Twitterを使い続けるか、やめるべきか。迷っている人が検討すべき6つの選択肢

混乱の渦中にあるTwitterを今後も使い続けるかどうか、移行先をどこにすべきか迷っている人もいることだろう。そんな人たちが検討すべき6つの選択肢について解説する。
wooden hand balancing a wire with two balls attached to both ends.
Photograph: Daniel Grizelj/Getty Images

新しい年が幕を開け、行動を起こすときがやってきた。これまで迷っていた人は、そろそろ決断のときだろう。ツイッターが危機に瀕しているいま、ユーザーは今後どうするかをそれぞれ決めなければならない。

Twitterがヘイトやハラスメント、暴言の渦巻く有害な“掃きだめ”であったから、というだけではない。少なくとも5〜6年前からそうだったが、ユーザーは離れずとどまっていた。

ところが2022年、長年のTwitterユーザーは大きな衝撃を受けた。話題に上りながらも実現しないだろうと思われていた、富豪イーロン・マスクによるツイッターの買収が実際に起き、結果として大惨事になったのだ。

ツイッターからは社員が大量に去り、Twitter上にはヘイトをばらまく投稿が増えた。ジャーナリストのアカウントが停止され、認証マークの有料化で迷走し、セキュリティやアクセスのしやすさ、安定性を巡って全般的な懸念がもち上がったのである。

よからぬ結末へと向かっている予感が強くなったいま、ユーザーは出口戦略を練るべきだろう(むしろ遅すぎるくらいだ)。こうした諸々を考慮すると、Twitterから“撤退”したほうがいいようにも見える。

それでは、影響力のあるTwitterユーザーがよさそうな新天地としてすでに多数移動している「Mastodon(マストドン)」や「Post」といった代わりのネットワークを選ぶべきなのだろうか。それとも、しばらくとどまって状況が好転するまで待ってみるべきだろうか。

もしくはこの際、こうしたソーシャルメディアへの投稿そのものをやめて、自分の時間を解放すべきなのだろうか──。以下にいくつかの選択肢を検証してみよう。

1. Twitterに残る場合

問題がエントロピー(すなわち無秩序)であるなら、Twitterにとどまる場合は何もしなくていい。投稿せずに傍観者を貫き、マスクの治世が過ぎ去ってツイッターが何とか生き永らえ、かつての輝きを取り戻せるかどうかを見守るのだ。

残るという選択をする人がいるとしたら、理由は何だろうか。

何年もかけてTwitter上でフォロワーを増やし、リストをつくり、立ち位置を築くために費やしてきた労力がふいになると思うと、手放すのは惜しい気持ちになるかもしれない。Twitterを開けば、いまも引き続きほっとしたり楽しくなったりするコンテンツがそこにあるからかもしれない。

フォローする相手をよく考えて選び抜けば、Twitter界における負の部分の多くは遮断できるだろう。ちょっとのぞく程度の人なら、Twitterがカオスであろうとあまり影響はないとも考えられる。自分のアカウント以外の場所で何が起きていようと気にしない人もいるかもしれない。

2. Mastodonに移行する場合

Twitterの代わりになるソーシャルメディアについて話題に上り始めて以来、最も注目されているのがMastodonだ。16年に登場したMastodonはフォーマットも近く、長年のTwitterユーザーには見慣れない感じはしない。

投稿は500文字までとTwitterより長く、画像や音声、アニメーション、リンク、投票などを投稿する方法も多数ある。Twitterとは違って投稿を後から編集できるが、変更前の内容はほかの人も見ることができる。内容を編集して再投稿すると、ほかのユーザーにも知らされる。また、投稿にセンシティブな内容や議論を呼びそうな情報が含まれることをフォロワーに知らせる、コンテンツ警告の機能もある。

Mastodonは興味や関心、コミュニティの種類によって異なるサーバー(インスタンスと呼ばれる)で運営されているので、同じ関心をもつ人を見つけやすい。このため、ほかのソーシャルネットワークよりも、すぐに「居場所がある」と感じられる。Twitterから移ってきたユーザー同士を連携させるツールも用意されている。

3. Mastodonに移行しない場合

Mastodonの仕組みは非中央集権型(分散型)で、全ユーザーが単独のサーバー上にいるわけではない。ユーザーはさまざまなコミュニティに散らばっていて、新しく加わるユーザーはどのインスタンスから始めるのか選ぶ必要がある。参考のためのディレクトリも用意されているが、なかなか決めきれない人の場合、新規参入する際のハードルになるかもしれない。

