手書きできる「Kindle Scribe」からベッドの横に置く睡眠トラッカーまで、アマゾンが発表した新製品すべて

アマゾンが2022年9月28日(米国時間)に新製品を発表した。Kindleの画面にメモなどを手書きできる「Kindle Scribe」から、ベッドサイドに置ける睡眠トラッカー「Halo Rise」まで、発表された製品のラインナップを紹介しよう。
手書きできる「Kindle Scribe」からベッドの横に置く睡眠トラッカーまで、アマゾンが発表した新製品すべて

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アマゾンが、過去1年にわたって開発してきた新しいハードウェアを9月28日(米国時間)に発表した。例によって新しい「Amazon Echo」シリーズも発表されたが、「Kindle Scribe」(画面に手書きできるKindle)や「Halo Rise」と呼ばれるベッドサイドの睡眠トラッカーなどの変わり種も含まれている。

それでは、発表された製品のラインナップを以下に紹介していこう。発表された新たなデバイスの大半は、米国内では100%リサイクル可能な梱包で出荷される予定だ。

PHOTOGRAPH: AMAZON

画面に手書きできるKindle

Kindleの最大の特長は、ほかの製品と比べると手ごろな価格のシンプルな電子書籍リーダーという点だろう。ところが、アマゾンが新しいモデルを追加するにつれ、価格が上がってきている。

今回の発表イベントでは、画面に手書きできるKindleをアマゾンは発表した。「Kindle Scribe」は10.2インチのディスプレイを搭載しており、これは既存のKindleよりも明らかに大きい。

フロントライト方式のディスプレイは300ppiで調節可能なウォームライトを備えており、それ以外は「Kindle Paperwhite」に似ている。だが、電池不要のペンが付属しているのだ。これで本に注釈をつけたり、日記を書いたり、PDFにマークアップしたりすることが、Kindleで直接できるようになる。また2023年には、書き込んだ文書を「Microsoft Word」から直接送信できるようになるようだ。

価格は付属のペンと合わせると340ドル(日本では47,980円から)で、クリスマスシーズン前には購入できる。高価な「Kindle Oasis」より値は張るが、 電子ペーパーを採用した「ReMarkable 2」のようなデジタルノートと同じぐらいの値段だ。米国では4カ月分の「Kindle Unlimited」と無料のクラウドストレージもついてくる。(Text by Adrienne So)

第5世代モデルの「Echo Dot With Clock」PHOTOGRAPH: AMAZON

さらに高音質になったAmazon Echo

「Google アシスタント」よりAlexaを好む人には朗報だ。アマゾンは5つの「Amazon Echo」シリーズの最新デバイスを発表している。第5世代モデルの「Amazon Echo Dot」(50ドル、約7,200円)と「Amazon Echo Dot With Clock」(60ドル、約8,700円)には、カスタム仕様のフルレンジドライバーが搭載されるという(低音の再生能力は最大2倍になるらしい)。

また、室温に合わせてAlexaにタスクを処理する機能を与える新たなセンサーも搭載されるようだ。これにより、自宅の室温が上がった場合にスマート扇風機を自動で作動させることもできる。

これらの新モデルには「タップジェスチャー」機能も搭載され、本体上部をタップすればタイマーを消したり、音量を調節したりできる。「Amazon Echo Dot Kids」(60ドル、約8,700円)には、新たにフクロウとドラゴンのデザインが施されており、第5世代のEcho Dotの機能が部分的に搭載されるようだ。

「Amazon Echo Studio」に関していえば、これまでのモデルが最高の音質を誇っていると考えていた。ところが、最新モデル(200ドル、約29,000円)の空間オーディオ処理能力と「周波数帯の拡張」により、部屋は音で溢れることになるだろう。もしEcho Studioをもっているなら、ソフトウェアのアップデートでこの性能を無料で手に入れられる。

「Amazon Echo Studio」PHOTOGRAPH: AMAZON

また、車内にもAlexaの機能を搭載できる「Amazon Echo Auto」(55ドル、約8,000円)の最新モデルは、旧製品(レビュー記事はこちら)と比べてサイズが小さくなっている。新モデルには、5つのマイクが搭載されているので、もう「Alexa」と大声で叫ぶ必要はない。新たな粘着式マウントも付属している。(Text by Medea Giordano)

睡眠トラッカー「Halo Rise」PHOTOGRAPH: AMAZON

据え置き型の睡眠トラッカー

睡眠を記録したいが、スマートウォッチやフィットネストラッカーを身に付けたまま寝ることに抵抗がある人もいるだろう。そんな方は、非接触式の睡眠トラッカー「Halo Rise」を試していただきたい。

とはいえ、これは革新的なアイデアではない。第2世代の「Google Nest Hub」には睡眠モニター機能が搭載されており、Withingsはマットレスの下に設置して睡眠を計測するパッド「Withings Sleep」を販売しているからだ。

Halo Riseは、レーダーを用いたセンサーと機械学習技術を用いている。マイクとカメラの代わりに、臨床データに基づいて呼吸パターンを計測するよう訓練された睡眠アルゴリズムを使っているのだ。

