日本各地に根をおろす工房や工場には、まだ見ぬものづくりの可能性がある。マメ クロゴウチのデザイナー、黒河内真⾐⼦のクリエイションは、それを丁寧に静かにすくっていくかのようだ。
例えばこの春のシーズンは佐賀県有田の陶工に着想を得ている。そして2023年のコレクションでは芸術の域に達した飯塚琅玕齋の竹籠を起点に、九州の竹細工、京都の履物へと拡がった。同年春夏コレクションで生み出された「履物 関づか」とのコラボレーションがそれにあたる。
シープレザーをインソールと鼻緒に配し、ミッドソールにはクッショニングに優れたEVAを使用。伝統の職人技を慈しみながら、現代の技術もてらいなく注いでいく。軽やかな履き心地と端正な佇まいに和も洋もないのだった。
「履物 関づか」ライトソールサンダル ¥42,900〈Mame Kurogouchi/マメ クロゴウチ オンラインストア〉
Photographs by Masato Kawamura. Hair by Nori Takabayashi. Make-Up by Suzuki. Edit by Satoshi Taguchi, Akane Ono
※雑誌『WIRED』日本版 VOL.52 特集「FASHION FUTURE AH!」より転載。
雑誌『WIRED』日本版 VOL.52
「FASHION FUTURE AH!」
ファッションとはつまり、服のことである。布が何からつくられるのかを知ることであり、拾ったペットボトルを糸にできる現実と、古着を繊維にする困難さについて考えることでもある。次の世代がいかに育まれるべきか、彼ら/彼女らに投げかけるべき言葉を真剣に語り合うことであり、クラフツマンシップを受け継ぐこと、モードと楽観性について洞察すること、そしてとびきりのクリエイティビティのもち主の言葉に耳を傾けることである。あるいは当然、テクノロジーが拡張する可能性を想像することでもあり、自らミシンを踏むことでもある──。およそ10年ぶりとなる『WIRED』のファッション特集。詳細はこちら。