ビジネスの「リジェネラティブ・シフト」に乗り遅れるな! 「ファッション」を切り口に環境再生事業を考える注目のワークショップを開催

気候危機のさなか、ビジネスにおいても「リジェネラティブ・シフト」が求められている。環境負荷を下げるだけではなく、環境再生に寄与する事業はいかにして実装可能だろうか? WIRED CONFERENCE 2022で注目のワークショップ「循環型ファッションのためのプロトタイピングガイド」でぜひその答えを見つけてほしい。
ビジネスの「リジェネラティブ・シフト」に乗り遅れるな! 「ファッション」を切り口に環境再生事業を考える注目のワークショップを開催
PHOTOGRAPH: KAI TAMAKI

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WIRED CONFERENCE 2022 開催!

【10月14-15日開催】WIRED CONFERENCE 2022
手を動かし、いざ実装! ハンズオン型カンファレンス開催!

ウェルビーイング、ミラーワールド、リジェネラティヴ、Web3……「未来を実装するメディア」を掲げ、そのための最重要コンセプトをいち早く社会に問うてきた『WIRED』日本版が満を持して開催する、「学び、手を動かし、仲間をつくる大人のためのワークショップ・フェスティバル」。

リ・ジン、グレン・ワイル、陳楸帆といった豪華スピーカーによる講演や、「SFプロトタイピング」「Web3×公共」などをテーマとしたトークセッション連動型ワークショップ、そのほかNFTバッジの配布や展示など、さまざまなコンテンツが目白押しな2日間の祭典、ぜひ奮ってご参加を! 【特設サイトで詳細を見る】

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気候危機が前景化するなか、ビジネスにおいても「リジェネラティブ・シフト」が求められている。環境負荷を下げるだけではなく、環境再生に寄与する事業のあり方とは? それはいかにして実装可能? そんな問いへの答えを探したい方は、WIRED CONFERENCE 2022で開催されるワークショップ「循環型ファッションのためのプロトタイピングガイド」にぜひ参加してほしい。「リジェネラティブなファッション」を切り口に地球環境の未来を考える必然性を、ワークショップを主宰するSynflux CEOの川崎和也と考えた。

関連イベント: THURSDAY EDITOR'S LOUNGE 10月6日(木)19:00開催
循環型ファッションの未来をプロトタイプせよ!」 ゲスト:川崎和也(Synflux CEO)
 

劇的なトランジションを迎えるファッション産業

ファッション業界ではいま、「サーキュラー」や「リジェネラティブ」への劇的な転換が進められている。2019年8月にフランスで開かれたG7サミットでは、「気候変動」「生物多様性」「海洋保護」の3つを軸に環境回復のためのアクションについて実践目標が掲げられたり、日本でも環境や文化の側面からファッションの未来を考える研究会を経済産業省が主導するなど、世界各国においてファッションの環境・経済・社会的持続可能性が模索されているのだ。

実際に、ファッション産業は新製品を売ることが最優先され、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファストファッションが台頭する業界構造となっており、世界でも二番目の汚染産業だと国連貿易開発会議に指摘されている。世界全体の二酸化炭素排出量の約8%、水質汚染の原因のうちの約20%を占めるとも言われているのが現状だ。

このような現状に一石を投じるアプローチとして注目されているのが、「バイオマテリアル」「コンピュテーショナル・デザイン」「バーチャル・ファッション」だ。

3つの未来の兆し

例えば「バイオマテリアル」は合成繊維や天然皮革に比べて環境負荷が低く、循環を前提に衣服が生産できると考えられている。遺伝子組み換え技術などのバイオテクノロジーの登場により、キノコといった​​自然素材から微生物が生成するタンパク質までを繊維として利用できるのだ。

例えば、米国のスタートアップMango Materialsは、メタンガスをバクテリアに食べさせることで生成する生分解性プラスチック「ポリヒドロキシアルカン酸」(通称PHA)を使った布製品用の生地を発表した

PHAの生地は土壌や海中にて自然に分解されることに加えて、その過程で発生するメタンガスを細菌によって再びバイオポリエステルへと合成できる。合成されたバイオポリエステルは、新たな製品へとリサイクル可能だ。つまりPHAなどのバイオマテリアルは、地球全体のよりよい循環をデザインする可能性をもっているのだ。

次に注目されるのが、型紙の生成やシュミレーションをコンピュータに代行させるコンピュテーショナル・デザインのアプローチだ。近年では、3Dスキャンされた身体データをもとに型紙を作成し、素材をシュミレートした衣類のサンプルをアバターに着せることができるソフトウェアも開発されていて、より高い精度でのシュミレーションが可能になっている。

将来的にはコンピュテーショナル・デザインの発展により、無裁断で衣服を制作したり、裁断ゴミをゼロに近づける型紙作成アルゴリズムが登場すると期待されており、環境問題へのラディカルなアプローチとして注目される。

最後に、XRテクノロジーの発展により仮想と現実がシームレスにつながりつつある現代において注目されるのが、バーチャル・ファッションだ。メタバースやミラーワールドにおいても、人々は現実空間と同じようにアイデンティティの確立のためにファッションを求めるようになっている。