ナイトスタンドに置かれたHalo Riseは、ユーザーの存在と入眠を検知する。これにより、ユーザーの睡眠段階(浅い眠りやレム睡眠、深い眠りの長さなど)を自動的に計測する仕組みだ。また、部屋の光量や湿度、温度も計測できる。指定した時間に発光するウェイクアップライトやスマートアラームとして使うことも可能だ。

朝起きたときには、Haloのアプリを介して、睡眠指標と睡眠スコアを含む睡眠サマリーとその他の記録の確認もできる。Halo Riseの価格は139ドル(約20,000円)で、半年分の「Halo Membership」の無料お試し版も付いてくる。発売は年内を予定しているようだ。(Text by Brenda Syolyar)

「Fire TV Omni QLED」PHOTOGRAPH: AMAZON

QLED技術を採用したテレビ

ここ数年のテレビ市場は、ミドルクラスの価格帯においてTCLやVIZIOといったメーカーの独占状態にある。その一角に、アマゾンも食い込みたいと考えているようだ。

新たに発表された「Fire TV Omni QLED」は、量子ドット技術を用いたLEDディスプレイを採用することで、より優れた色再現性を実現しているという(もちろん音声アシスタントのAlexaにも対応している)。画面を96分割して明るさを制御するローカルディミング機能により、鮮やかな黒の表示も実現した。

テレビを観ていないときのために、さまざまな画像を表示しておける機能も搭載している。ギャラリーとして用意された数百もの有名なイメージのほか、「Amazon Photos」に保存してある写真などを表示できる仕組みだ。さらに、センサーによって部屋でのテレビ画面の見え方を最適化する機能もある。

これまでに「これは買ったほうがいい」と言えるようなFire TVシリーズのデバイスを見たことはなかったが、あくまで写真やスペックを見た印象では、Fire TV Omni QLEDは市場に一石を投じることになるかもしれない。

価格は65インチで800ドル(約11万5,000円)からとなる。75インチだと1,100ドル(約15万8,000円)なので、こちらのほうが“買い”かもしれない。(Text By Parker Hall)

第3世代の「Fire TV Cube」PHOTOGRAPH: AMAZON

高性能になった「Fire TV Cube」

ストリーミング端末のラインナップには、第3世代の「Fire TV Cube」が加わった。一般的にはFire TV Cubeよりも「Fire TV Stick」のほうが人気だったが、この最新モデルはオクタコアのプロセッサーを搭載したことで、19年発売の旧モデルと比べて性能が20倍もパワフルになっている。

Fire TV Cubeは、テレビにさまざまなデバイスを接続できるように複数のポートを備えている(そしてひとつのリモコンですべてのデバイスを操作できる)。

さらに新型Fire TV Cubeは「Super Resolution Upscaling」と呼ばれる機能により、HD画質のコンテンツを4K画質にアップスケールすることもできるようになった。このアップスケール機能はHD画質の映画のみならず、自分で撮った写真を画面に表示する際にも適用される。価格は140ドル(日本では19,980円)で、10月25日(日本では27日)に出荷される。

また、新たに「Alexa対応音声認識リモコン Pro」(35ドル、日本では3,980円)も発表された。このリモコンはFire TVシリーズで動作する。リモコンが見つからないときは「Alexa、リモコンを見つけて」と言えば、リモコンから音が鳴る仕組みだ。

動きに反応するバックライトのほか、機能をカスタマイズできる2つのボタンを備えている。このボタンにはアプリやAlexaのコマンド、照明を暗くするといった特定の動作を割り当てることが可能だ。(Text by Medea Giordano)

家庭用ロボット「Astro」PHOTOGRAPH: AMAZON

家庭用ロボット「Astro」が少し“スマート”に

アマゾンの「Astro」は同社が21年に米国で発売した家庭用ロボットだが、小さくてかわいい一方で、用途らしいものがないようにも思えていた。そんなAstroにネコやイヌを認識できる機能が搭載され、留守中にペットたちを“監視”してくれるようになった(アニメ「ラブ、デス&ロボット」のあるエピソードが思い浮かんでしまう)。

Astroがペットを検知すると、その様子を動画で送ってくれたり、リアルタイムにペットに話しかけたりできる。また、ドアや窓が開けっ放しになった状態も検知できるようになった。ただし、正確に警告できるようにするには、事前に家中を走らせて窓やドアの名称を教え込んでいく必要がある。

またAstro用のソフトウェア開発キット(SDK)が用意され、外部の開発者たちがAstro用のさまざまな機能を提供できるようになる。このSDKは社内でテストが進められており、まずは22年後半にジョージア工科大学とメリーランド大学、ミシガン大学の学生限定で利用可能になる予定だ。(Text by Julian Chokkattu)

Ringのセキュリティカメラ「Spotlight Cam Pro」PHOTOGRAPH: AMAZON

さらに機能強化されたRingのセキュリティカメラ

注目すべきは、アマゾン傘下のセキュリティカメラメーカーのRingが、いつものように捜査当局と独自の関係をもっていることだろう。Ringの専用アプリには、周辺地域の安全状況を確認できるアプリ「Neighbors」の機能が組み込まれている。これにより、米国では捜査当局などと連携する「Neighbors Public Safety Service」機能を通して、当局はRingユーザーに情報提供を求められるようになっている。

