格は249.99ドル(約28,000円)で、その後の通常価格は299.99ドル(約33,000円)になる。おそらくクリスマスシーズン前には出荷されることだろう[編註:日本での発売は未定]。

進化したフィットネストラッカー

アマゾンは2020年、リストバンド型のフィットネストラッカー「Amazon Halo Band」を発表した(日本では未発売)。このデヴァイスの用途は、歩数のカウントやワークアウトの記録だけではない。スマートフォンなどで自分の体の写真を撮って体脂肪率を測定したり、会話の声を分析して「もっと優しくするように」といったことを教えてくれたりもする端末だった。

そんなHaloををより包括的なフィットネストラッカーにすべく、アマゾンは新モデル「Halo View」の発表に合わせて多くのアップデートを実施した。まず、新たにワークアウトサーヴィス「Halo Fitness」のほか、500種類のレシピからより健康にいい食事を提案する「Halo Nutrition」などが追加されている。このうちHalo Nutritionは、高級自然食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」やダイエットプログラムを提供する「Weight Watchers」などと提携して実現した。これらのサーヴィスは、すべてHaloのサブスクリプションに含まれる。

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新しいフィットネストラッカー「Halo View」は、過去10年のFitbitを知っている人なら見覚えのあるデザインだろう。カラーディスプレイを搭載しており、測定した値は画面をスワイプして確認できるようになっている。

水泳にも対応する防水設計で、3色のスポーツバンドのほか交換可能なさまざまなリストバンドが用意される。そして冬のホリデーシーズン前に出荷され、79.99ドル(約9,000円)というFitbitを圧倒する低価格で発売される予定だ[編註:日本での発売は未定]。体脂肪を測定するために脱ぐこともいとわないなら、こちらを選ぶのもいいだろう。

見守りサーヴィス「Alexa Together」

新たに発表されたサブスクリプション方式の見守りサーヴィス「Alexa Together」は、離れて暮らす親族や近所の人などが、高齢者の様子を確認できる。このサーヴィスは、すでにアマゾンが提供している無料の介護支援サーヴィス「Care Hub」を置き換えるものだ。

Alexa Togetherでは、介護者が遠隔で高齢者のデヴァイスに日々の予定を設定したり、音声アシスタントの動作を監視したり、音楽を再生したりといった技術的な支援をする。これらが月額19.99ドル(約2,200円)のサブスクリプションに含まれる。

このほか、何らかのアクシデントが発生した際に緊急対応ヘルプラインにアクセスできる機能も新たに追加された。試用期間が用意されており、新規加入の場合は6カ月、Care Hubユーザーは1年間は無料で利用できる[編註:日本での提供は未定]。

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TEXT BY WIRED US GEAR TEAM