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スマートフォンは、気をつけていないと思いがけない場所に行ってしまう。トイレにぽちゃんと落ちてしまったり、ほこりだらけのソファの裏側に旅立ったりしてしまうのだ。
そんなスマートフォンだが、どれだけ頑丈なのだろうか。目安になるのが、電気製品の防水・防塵性能を示す「IP等級(Ingress Protection Code)」だ。ほこりと水にデバイスがどこまで耐えられるかをわかりやすく表す国際電気標準会議(IEC)が策定した規格で、1976年に公開されている。
IP等級は、スマートフォンがどれだけほこりと水に耐えられるのか、おおまかに比較する際に便利な規格だ。とはいえ、IP等級のテストは新品のデバイスを使って研究室で実施していることを忘れないでほしい。いつもスマートフォンを放り投げて傷だらけにしている場合や、整備済み製品を購入した際には、保護性能が大幅に低下している可能性もある。
IP等級が示す性能の違い
いまのスマートフォンで最もよく見られるIP等級は、「IP68」だ。このアルファベットと数字の組み合わせについて、少し深掘りしてみよう。
「IP」の文字の横にあるひとつ目の数字は、ほこりなどの大気中にある固形物の侵入耐性を示している。これは0〜6の数値で評価される。IECの評価ガイドには、5は「粉塵からの保護」、そして6は「完全な防塵構造」とある。
ふたつ目の数字は、水への耐性を示すものだ。これは0~9の数値で示される。もし評価が7の場合は、短い時間であれば浅い水の中に全体を沈めることが可能だ。8の場合は、7よりも数メートルは深く沈められることになっているが、深さが定められているわけではない。
例えば、「iPhone 11」と「iPhone 11 Pro」はどちらも同じIP68だ。ところが、最大水深はiPhone 11が2mで、iPhone 11 Proが4mと異なっている。ちなみに2桁目の数字が「9」の場合は、耐水ではなく高温高圧の蒸気を防ぐ性能に関するものなので、スマートフォンの場合はほとんど関係ない。
次に「iPhone 13」を例に挙げてみよう。iPhone 13のIP68という評価は、ほこりの侵入を防ぎ、水に沈めても耐水性能があることを意味する。アップルがIP等級を説明しているページによると、iPhone 13は水深6mまで、時間は30分間まで耐えられるようだ。
IP等級に「X」が含まれていれば、水とほこりのどちらか片方だけに評価が付いていることを意味する。この等級テストを受けるかどうかは、企業が決めることだ。そして「X」はテストに“落ちた”わけではなく、等級テストを受けていないことを表しているにすぎない。
自分がもっているスマートフォンの性能は?
いま使っているスマートフォンの耐水性能と耐塵性能が気になってきた人のために、一般的なスマートフォンのIP等級をみていこう。
アップルのスマートフォンはどうだろうか。「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」「iPhone XR」「iPhone SE(第2世代)」は、いずれも「IP67」を取得している。これ以降のモデルは「IP68」だ。
「IP68」を取得したのiPhoneのうち、「iPhone XS」から「iPhone 11」までは、耐えられる水深が2mまで。これに対して「iPhone 12」シリーズ以降のiPhoneは、6mの水深まで耐えられる。
それではAndroidスマートフォンはどうだろうか。サムスンのスマートフォンは、「Galaxy S7」以降の大半が「IP68」を取得している。だが、折り畳みスマートフォンは例外だ。「Galaxy Z Flip 3」と「Galaxy Z Fold 3」は、耐水性能の等級は取得しているが耐塵性能の等級はなく、「IPX8」という表示になっている。これより前の折り畳みスマートフォンは、IP等級を取得していない。
また、現時点で「Google ストア」から購入できるスマートフォンだと、「Google Pixel 6」と「Google Pixel 6 Pro」が「IP68」を取得している。最新機種の「Google Pixel 6a」は耐水性能が少し下がり、「IP67」となっている。
スマートフォン以外の製品の場合は?
スマートフォンは浴槽に少しくらい沈めても壊れず、チンチラのように派手に砂浴びしたところで大きな問題にはならないこともわかった。それでは、ほかにはどのような家電がIP等級の試験を受けているのだろうか。
週末のアクティブな旅行やビーチでのんびり過ごす午後にもってこいの高品質Bluetoothスピーカーには、IP等級を取得しているものがある。例えば、小型のBluetoothスピーカー「Sonos Roam」が取得した等級は「IP67」だ。また、Ultimate Earsの「WONDERBOOM 2」やTribitの「StormBox Micro 2」、ソニーの「SRS-XB13」も、同じレベルの耐水性能と耐塵性能を備えている。
ワイヤレスイヤフォンにも、IP等級を取得しているものがある。ただ、ワイヤレスイヤフォンの耐水性能はスマートフォンより劣ることが多く、耐塵性能については大半が等級を取得していない。
例えば、グーグルの「Pixel Buds A-Series」やビーツの「Powerbeats Pro」、アップルの「AirPods Pro」、GRADOの「GT220」はいずれもIPX4とされている。水に沈めるべきではないが、汗が垂れるくらいなら大丈夫という評価だ。運動すると完全にびしょ濡れになるという人は、IPX5の評価を取得している1MOREの「ColorBuds」を選ぶと満足できるかもしれない。
スマートウォッチには以前はIP等級を採用しているものもあったが、いまは大半が別の規格で耐水性能を測定している。
(WIRED US/Translation by Ryo Ogata, Galileo/Edit by Naoya Raita)
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