この夏を彩ってくれるサマーソング9選

旅先までの移動、フェス、バーベキューなど、夏になると音楽に触れるシーンが何かと増えてくる。そんな夏のひとときを彩り、思い出させてくれるのはどんな音楽だろうか。何を聴けばいいか迷っている人は、『WIRED』がこのリストで紹介する9曲を聴いてみては。
Colorful photo collage of Kylie Minogue Lil Durk Janelle Monae Jorja Smith and Rema
Illustration: Jacqui VanLiew; Getty Images

音楽はスポーツのように競争が激しい。そして、アーティストたちにとって夏は1年のなかで最も競争が激しくなる季節だ。果たしてどのミュージシャンが頂点に君臨するのだろうか。どの曲が繰り返し再生されるのだろう。そして、太陽に照りつけられた日々の記憶を彩ってくれる名曲はどの曲なのだろうか。

夏とともに記憶されるサマーソングは、わたしたちの記憶のなかで永遠に生き続ける。だからこそアーティストたちも、その“称号”を切望する。これらの曲は、真夏の陰りのない光のなかで、最も輝いていた屈託のないわたしたちの姿を思い出させてくれるのだ。

だが、競争の指標は急速に変化している。音楽配信サービスは、大量のコンテンツを抱えているし、TikTokは自分たちがはやりの音楽をいちばんよく知っていると思っているようだ(そんなことはなのだが)。そして、人工知能(AI)が生成した恐ろしい精度の楽曲が、メインストリームに浸透しつつある。

今年のサマーソングに『WIRED』選んだ9曲は、AIの甘い誘惑など、ものともしない強さがある楽曲たちだ。

Flyana Boss 「You Wish」

大親友のボビーとフォライアンによって結成されたFlyana Boss。ふたりは大学時代に出会い、共通の音楽の趣味によって仲を深め、「You Wish」という曲をつくり上げた。「わたしは砂糖、スパイス、カネカロン、そしてシナモンでつくられている / わたしと親友は双子みたい、そうシノニム(同義語)みたいに」といった、キャッチーな歌詞がこの曲には含まれている。

ふたりはつい最近TikTokでバズり始めており、もしかすると、ディズニーランドやロサンゼルスの街を走り回っている動画を観たことがあるかもしれない。Flyana Bossがペースを緩めることはないだろう。ふたりの音楽活動はまだ始まったばかりなのだから。

カイリー・ミノーグ 「Padam Padam」

この夏に何でも再生したくなってしまうような曲のひとつが、「Padam Padam」だろう。耳の中できらびやかに鳴り続けるこの曲は、情熱がほとばしるダンスチューンなのだ。カイリー・ミノーグが0月に発表する予定のアルバム『Tension』に収録されるこの曲は、欲望について歌っていて、すべてを求めているかのようだ。

「そろそろクラブから出て行く時間だと思わない」と、ミノーグは歌う。「言葉なんて使わなくていいの」

ハドソン・モホーク、ニッキ・ネアー feat. テイラ・パークス 「Set the Roof」

「Set the Roof」は空気感を感じるための曲だと思ったほうがいい。明るくきらめくシンセと粘り気のあるハウスビートの上で、この夏という季節の気分を存分に呼び起こしてくれる(フィーチャリングされているテイラ・パークスは、アリアナ・グランデの「Thank U, Next」の共同作曲家だ)。夏がずっと続いてほしいと思うように、この曲も止めることなく聴き続けたくなってしまう。ついでに、ニッキ・ネアーが出演していた22年のBoiler Roomのパフォーマンスも聴いてみるといい。

ジャネール・モネイ 「Lipstick Lover」

南国の雰囲気が漂い、さまざまな要素が取り入れられているジャネール・モネイの4作目となるフルアルバム『The Age of Pleasure』。このアルバムのリードシングル「Lipstick Lover」の曲調は、センシュアルな雰囲気であふれている。モネイは「自由なマザーファッカーたちに捧げる曲」と呼んでいる。太陽色のレゲエのリズムの上で、モネイは性的な自由を通じて自分を解き放つ方法を模索している。

Pheelz 「YOLO」

ヒット曲を連発しているナイジェリア出身のプロデューサーPheelz(フィールズ)は、みずみずしいアフロビーツを土台としながら、ミレニアル世代の気分を表現している。曲のタイトルは、ドレイクが自身の曲「The Motto」で広めた言葉「You Only Live Once(人生は一度きり)」の頭文字を取ったものだ。「YOLO」の幸福感は、Pheelzが22年に発表した大ヒット曲「Finesse」のように伝染する。

ジョルジャ・スミス 「Little Things」

思わせぶりでテンポが速く、甘いテクスチャーが広がる「Little Things」は、パーティーですてきな人との出会いを演出するためには欠かせない曲だ。「小さなことで心が浮き立つの」と、スミスは歌う。「一緒にわたしと夜を過ごしてみない?」

リル・ダーク feat. J.コール 「All My Life」

ドリルラッパーのリル・ダークは、世の中に対抗するための“男っぽさ”を捨て、忍耐と直面した苦難をすべて優しく包み込んでいる。J. コールのラップと愛らしい子どもたちの合唱をバックにした「All My Life」は、いつものダークの曲とは少し異なるとはいえ、最高であることには変わりない。そして、米国版のBillboard Hot 100でナンバーワンを獲得しているのだ。

サンファ 「Spirit 2.0」

6年の活動休止を経て復帰を果たし、6月にはロンドンとニューヨークでレジデンシー公演を成功させたサンファ。彼は、悲しみを超えて生きることの意味をかみ砕いて内省した「Spirit 2.0」で、圧倒的なパフォーマンスを披露している(サンファは17年に発表されたデビューアルバム『Process』がリリースされる直前に母親をがんで亡くした)。

サンファによると、この曲は「自分と他者のつながりの重要性、そしてただ存在することの美しさと厳しい現実」について歌っているという。まさにそう感じられる。

ビヨンセ feat. ケンドリック・ラマー 「America Has a Problem (Remix)」

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今回のリストには入りきらなかったおすすめのサマーソングは以下の通りだ。

ケレラ 「Contact」

イェジ 「Done (Let’s Get It) 」

ボーイジーニアス 「Anti-Curse」

ジェシー・ウェア 「Pearls」

マイリー・サイラス 「Violet Chemistry」

タイラー・ザ・クリエイター 「Wilshire」

ローラ・ブルック 「Just Relax」

レマ 「Calm Down」

WIRED US/Translation by Naoya Raita)

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