サムスンの新スマートリング「Galaxy Ring」は、フィットネスよりも睡眠と健康に重点を置いている

サムスンは2024年1月、スマートフォンの新シリーズ「Galaxy S24」を発表したイベントで「Galaxy Ring」の登場を明かした。このときは同年後半にリリースされる予定であること以外の情報はなかったが、バルセロナで開催中の世界最大のモバイル機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス（MWC）」にて、同社はGalaxy Ringを展示した。製品について明らかになっているのは、以下の通りだ。

サムスンはGalaxy Ringを、スマートウォッチの利点を求めつつも、データに圧倒されたくはないと考える人々のためのものだと位置付けている。画面の操作が必要ないため、身につけるハードルが低いと想定しているのだ。それに、新しいインターフェイスを学ばずにヘルストラッキング機能を享受できる。

とはいえ、Galaxy Ringは同社のスマートウォッチ「Galaxy Watch」シリーズの代替品になるわけではない。デジタルヘルスチームを率いるホン・パクによると、Galaxy Watch6とGalaxy Ringを同時に装着すれば、より豊富な健康データを得られるという。

サムスンによると、就寝時に両デバイスを装着したことで睡眠トラッキングの性能が向上した例があるという。パクは、両方を揃えることで向上する機能がほかにもあるという。

睡眠と健康データに重点

Galaxy Ring単体で使う場合でも、発売時点の機能にユーザーは「満足するだろう」とパクは語る。この製品は、フィットネスよりも睡眠と健康データのインサイトに重点を置いているようだ。サムスンのスマートウォッチでは一般的な機能であり、人気の「Oura Ring」にも搭載されているアクティビティ自動検出機能はない。

しかし、生理周期のトラッキングは可能だ。サムスンは23年、Galaxy Watchに生理日の予測と管理機能を追加するためにNatural Cyclesとの提携を発表した。Galaxy Ringにもこの提携は有効だ。

Galaxy Ringは、サムスンの「先進的なセンサー技術」とバッテリーもちのよさによって、心臓のヘルスチェックを含む高度な睡眠データの提供を可能にしているとパクは言う。

その中心的な機能のひとつが、1日の心身の準備状態を示すとされる「My Vitality Score」で、これはジョージア大学で臨床的に検証されたモデルに基づいている。Fitbitの「エナジースコア（Daily Readiness Score）」やガーミン（Garmin）の「Body Battery」とは異なり、起床時に「認知負荷テスト」を開始し、1日を迎える準備がどの程度整っているかを確認する。同機能はGalaxy Watchにも搭載予定だ。

My Vitality Scoreは「Booster Card」と呼ばれる機能と対になっている。ユーザーが1日中アクティブに過ごし、よりよい習慣を維持するためのアドバイスを、「科学的裏付けのあるインサイト」から提供してくれるものだ。時計メーカーのシチズンは23年、同様の機能を搭載したスマートウォッチを発表しようとしたが、問題やバグが多発したため店頭から撤去した。

軽くて着けやすい。カラーは現時点で3色

Galaxy Ringを実際に手に取ってみたが、驚くほど軽くて着けやすい。サイズは数種類から選べ、自分の指に合ったリングを選ぶには試着が必要だ。展示されていたサンプルはゴールド、シルバー、ダークグレーの3色だったが、サムスンは変更の可能性があると繰り返した。素材についてパクは口を閉ざしたが、耐久性を念頭に置いているという。

Galaxy Ringは24時間365日、健康データをトラッキングするが、正確なバッテリー寿命は明かされなかった。スマートリングに関しては「数日以上」という一定の期待があり、サムスンはバッテリー寿命をできるだけ延ばすために取り組んでいる最中だという。ちなみに『WIRED』が試したところ、Oura Ringは3〜5日、Ultrahumanの「Ring AIR」はおよそ4日だった。

Galaxy RingはAndroidのスマートフォンにのみ連動する（iPhoneユーザーには残念な知らせだ）。スマートフォンやGalaxy Watchに限らず、将来的にほかのサムスン製ハードウェアや家電とどう連携できるかを模索しているとパクは強調した。今後どうなるか、もう少し様子を見る必要がありそうだ。

（WIRED US/Translation by Rikako Takahashi, Edit by Mamiko Nakano）

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