アイデアは「Reality Ahead of Schedule」(予定を先取りした現実)である──。2023年に生誕90年を迎えたビジュアルフューチャリストのシド・ミードが、自身の作品集『オブラゴン』に記した言葉だ。『スタートレック』や『ブレードランナー』をはじめとする数多くのSF作品にかかわり、未来に暮らす人々の姿を描いた彼のアイデアは、その後多くの人が想像/創造する未来に影響を与えた(その功績はこちらの記事に詳しい)。
では、現代のアーティストたちは2050年の未来をどう思い描いているのだろうか。それを知るべく、出身も職業も違う6組に「2050年の公園」を描いてもらった。
アーティスト本人たちによる作品説明とともに、その作品を紹介しよう。
Attilio Bonelli(29)
イタリア出身
VFX Compositor, Matte Painter, Designer
Ina Chen (28)
中国出身
Creative Technologist & Unreal Engine Artist
Chinnapat Asavabenya (23)
タイ出身
Animator
James Roha (30)
米国出身
Creative Technologist, Lecturer
Sakaokaew Jindawitchu age.23
タイ出身
Animator
RAW
Luis Garcia Grech (30)
スペイン出身
Dana Shaviv (26)
イスラエル出身
Santiago Ceballos (30)
コロンビア出身
Orin Torati (27)
ベルギー出身
なお、今回作品を寄稿してくれたのは、南カリフォルニア建築大学のフィクション&エンターテインメント修士プログラムの学生および卒業生たちだ。スペキュラティブ・アーキテクトを名乗り、SF映像作品を通じてテクノロジーが社会にもたらす影響を描いてきたリアム・ヤングが受けもつこのプログラムでは、学生たちがエンターテインメント業界のプロフェッショナルたちと働きながら、ワールドビルディング(世界観の構築)やストーリーテリング、映画やビジュアルエフェクト、ゲームなどに関する専門知識を学んでいる。
※雑誌『WIRED』日本版 VOL.50 特集「Next Mid-Century」より転載。
雑誌『WIRED』日本版 VOL.50
「Next Mid-Century:2050年、多元的な未来へ」
『WIRED』US版の創刊から30周年という節目のタイミングとなる今号では、「30年後の未来」の様相を空想する。ちなみに、30年後は2050年代──つまりはミッドセンチュリーとなる。“前回”のミッドセンチュリーはパックスアメリカーナ(米国の覇権による平和)を背景に欧米的な価値観や未来像が前景化した時代だったとすれば、“次”のミッドセンチュリーに人類は、多様な文化や社会や技術、さらにはロボットやAIエージェントを含むマルチスピーシーズが織りなす多元的な未来へとたどり着くことができるだろうか? 空想の泰斗・SF作家たちとともに「Next Mid-Century」を総力特集する。詳細はこちら。