Mastodonには、有償無償を問わずユーザーを認証する公式のプロセスがない。これも非中央集権型ゆえだ。ユーザーになると自身のウェブサイトへのリンクは自動的に認証されるが、Mastodonのプロフィール自体に認証の仕組みはない。

現在のユーザー数は600万人近いと謳っており、アクティブユーザーは360万人ほどだという。多いように思えるが、2億3,800万人近いTwitterには、はるかに及ばない。

もちろんTwitterのアカウントはボットや偽アカウントも含まれての数字だが、つながれる相手の数は格段に多い。それでもTwitterから移行するユーザーの急増により、Mastodonでは昨年11月にシステム停止が起きた。

Mastodonを評価する人ばかりではない。使いにくい、遅いとの声もあるし、セキュリティ関係者からは安全面では盤石とはほど遠いとの指摘も上がっている。サーバーごとに運営の仕方が異なるので、モデレーションや各種ルールには一貫性がない。

また、投稿を「ツイート」でなく「トゥート」(toot)と呼ぶが、これには哲学的に抵抗を感じる人もいるかもしれない。

4. PostやHive SocialなどのSNSに移る場合

Mastodon以外の興味深い選択肢としては、「Post」が挙げられる。記者やジャーナリストを念頭につくられたツールのようだ。

22年11月の立ち上げから間もないことからまだベータ版の段階で、利用には順番待ちのリストがある。立ち上げたのはナビゲーションアプリWazeの最高経営責任者(CEO)だったノーム・バーディンだ。

ユーザーは、記者などが提供したニュース記事の購入やコメントの書き込み、共有のほか、書き手に投げ銭できる機能を予定しているようだ。文字数の制限はない。

もうひとつの新しいソーシャルネットワーク「Hive Social」はモバイル専用で、現時点では広告がない。TwitterよりInstagramに近いか、MySpaceが戻ってきたような感もある。

機能としてはメディアに徹しており、深刻な時事問題を議論したり選挙戦に活用したりするよりも、仲間同士でつながるために適したつくりになっている。プロフィールに自分のテーマソングを設定したり、星座などの情報を入れたりもできる。

5. PostやHive SocialなどSNSに移行しない場合

Mastodonに移行しない理由の多くは、ほかのネットワークにも当てはまる。例えばTwitterよりユーザー数がかなり少なく、これまで重宝していた機能がない。新しいネットワークの多くがスタートアップなので、サービスが長期的に提供されるか不透明、といったことだ。

新興のソーシャルネットワークの場合、セキュリティにも疑問符がつく。新規ユーザーの大量流入とそれに伴う課題にどう取り組むのか、コンテンツのモデレーションはどうするのかも不明だ。

結局のところ、実力が未知数のソーシャルネットワークに多大な労力を費やすことはリスクが高い。PlurkやGoogle+のような末路をたどる可能性もある。

それなら、これまで使ってきたすでに定着しているプラットフォーム、InstagramやFacebook、LinkedInなどに注力するほうがいいかもしれない。既存のサービスにもそれぞれ課題があることは確かだが、消えてなくなる危険性は低いし、22年のTwitterと比べればはるかに安定感がある。

6. Twitter歴に幕を下ろす場合

最後に、ここで手を引く選択肢はどうだろう。Twitterはひとつの時代だった。かくも長期にわたって誰もがこまごまとした雑多な考えを投稿し、そのこまごました考えが過去にないかたちで政治や文化に影響をもたらした──。その時代がついに過ぎ去ったことを、受け入れてはどうだろうか。

なるようにしかならない道をこのまま共にするよりも、ここでやめるのもありではないだろうか。 ほかの方法を探って同じことを続けるより、その時間と労力をまったく別の何かにかけてみるてはどうだろうか。投稿や発信を一切しない趣味を始めてみるのもいいだろう。

ここ数年、多くのユーザーがソーシャルメディアとの付き合い方そのものを見直そうとしていることは確かなようだ。そこには、この先もTwitterでつぶやき続けるかどうかの判断にとどまらない選択があるのではないだろうか。

WIRED US/Translation by Noriko Ishigaki/Edit by Daisuke Takimoto)

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