とはいえ、Ringはセキュリティカメラの先頭を走るべくアップデートを繰り返している。そのひとつが、米国では予約が始まった「Spotlight Cam Pro」(230ドル、約33,000円)だ。

この製品は斜め上から俯瞰して撮影するカメラで、立体的に検知できる動体検知機能を搭載している。配達員などが近づく様子を確認できるほか、怪しい人物が近付いてきたら大音量のサイレンを鳴らして追い払うこともできる。また「Spotlight Cam Plus」(200ドル、約28,000円) はデザインが刷新され、電源として太陽光とバッテリー、電源ケーブルを利用できるようになった。

さらに、壁に取り付けて緊急時に押す警報ボタン「Panic Button」の第2世代モデル(30ドル、約4,300円)も発表された。このボタンの機能はアプリ経由で設定可能で、パニック(緊急)、救急、火災から選べる。

そして最後に紹介したいのがセキュリティシステム「Virtual Security Guard」のアップデートで、ついにアマゾンの家庭用ロボット「Astro」と統合された。この動きは決して悪い方向に向かうものではないだろう。(Text by Adrienne So)

「Blink Wired Floodlight Camera」PHOTOGRAPH: AMAZON

セキュリティカメラ「Blink」の新製品

アマゾンが傘下に収めたホームセキュリティのブランドはRingだけではない。Blinkからは2つの新製品が発表された。

「Blink Wired Floodlight Camera」(100ドル、約14,000円)は、Blinkブランドでは初となる電源が有線接続のカメラとなる。設置作業がやや煩雑にはなるが、バッテリーのもちを心配する必要がなくなる。

双方向のオーディオ機能を備えた1,080p画質のカメラで、投光器によって2,600ルーメンの明るさで照らせるようになっている。映像をローカル保存するには「Sync Module 2」(35ドル、約5,000円)とUSBメモリーが必要だが、最新のチップを搭載したことでローカルでの映像処理が可能になり、データをアップロードすることなく人物の検出などが可能になった。

このほか、小型カメラ「Blink Mini」用の新しいマウントを発表した。カメラにパンやチルトの機能を追加することで、周囲360度を見渡せるようにする。カメラとセットで60ドル(約8,600円)で、すでにBlink Miniを使っている場合は、マウント単体を30ドル(約4,300円)で購入できる。(Text by Simon Hill)

PHOTOGRAPH: AMAZON

アマゾン端末にeeroのルーター機能を統合

アマゾンは傘下のルーターメーカーのeeroから、新たに企業向けのメッシュWi-Fiルーター「eero PoE 6」(300ドル、約43,000円)と「eero PoE Gateway」(650ドル、約94,000円)を投入することで、製品ラインナップを強化した。PoE(Power over Ethernet)とは、Ethernetケーブル経由でインターネット接続と電力の両方を供給できる技術だ。 メッシュWi-Fiによってすべてのアクセスポイントで最高速のインターネット接続を確保できるが、家やオフィス全体にケーブルを引き回す必要がある。

eero PoE 6はデュアルバンドの「Wi-Fi 6」アクセスポイントで、最大2,000平方フィート(約186平方メートル)と100台のデバイスをカバーする。Wi-Fiの通信速度は最大1.5Gbpsだ。

またeeroは、新たにインターネット接続のバックアップ機能も導入した。固定回線のインターネット接続がダウンした場合に、一時的にモバイル回線に切り替えられるようにeeroネットワークを設定できる(バックアップとして最大8つのホットスポットか代替となるWi-Fiネットワークを設定可能だ)。

eeroはメッシュWi-Fiの技術を、その他のアマゾン製品にも組み込み始めた。まず、最新世代の「Echo Dot」と「Echo Dot with Clock」は、eeroのメッシュネットワークの一部となってWi-Fiエクステンダー(無線LAN中継器)としても機能するようになる(最大1,000平方フィート=約93平方メートルの範囲で最大100Mbpsの通信速度に対応する)。この「eero Built-in」と呼ばれる機能は、現行の第4世代デバイスにも今後数カ月以内にソフトウェアアップデートとして提供される予定だ。

「Eero PoE Gateway」PHOTOGRAPH: AMAZON

さらにアマゾンは今年後半から、すでに1億台以上が普及しているeeroと「Amazon Echo」シリーズをスマートホームの標準規格「Matter」に対応させる。対応機種には新型「Echo Dot」と「Echo Studio」、そしてWi-Fi 6に対応したeero製品が含まれる。

また、新しい「Alexa Connect Kit」を提供することで、Matter対応デバイスをクラウドに接続してソフトウェアをアップデートできるようにする予定だ。これにより、Alexaがほぼすべてのスマートホームデバイスと互換性をもつようになることを願いたい。(Text by Simon Hill)

WIRED US/Translation by Daisuke Takimoto, Naoya Raita)

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