FASHION

都市に溶け込む服だがそれを着ているという確かな実感がある:Wool Silk Shirt by COMOLI

ファッションはシーズンを積み重ね、着実に前進する。まるで進化圧のように。もちろん歩幅はまちまちで、あるいはわずかな差異かもしれないが、どこかに新しいアイデアとクリエイションが結晶しディテールとして表れている。もちろん、シンプルなコモリのシャツにも。
Wool Silk Shirt by COMOLI:都市に溶け込む服だがそれを着ているという確かな実感がある
PHOTOGRAPH: MASATO KAWAMURA

徹底してシンプルで飾り気もなく、都市に溶け込むような服であるのは間違いない。ユニークなのは、にもかかわらずコモリの服は、それを着ているという確かな実感があること。違和感というほどでもないが、着る人の生活に溶け切らず、むしろ日常のなかの着るという行為のパラメータを変化させていく。

例えばウールシルクのプルオーバーシャツ。これまでも何度となく、素材の混紡率やパターンを変えながら継続的につくられてきた(明確なシーズンテーマなどはなく、このような微調整を繰り返していく)。

何しろ軽快で乾きやすい生地は、涼しさと程よい温もりがあり、ゆったりとしたシルエットとシルクの艶やかさは、着るほどに素肌になじんでいくだろう。近年の暑過ぎる都市を反映したシャツは、それでもなお不思議な色気をとどめるはず。

ウールシルクプルオーバーシャツ ¥52,800、コットンチノパンツ ¥46,200〈ともにCOMOLI/ワグインク TEL.03-5791-1501〉

PHOTOGRAPH: MASATO KAWAMURA

Photographs by Masato Kawamura. Hair by Nori Takabayashi. Make-Up by Suzuki. Edit by Satoshi Taguchi, Akane Ono

※雑誌『WIRED』日本版 VOL.52 特集「FASHION FUTURE AH!」より転載。


雑誌『WIRED』日本版 VOL.52
「FASHION FUTURE AH!」

ファッションとはつまり、服のことである。布が何からつくられるのかを知ることであり、拾ったペットボトルを糸にできる現実と、古着を繊維にする困難さについて考えることでもある。次の世代がいかに育まれるべきか、彼ら/彼女らに投げかけるべき言葉を真剣に語り合うことであり、クラフツマンシップを受け継ぐこと、モードと楽観性について洞察すること、そしてとびきりのクリエイティビティのもち主の言葉に耳を傾けることである。あるいは当然、テクノロジーが拡張する可能性を想像することでもあり、自らミシンを踏むことでもある──。およそ10年ぶりとなる『WIRED』のファッション特集。詳細はこちら


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