熱狂と急落、「Web3」という名のジェットコースター:『WIRED』日本版が振り返る2022年(Web3編)

分散化を志向しながらも国家やテックジャイアンまで巻き込んだ「Web3」のムーブメントが、今年最も熱かったことは間違いない。オンラインでよく読まれたWeb3の関連記事をピックアップし、『WIRED』日本版が振り返る2022年(Web3編)としてお届けする。
熱狂と急落、「Web3」という名のジェットコースター:『WIRED』日本版が振り返る2022年(Web3編)
PHOTOGRAPH: Commercial Eye/Getty Images

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Web3」という新しいムーブメントが一気にスターダムの座へと駆け上った2022年。『WIRED』日本版は前年から準備を始め、いち早く雑誌の特集号を刊行したことで(「Web3」をタイトルに冠した出版物として日本初だったはずだ)、日本におけるその後の盛り上がりに先鞭をつけたと言える。

一方で、「クリプトバブル」とも呼べるその後の熱狂を尻目に、『WIRED』では冷静でときに辛口な態度も取りながら、このムーブメントの真価を問い、支えてきた。良質なロングリードが読める『WIRED』のサブスクリプションサービス「SZメンバーシップ」の記事が今回のランキングに多く含まれるのも、その証左だと言えるだろう。

ここからは、22年に最もよく読まれた「Web3」関連記事を振り返っていこう。見えてくるのは、「DAO(分散型自律組織)」や「NFT(非代替性トークン)」といったWeb3の主要コンポーネントについて、その可能性を感じつつも、誰もがまだ試行錯誤しながら本当の“使いどころ”を理解しようとしている姿だ。年末特集の記事にもあったように、“定義”の問題に拘泥するよりも、手を動かして実験するフェーズへと、2023年は入っていくはずだ。


01 Web3の鍵となる「DAO(分散型自律組織)」とは? 実際に構築してみた結果

MICHAEL CIAGLO/GETTY IMAGES

Web3の分野で最もよく耳にする概念が「DAO」だ。実際のところ、DAOはどのように構築・運営されているのだろうか?エンジニアたちの力を借りて、実際にDAOをつくってみたその一部始終。>>記事全文を読む


02 Web3、あるいは所有と信頼のゆくえ:雑誌『WIRED』日本版VOL.44の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ

DAIGO NAGAO

特集テーマに「Web3」を掲げ、その革命の真髄に「所有」と「信頼」というキーワードから迫った雑誌『WIRED』日本版VOL.44の発売に寄せた、編集長・松島倫明からのエディターズレター。>>記事全文を読む


03 最新Web3用語集:DAOやNFTなど未来を見据える100のキーワード

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Web3の全体像を掴むには、新出のキーワードを押さえておく必要がある。編集部が100のキーワードをピックアップした「Web3」特集号の人気企画がデジタル版では毎月アップデートされてさらに充実。>>記事全文を読む


04 NFTの「準所有」と著作権の終わり(の始まり):水野祐が考える新しい社会契約〔あるいはそれに代わる何か〕Vol.9

HARUNA KAWAI

法律家・水野祐の好評連載。「Web3」特集号では、NFTにおける「所有」の議論から敷衍して、クリエイターの「創作による収入」と「作品の公共性」を両立させる可能性と、著作権の終わりがテーマとなった。>>記事全文を読む


05 NFTはなぜ誤解され続けるのか?:所有をめぐる真実からミントの収支まで

PAUL YEUNG/BLOOMBERG/GETTY IMAGES

NFTが証明するのは「そのNFTを所有していること」。それが特定のデジタル資産にひもづいていると証明するにはマーケットプレイスなど第三者が必要だ。NFTにまつわる誤解のいくつかを解いていく。[SZメンバーシップ記事]>>記事全文を読む


06 10,000の顔、誕生前夜:「クリプトパンク」とNFT革命はかくして始まった(前編)

ANTHONY GERACE

すべては「CryptoPunks」から始まった。その誕生前夜から今日までに、このジェネレーティブアートは何を生み出し、その価値を永遠に変えたのか? NFTに魅了された人々の群像からその答えを追う集中連載。[SZメンバーシップ記事]>>記事全文を読む


07 人類のウェルビーイングにはWeb3が必要だ

SERGIO MEMBRILLAS

Web3によって主観的なウェルビーイングの価値がやっと社会に実装される時代が到来するかもしれない──北川拓也がハーバード大の同窓ふたりを迎えて「Web3×ウェルビーイング」の可能性を語った本誌収載記事。>>記事全文を読む


08 DAOによる、政治家のいない民主主義へ:落合渉悟が描く、行政DX・立法DXへの道筋 

MISA SHINSHI

民主主義をブロックチェーンによって修復できないだろうか? WIREDカンファレンス2022にも登壇したブロックチェーン開発者・研究者の落合渉悟は、「DAO」というツールに希望を託す。>>記事全文を読む


09 NFTの投機性の高まりと、その先頭に立つセレブたちの責任

NATHAN CONGLETON/NBCU PHOTO BANK/NBCUNIVERSAL/GETTY IMAGES

NFTブームが熱を帯びるにつれ高まるセレブたちの存在感。だが、金銭的な利害関係をはっきり明かさずNFTを宣伝しているように見える有名人たちは、相応の責任を負わされることになると警鐘を鳴らした4月の記事。>>記事全文を読む


10 NFTゲームをのみ込む資本主義:GameFi、あるいは遊びと労働のゆくえ

OCTA

「Play to Earn(プレイして稼ぐ)」型のゲームは、プレイヤーに資本主義の純粋な悦びを与える一方で、地球規模での新たな労働移動を生んでいる。この潮流の行き着く先は希望か、あるいは幻想か──。本誌からの転載。>>記事全文を読む


『WIRED』日本版が振り返る2022年の記事はこちら


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