この赤いくねくねした生物をどこまで投げられるだろうか? あまり遠くまではいかないかもしれないが、とりあえずやってみよう。
献身的なピクミンたちのなかから選りすぐりのメンバーを選び、繰り返し同じ崖に投げつける。任天堂がこういう遊び方を想定していたかは分からないが、とにかく向こう岸に渡したいのだ。ピクミンたちが壁にぶつかり跳ね返ってくると、笛を吹いて集合させ、今度は数字の5が書かれた花めがけて投げる。今度は成功だ。ピクミンたちは花を叩いて崩すと、破片を運んで基地へと帰っていく──こんな調子でプレイしているうちに、あっという間に1時間が過ぎてしまった。
「ピクミン4」は遊び心に溢れた、任天堂のリアルタイムストラテジーだ。プレイヤーは小さいながらも勇気に満ちた宇宙船のキャプテンとなり、植物みたいな宇宙人「ピクミン」たちに命令を出してゲームを進めていく。ピクミンはそれぞれが異なった色をしていて、色ごとに特殊能力をもっている。たとえば赤ピクミンは最も数が多く、火に対して強い。黄ピクミンは高くまで投げることができる、といった風に。ピクミンたちは信頼のできる仲間として、熱心に資源を収穫しては運んでくれる。
さまざまな色のピクミンを集めて優れたチームを編成すれば、日が落ちてしまうまでに多くの資源を収集し、安定して目標を達成できるようになる。「チル」という表現がよく当てはまるゲームだ。ToDoリストからひとつひとつタスクを消していくみたいな感覚が得られる。忠実なピクミンたちが原生生物によってむしゃむしゃと食い殺される場面を見ているときを除けば。
新たな仲間「オッチン」も登場
Wii U向けに発売された前作「ピクミン3」からもうすぐ10年が経つが、今作にはいくつかの新要素も追加されている。今作はシリーズで初めて夜の探索ができるようになり、夜にしか現れないピクミンも登場する。加えて、遭難者の救出を手伝ってくれる二足の救助犬「オッチン」も登場する。
初めて「ピクミン」を遊ぶプレイヤーを手引きするパズルも用意されており、難易度はそこまで高くない。氷ピクミンでモノを凍らせてから壊したり、オッチンの頭突きで壺を突き破ってもらったりといった調子だ。
オッチンはボタンの鼻がとれてしまった犬のぬいぐるみみたいな見た目で、操作していて非常に楽しい。スピードと力強さをアップグレードでき、ミッションを手助けしてくれるのだ。それから、ピクミンたちと一緒にオッチンの上に乗って運んでもらうこともできる。
デモ版にあったミッションのひとつでは、オッチンと船長を交互に操作して別々の道を行くことで先に進めることもあった。オッチンのほうが歩くのが速く、頭突きのおかげで戦闘でも役に立つ。背中に乗って王様の気分を味わうのも最高だ。
製品版もデモ版どおりなのであれば、「ピクミン4」はペースの遅いゲームだといえる。一日のうちに何でもかんでも済まさなければいけないということはなく、日没のギリギリまで頑張るよりは早めに基地へ帰ってしまったほうがよい。日没までに帰れなかったピクミンは外に取り残されてしまうのだ。自分の手を汚すというよりは、ピクミンたちをいかに管理してあげるかが重要になってくるゲームであり、静かな夜にひとりで落ち着いてプレイするのにぴったりの作品だといえよう。ピクミンを食べてしまう敵と遭遇したときだって、焦らずに戦略を練ることが重要になる。
このゲームをプレイしていて一番つらいのはピクミンを失ったときだ。敵の火炎攻撃に焼かれてしまったり、資源を拾うためにちょっと目を離した隙に原生生物に食べられてしまったり。RIP、小さな赤い友よ。君の仲間たちのおかげで、大きな光る岩を手に入れることができた。まあ、代わりになってくれるピクミンはまだまだたくさんいるのだけど。
(WIRED US/Translation by Ryota Susaki)
※『WIRED』によるゲームの関連記事はこちら。
次の10年を見通す洞察力を手に入れる!
『WIRED』日本版のメンバーシップ会員 募集中!
次の10年を見通すためのインサイト(洞察)が詰まった選りすぐりのロングリード(長編記事)を、週替わりのテーマに合わせてお届けする会員サービス「WIRED SZ メンバーシップ」。無料で参加できるイベントも用意される刺激に満ちたサービスは、無料トライアルを実施中!詳細はこちら。