実際に、グッチやラルフローレン、バレンシアガなどの数多くのブランドがバーチャル・ファッションを展開しており、ファッション業界における新たな経済圏が登場している。

またバーチャル・ファッションの販売には、強力なサプライチェーンを必要としないため、若手のクリエイターであっても比較的簡単にブランドを展開可能だ。そのため、ファッション業界におけるニューウェーブが登場することが期待されている。

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ファッションを取り巻くエコシステムへの介入

このような未来の兆しを体感してもらうべく、WIRED CONFERENCE 2022では、トークセッション連動型のワークショップを開催する。

「A GUIDE TO REGENERATIVE FASHION:循環型ファッションのためのプロトタイピングワークショップ」と題した今回のプログラムで講師を務めるのは、先端的なテクノロジーを駆使し、惑星のためのファッションをつくるスペキュラティブ・デザインラボラトリーSynfluxだ。

同社は、2022年9月に京都工芸繊維大学KYOTO Design Labの特任教授を務める水野大二郎と書籍「サステナブル・ファッション: ありうるかもしれない未来」を発表し、サステイナブル・ファッションの実現に向けた提言を行なったり、製造における生地の廃棄ロスを削減するためのパターンメイキングシステム「アルゴリズミック・クチュール」を開発し、本アプローチでつくられた衣服の展示をしたりなど、テクノロジー×ファッション×サステナブルの最前線で活躍している。

また、Synflux CEOの川崎和也は『WIRED』日本版が主催する「CREATIVE HACK AWARD」にて2年連続で特別賞を受賞している。​​2017年のアワードで特別賞をとった「Biological Tailor-Made」は、3Dスキャンによって制作された義体上にバクテリアセルロースを培養させることで、バクテリアとの協働を通したファッションデザインを模索した作品だ。

アワードを受賞した当時から現在に至るまで川崎のなかで一貫するファッションへの姿勢は「非人間的な要素を含めたファッションを取り巻くエコシステムへの介入」だという。

「ファッション産業は、実は労働者やデザイナーが中心というわけではない。繊維や機材、流通、データといった非人間により構成される部分も多いんです。人間と非人間の集合体によるアッサンブラージュにより、巨大で複雑な産業が成り立っている。洋服の価格を上げる、リサイクルを啓蒙するといったシンプルな解では複雑な問題を解くことはできず、洋服にかかわる生活や生産全体のリ・デザインが必要なんです」

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具体的なワークショップの中身は?

ワークショップの参加者は、自身が「リジェネラティブ・ファッション」のスタートアップを立ち上げたという設定で、いまのファッション産業の構造をどのように変えられるのかを考えていく。そんな実践的なワークショップを設計するにあたってSynfluxが重要視したのは、カンファレンスのテーマでもある「実装」の視点だという。

「世界各国のプレイヤーにより、サーキュラーやリジェネラティブに関する多くの提言がなされてきました。同時に、環境回復のためのファッションテックも急速なスピードで発展しつつあります。だからこそ、それらの概念やテクノロジーをどう社会に実装するか検討することが大切なフェーズなんです」

本ワークショップでは、Synfluxが『WIRED』日本版と共同開発した「リジェネラティブ・ファッションのためのプロトタイピングガイド」を用いることで、たとえこの分野に精通していなくても、手を動かしながら考えアイデアを実装できるような内容となっている。

具体的には次のとおりだ。学際的かつ実践的なサステナブル・ファッションへの提言書である「Sustainable Fashion Management」にて紹介されている9Rモデル(Reduce, Reuse, Recycleの「3R」に、Redesign, Reimagine, Rewear, Restyle, Reclaim, Reconfigureの6つのRが加えられたもの)に基づいた事例カードを用いて、ファッションに関する新しいサービスを考案する。

例えば、ReduceであればSynfluxの手掛けるAlgorithmic Coutureを例に「もし【アルゴリズム】が【布の廃棄】を減らせたら?」という問いが書かれている。そうした先進的なファッションに関する事例を参照しながら、事業のアイデアを検討していく。

アイデアを考案したあとは、「つくる→使う→捨てる」の循環のなかにそのアイデアがどのように位置づけられ、既存のシステムをどのように変革可能かまでを想像していく。

ワークショップでは「ファッション」を題材として扱うものの、あらゆるビジネスにリジェネラティブやサーキュラーの視点が求められるからこそ、そこで得られた知見はみなさんの関わるビジネスにも転用可能なはずだ。この機会に興味のある方はぜひご参加いただきたい。


【10月14-15日開催】WIRED CONFERENCE 2022
手を動かし、いざ実装! ハンズオン型カンファレンス開催!

ウェルビーイング、ミラーワールド、リジェネラティブ、Web3……「未来を実装するメディア」を掲げ、そのための最重要コンセプトをいち早く社会に問うてきた『WIRED』日本版が満を持して開催する、「学び、手を動かし、仲間をつくる大人のためのワークショップ・フェスティバル」。

リ・ジン、グレン・ワイル、陳楸帆といった豪華スピーカーによる講演や、「SFプロトタイピング」「Web3×公共」などをテーマとしたトークセッション連動型ワークショップ、そのほかNFTバッジの配布や展示など、さまざまなコンテンツが目白押しな2日間の祭典、ぜひ奮ってご参加を! 【特設サイトで詳細を見る】

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