ボーイングの宇宙船「スターライナー」、悲願の有人飛行が打ち上げへ

ボーイングが開発した有人宇宙船「Starliner(スターライナー)」による初の有人試験飛行の打ち上げが予定されている。これは事故などで厳しい状況にあったボーイングにとって、悲願の打ち上げとなる。
Photo of  The United Launch Alliance  Atlas V rocket is transported to Space Launch Complex 41 at Cape Canaveral Space...
Photograph: Miguel J. Rodriguez Carrillo/AFP/Getty Images

ここ数年にわたって厳しい状況が続いていたボーイングだが、かつてないほど太陽に近づいて飛ぼうとしている。ボーイングが開発した宇宙船「Starliner(スターライナー)」による初の有人試験飛行の打ち上げが、約10年にわたる開発とスケジュールの遅延を経て5月6日(米国時間、日本時間の7日)に実施されるのだ[編註:スターライナーを搭載するロケットのエンジンバルブに問題が見つかり、打ち上げは延期された]

この打ち上げはボーイングと米航空宇宙局(NASA)による共同プロジェクトで、米東部標準時の5月6日(月)午後10時34分(日本時間の7日午前11時34分)に予定されている。中継はNASAの公式ウェブサイトYouTubeチャンネルなどで配信予定だ(この記事でも下のYouTube動画から視聴できる)。

なお、オンラインでの中継は、打ち上げ予定時刻の約4時間前となる米東部時間の6日午後6時30分(日本時間の7日7時34分)からスタートしている。

ボーイングとNASAにとっての悲願

スターライナーの打ち上げは長きにわたって待ち望まれていた。この待望の打ち上げによってボーイングはNASAとパートナーシップを組み、スペースXに続いて人類を宇宙へと運ぶ2番目の企業に正式になるからだ。

スターライナーにはNASAの宇宙飛行士のスニータ・ウィリアムズとバリー・ウィルモアが搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)へと向かう。今回の計画では、宇宙飛行士は1週間ほどISSに滞在してから地球へと戻る。帰還の際には同じ宇宙船で大気圏に再突入し、パラシュートで着陸する計画だ。

このミッションが滞りなく成功すれば、経営難に陥っているボーイングにとっても朗報になる。ここ数カ月のボーイングは民間航空会社のフライトで技術的な不具合が相次ぎ、旅行者を恐怖に陥れるたというニュースが続いたことで、望まなかったであろうかたちで注目されてきた。しかも、2018年と19年に「ボーイング 737MAX」が墜落して以降のことである。

ボーイングは明らかに世間の評価を取り戻し、より多くの人々を宇宙に送り出すという未来を中心に新しいスタートを切りたいと考えているのだ。

(Originally published on wired.com, translated by Daisuke Takimoto)

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