ソーシャルメディアの2023年は、イーロン・マスクが買収したTwitterの混乱が深まった年だった。その混迷がピークに達したのは、ブランドと企業名を突如として「X」に変更したときだろう。4月には企業としてのツイッターが消滅し、7月にはブランドそのものも変更されてしまった。ついに、あの「青い鳥」はいなくなってしまったのである。
またマスクによる買収後、Xでは偽情報が拡散しやすくなったと指摘されている。偽情報や誤情報に対処する脅威インテリジェンスチームのメンバーが解雇されたほか、有料会員の情報が優先して拡散される仕組みが導入されたことも一因だ。
その結果、Xではイスラム組織ハマスとイスラエルとの戦闘に関連した暴力的コンテンツや偽情報が拡散した。これを受けて欧州連合(EU)の当局は、Xによる防止策が不十分だったことがデジタルサービス法(DSA)に違反している疑いがあるとして、12月に調査を開始している。
こうした混乱が、今年のソーシャルメディア関連で読まれた記事のランキングにも表れた。読まれた記事の上位に、X(旧Twitter)の代替となりうるソーシャルメディアに関する話題が並んだのである。
なかでも異彩を放っているのが、「BeReal」の使い方に関する記事が最も読まれたことだろう。スマートフォンに通知が届いてから2分という短い制限時間内にフィルターなしの写真を撮影し、投稿するSNSで、日本でも10〜20代を中心に注目された。このほか、まるでXを狙い撃ちしたかのような「Threads」をメタ・プラットフォームズが投入したことも注目された。
これらの動きを経て、2024年にも“脱X”の動きが加速したり、新しいソーシャルメディアが注目されたりするのだろうか。米大統領選を含む世界の50カ国以上で選挙が予定されるだけに、今後の動向からも目が離せない。ここからは、23年にソーシャルメディア関連で最も読まれた記事のランキングを紹介していこう。
01 フィルターなしで日常の“リアル”を切りとる、新感覚の写真SNS「BeReal」の使い方
スマートフォンに通知が届いてから2分という短い制限時間内に写真を撮影し、投稿する写真共有SNS「BeReal」が、欧米で熱心な若いユーザーを獲得している。フィルター機能がなく、友人の“素”の一面を見られるこのアプリの魅力とは?>>記事全文を読む
02 進化する“Instagram詐欺”の手口とは? 被害に遭わないための注意点と対策
Instagramを利用した詐欺が急増しているが、実はちょっとした注意と工夫で被害を防げる可能性が高い。その注意点と対策を紹介しよう。>>記事全文を読む
03 Twitterからの乗り換え先としてZ世代が注目、新たなSNS「Hive Social」の始め方
Twitterの乗り換え先としてZ世代から注目されている新しいSNS「Hive Social」。22年11月末に1晩で25万人の新規ユーザーを獲得したこのSNSの使い方と、ヒントをいくつか紹介しよう。>>記事全文を読む
04 Twitter APIの法人向け利用料が「月額500万円超から」になり、“誰も使えない代物”になるという決定的な証拠
Twitterが2023年2月に発表した「Twitter API」の有償化について、新たな料金プランを『WIRED』が独自に入手した。最も低価格なプランでも月額42,000ドル(約560万円)と高額になる見通しで、研究目的での利用が不可能になると反発の声も挙がっている。>>記事全文を読む
05 もうTwitterの“代替品”は必要ない!? 「Threads」の登場がソーシャルメディアの世界にもたらすこと
Twitterの類似サービスであるメタ・プラットフォームズの「Threads」が、多くの競合に加わって勢力を伸ばしている。一方で、プラットフォームの分散化が進むことで、かつてのダイナミズムは失われつつある。>>記事全文を読む
06 日本でも開始、Twitterの有料サービス「Twitter Blue」とは?
Twitterのサブスクリプションサービス「Twitter Blue」が日本でも2023年1月11日に始まった。この有料サービスを利用することで、どんなメリットを得られるのだろうか。詳しく解説しよう。>>記事全文を読む
07 Twitterを使い続けるか、やめるべきか。迷っている人が検討すべき6つの選択肢
混乱の渦中にあるTwitterを今後も使い続けるかどうか、移行先をどこにすべきか迷っている人もいることだろう。そんな人たちが検討すべき6つの選択肢について解説する。>>記事全文を読む
08 客からのクレームをTikTokで“ネタ”に、過激化する企業アカウントに賛否
TikTok上でユーザーが商品やサービスに対してクレームを入れたところ、ユーザーをからかうようなコンテンツを投稿する事例が欧米企業で相次いでいる。常識的な対応をするよう専門家から指摘されるなか、顧客対応に向いていないというTikTokの仕様も無視できない。>>記事全文を読む
09 メタの「Threads」は、どんな個人情報を収集している? TwitterやBlueskyなどと比較して見えてきたこと
このほどメタが投入したTwitterに似たアプリ「Threads」は、どのような個人情報を収集しているのだろうか。“本家”のTwitterをはじめ、BlueskyやMastodonといったアプリと比較してみた。>>記事全文を読む
10 あの“牧歌的なTwitter”を取り戻せ。新たなSNS「T2」で本家に挑むスタートアップ
イーロン・マスクが買収したTwitterの代替を目指すスタートアップに、新たな“有力候補”が現れた。本家“T1”に挑む「T2」は、Twitterが牧歌的だった「2007年」に時計の針を巻き戻すことができるのか──。『WIRED』エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィによる考察。>>記事全文を読む
雑誌『WIRED』日本版 VOL.51
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