「Fitbit Charge 6」は、“グーグル化”しながらも大きく進化した

フィットビットの最新モデル「Fitbit Charge 6」が発表された。Google マップによるルートのトラッキングやGoogle ウォレットによる支払いなど、グーグルのサービスとの連携が強化されている。
Fitbit Front Core
Photograph: Fitbit

フィットビットのフィットネストラッカーのフラッグシップモデルが2年ぶりに刷新され、新モデル「Fitbit Charge 6」が発表された。グーグル傘下に入って以降のフィットビットはグーグルの機能を製品に順次追加してきたが、今回は新たにGoogle マップによるルートのトラッキングや、Google ウォレットによるワンタッチでの支払い機能が搭載されている。

価格は160ドル(日本では23,800円)に抑えられており、旧モデルよりわずかに値下げされている。すでに予約が始まっており、10月12日に発売される予定だ。

独自の「Fitbit OS」では健康指標のトラッキングが引き続き可能だが、Fitbit Charge 6を利用するにはGoogle アカウントによるサインインが必須となった。健康指標は新しいデザインの(そして“グーグル化”された)Fitbitのアプリから確認できるが、一部機能の利用には月額10ドル(日本では月額640円)の有料サービス「Fitbit Premium」に登録する必要がある。

残念ながら、グーグルのウェアラブル端末用OSである「Wear OS」は搭載されていない。Wear OSの搭載は「Pixel Watch」のようなフル機能を備えたスマートウォッチに限定されており、最新モデル「Pixel Watch 2」は10月4日の発表が予定されている

最も正確な心拍数トラッカー

前モデルの「Fitbit Charge 5」は軽量で手ごろな価格ゆえに、フィットビットの製品ラインナップのなかでも特に人気のモデルだ。Fitbit Charge 5ではサイドボタンが廃止されていたが、操作性向上のためにFitbit Charge 6では復活している。

フィットビットによると、Fitbit Charge 6は同社の製品として最も正確な心拍数トラッカーだという(ただし、これは「Fitbit Versa」シリーズのようなスマートウォッチとの比較ではなく、トラッカー同士での比較だ)。精度を向上するためにグーグルがPixel Watchで導入したオンデバイスの学習モデルを活用しているが、アルゴリズムの最適化によって消費電力は抑えられており、一度の充電で7日間の使用が可能となっている。

より正確なデータを取得することで、例えばユーザーが単に立ち上がって動いている時間と心拍数が脂肪燃焼ゾーンに達するような激しい運動をしている時間とを区別する「アクティブな心拍ゾーン(分)」などの既存の指標も改善されている。また、引き続き血中酸素飽和度(SpO2)の測定にも対応した。米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた心電図機能も搭載しており、心房細動に関連する不規則な心拍や、異常に高いか低い心拍数を検出できる。

Fitbit Charge 6の新機能としては、フィットネスバイク「Peloton」や家庭用ジム「Tonal」などのBluetooth接続に対応したエクササイズマシンへの接続が挙げられる。ワークアウトのアクティビティにはサーフィン、スキー、クロスフィットなどが追加され、合計40種以上を選択できるようになった。

今日のエナジースコア」は、その日に集中的なワークアウトをすべきか、それとも休息をとるべきかを判断する機能だ。「ストレスマネジメントスコア」はリラックスすべきかどうかを教えてくれる。睡眠トラッキング機能では、いびきや睡眠中の体の動きなどを知ることができる。これらの機能は「Fitbit Premium」限定だが、製品には6カ月間の無料期間が含まれている。

サステナビリティへの取り組みにおいて、例えばアップルは「Apple Watch Series 9」でカーボンニュートラルを宣言している。フィットビットはそこまで網羅的な主張はしていないものの、Fitbit Charge 6の本体は100%リサイクルのアルミを使用しており、パッケージにはプラスチックフリー素材を使用するなど一定の配慮がうかがえる。

Google アカウントでのサインアップが必要に

Fitbit Charge 6は、Google マップでのルートのトラッキングやGoogle ウォレットでの支払い機能だけでなく、画面上で「YouTube Music」を操作することも可能になっている(ユーチューブはグーグルの子会社だ)。ただし、YouTube Musicのコントロール機能を利用するにはスマートフォンとBluetooth接続されている必要があり、有料の「YouTube Music Premium」(1カ月間の無料トライアルあり)が必要だ。

なお、オフラインで音楽を聴ける機能には対応していない。また、Fitbit Charge 6にはGPSと「GLONASS」を用いた位置情報機能が搭載されているが、Google マップのナビゲーションを使う際にもスマートフォンとのBluetooth接続が必要になる。

ガーミンの製品は多くが単体で機能し、有料のサブスクリプションなしでも利用できる。これに対してフィットビットとアップルは、現代のユーザーがピックルボールのコートやランニングマシーンで運動しているときでさえ、常にスマートフォンを手放さないことを認識している。

新規のFitbitユーザーは、Google アカウントでのサインアップが必要になる。Fitbit アカウントを保有しているユーザーのGoogle アカウントへの移行期限は2025年だ。フィットビットはフィットネストラッカーメーカーの老舗であり、既存ユーザーのスムーズな移行のために長めの期間を確保している(移行に伴うバグの修正期間でもある)。iPhoneユーザーは「iOS 15」以降であれば、対応アプリをインストールすることが可能だ。

Fitbit Charge 6のカラーバリエーションはブラック(インフィニティベルトの色は「オブシディアン」)、シルバー(バンドは「Porcelain」)、シャンパンゴールド(バンドは「コーラル」 )の3種で、これまで通りバンドはほかのFitbitのストラップと交換可能だ。価格は160ドル(日本では23,800円)で、30カ国で本日より予約が始まっている。発売は10月12日の予定だ。

WIRED US/Edit by Daisuke Takimoto)

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