地球の“奇抜”な一面をとらえた写真、その不思議な光景から見えてくること

アメリカ大陸を縦断してさまざまな動植物を記録した18世紀の博物学者に触発され、米国の写真家がアメリカ大陸の風景を収めるべく旅に出た。そんな彼が人工光を当てながら撮影した風景は、人間と自然との関係性を考えさせてくれる。
An abandoned prospectors mine in Montana.
多くの採掘者たちが19世紀に群がっていた金脈の一部。モンタナ州にて撮影。Photograph: Christopher Edward Rodriguez

ドイツの博物学者で探検家でもあったアレクサンダー・フォン・フンボルトは、アメリカ大陸を1799年に縦断し、目に入ったものすべてを記録した。彼が記録したものは植物や鉱石、カピバラ、水路など、多岐にわたる。

フンボルトは、地球を「すべてがつながっているひとつの巨大な生命体」と結論づけた。この考えは、のちにチャールズ・ダーウィンを触発することになる。そんなフンボルトは生態系の概念を提唱し、人類が地球に及ぼしている破壊的な影響を指摘した最初の博物学者となったのだ。

そのフンボルトの書籍に、写真家のクリストファー・エドワード・ロドリゲスは2017年に出合った。そして隅々まで「形を変えられ、管理され、撮影され尽くされた」地球がカメラにどう写るのかを、ロドリゲスはずっと考えていたという。

フンボルトのアイデアを借用したロドリゲスは、「誰も見たことがないような」写真を撮りにアメリカ大陸を縦断する旅を敢行した。長時間露光や人工光、そして照明の色を変えるジェルフィルターを使いながら、「カメラの科学的な正確さを出し抜きました」と、ロドリゲスは語る。

ロドリゲスは写真によって、「一貫した奇抜さ」を伝えようとしている。これは、フンボルトの忘れられた信条である「すべては相互作用と相互関係にある」様子を体現しているのだ。

ニューヨーク州ソールズベリーで撮影されたガンタケ。ピンクとティールの照明が使われている。

Photograph: Christopher Edward Rodriguez

チョウのなかでも世界最大級の大きさを誇るペレイデスモルフォ。 コスタリカで羽化している様子を写真に収めた。

Photograph: Christopher Edward Rodriguez

洞穴に入ったロドリゲスのアシスタント。ネバダ州のペインテッド・ヒルズにて撮影。

Photograph: Christopher Edward Rodriguez

現実離れした雰囲気をつくり出すために、ロドリゲスは照明をジェルフィルターで覆うこともあるという。

Photograph: Christopher Edward Rodriguez

北米の植物にとって最も一般的で重要な受粉媒介者のマルハナミツバチ。花の種類によっては、はねを震動させることで花粉を“揺さぶりながら”採取するという。

Photograph: Christopher Edward Rodriguez

WIRED US/Translation by Naoya Raita)

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