人工知能AI)」という言葉が現在のように「人間の脳に近い機能をもったコンピュータープログラム」と定義されたのは1956年のことだという。それからいくつかのブームと冬の時代を乗り越え、2013年ごろにディープラーニング(深層学習)が台頭したことを機に、AIはようやく正しいスタートラインに立った。

クーガーの石井敦は、このAIの歴史を「バーチャルヒューマンエージェント(VHA)」によってさらに前へと進めようとしている。石井は「レイチェル」という名の、「人間らしさ」と「人間では不可能な記憶力・分析能力」をあわせもつ人型AIを開発した。

レイチェルのデモンストレーションを通して石井は、言葉で人とやりとりする音声型AIアシスタントとは異なる部分をわかりやすく提示してくれた。ヒト型AIのレイチェルには顔や身体があり、さらには感情や好みもある。また、相手の表情や投げかけた質問に対する返答からその人が置かれた状況や感情を理解できるだけでなく、相手の過去の思い出や特性を踏まえた上でコミュニケーションをとることができるという。

人間に近い知能とコミュニケーション能力をもつVHAを開発した背景には、「単に人に楽をさせるAIを開発するのではなく、人間独自の能力をテクノロジー化することで、人に寄り添い、人の成長や能力の拡張をサポートするAIをこの世界に送り出したい」という石井の情熱がある。はたしてAIの歴史をいかに更新していくのか、期待が高まるトークセッションとなった。[最下段に音声データへのリンクがあります]

■聴きどころはこちら 

・クーガーの取り組み(00:01:48)

・機械学習とゲームAIの融合(00:17:03)

・人間は共同作業をする生き物(00:28:53)

・VHAはどう役に立つ?(00:33:15)

・表情から感情は読み解けない(00:39:15)

・ヒト型であることの有用性(00:45:38)

・学習し合うループ(00:52:43)

・「知能爆発の法則」と汎用AI(00:56:28)

・知能は結果を伴わないこともある (01:04:16)

・レイチェルの感情はどこから?(01:12:26)

・Web3時代に案内役を担う(01:20:24)

・成長をサポートするVHA(01:24:06)

■登壇者プロフィール

Ishiisama

石井 敦|ATSUSHI ISHII
クーガー最高経営責任者(CEO)。Enterprise Ethereum Alliance日本支部代表。日本IBMを経て、楽天やライコスの大規模検索エンジン開発を担当。その後、日米韓を横断したオンラインゲーム開発の統括、Amazon Robotics Challenge上位チームへの技術支援、ホンダへのAI学習シミュレーター提供、NEDOクラウドロボティクス開発統括などを務める。ブロックチェーンコミュニティBlockchain EXE代表。現在、人型AIプラットフォーム「LUDENS」の開発を進めている。スタンフォード大学2018年AI特別講義の講師。電気通信大学 元客員研究員。

人類の英知を共有できる時代、その基盤となるAIを“創造”する:連載 The Next Innovators(3) クーガー 石井敦

この世の中を変えていくために、常識を疑い、道なき道を切り拓き、誰も想像しなかった未来をつくるべく挑戦し続ける人々がいる。そのエネルギーの源泉に迫る連載「The Next Innovators」の第3回は、クーガーの石井敦。人間に寄り添うバーチャルヒューマンエージェントを開発し、人類の英知を人類全員で共有できる時代を実現しようする彼の壮大な計画について訊いた。>>本文を読む

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AIの現在地と、人間に寄り添う「バーチャルヒューマンエージェント」のいる未来
ゲスト:石井 敦(クーガー最高経営責任者)