さよなら「家電っぽいカメラ」。2019年に買った3台のカメラ

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  • author 照沼健太
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さよなら「家電っぽいカメラ」。2019年に買った3台のカメラ
Photo:照沼健太

「ライカユーザー増えていませんか?」 そんな裏テーマを持って臨んだのが、2019年の明け間もない頃に行った写真家 佐藤健寿さんへのインタビュー

佐藤さんの審美眼と先見の明を紹介したこの記事は大きな反響を呼び、「ライカ欲しくなった」という感想をいただいたのですが、それは僕も同じでした。

というのも、2018年のうちに「2019年はライカを買う」という目標を立てていたのです。

そんな目標を叶えた2019年。新たに購入したプライベート用のカメラ3台をご紹介します。

やっと出会えたカメラ「ライカM10-P」

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Photo:照沼健太

写真を撮るのが好きです。「仕事」としてだけではなく、生活の中で撮るスナップも好きです。

でも、「日常的に持ち歩く道具」として考えた場合、正直なところ世の中のほとんどのカメラが好きではありませんでした。

5D Mark II、6D、α7RIIIなど、“仕事道具”として気に入っていたカメラはありますが、どれもプライベートで持ち歩くには大きかったり、そのルックスから醸し出る”仕事用”っぽいニュアンスが常に引っかかっていました。

「では、どんなカメラなら持ち歩きたいのか?」と考えると、それはバルナックライカあるいはM型ライカ。そこで選んだのが、現行M型ライカの中でも特にミニマルな「M10-P」でした。

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Photo:照沼健太

まるでアップル製品かのようなボタンの少なさ、真鍮のヒンヤリとした質感にマットな仕上げ、シルキーで静謐なシャッター音など、とにかく使っていて気持ちの良いカメラです。

そしてM10-P自体はずしりと重いのですが、レンズを含めれば他のフルサイズシステムよりも断然コンパクトかつ高画質。そして何より美しいのに主張しないデザインのおかげで、圧倒的描写力を誇る現行レンズから約90年前のヴィンテージレンズまで、いろんなレンズをつけて毎日どこへ行くのにもカメラを首からぶら下げるようになりました。

では、以下作例をご紹介します。

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

毎日持ち歩くフィルムカメラ「コンタックスT3」

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Photo:照沼健太

次はフィルムカメラ。

ここ数年かけて人気が上昇しているフィルム写真ですが、なかでもこのコンタックスのコンパクトカメラ「T3」は、おそらくフィルムカメラの中でもっとも人気が高い一台。5年前と比べると中古相場は3倍程度に高騰しています。

その人気の秘密は「とにかくみんな使っているから」。国内外問わず、ミュージシャン、クリエイター、モデル、アイドルなど、業界で「フィルムカメラ使ってます/買いました」という人は大体このT3か、前モデルの「T2」を使っている気がします。

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Photo: 照沼健太

何がそれくらい良いのかというと、チタンボディの軽量コンパクトな携帯性。そしてツァイスの35mm単焦点レンズの描写力を、プログラムオートで気軽に楽しめる点。

僕はM10-PについてはISOまでフルマニュアルで使いますが、T3を使うときは基本シャッターしか操作しません。

さて、これの購入理由は一つ。「(敬愛する)ヴォルフガング・ティルマンスが以前使っていた」からです。ただ、このT3を手にするのは今回が初めてではありません。数年前に盗難に遭ってずっと心残りだったものを、ようやく再購入するに至りました。

では、以下作例をご紹介します。

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo: 照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

旅の相棒。防塵防滴・高画質の反則カメラ「ライカQ2」

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Photo:照沼健太

ここまでプライベート用カメラのお気に入りを紹介してきたのですが、このライカQ2に関しては”仕事用のサブカメラ”というつもりで(仕事用のお財布から)購入した1台でした。

なにせ4600万画素のフルサイズセンサーに28mm単焦点のズミルックスを組み合わせたこのQ2は、”コンデジ”とは思えない非常に高価なカメラですし、M10-Pがあれば私用で他のデジタルは不要だと思っていましたから。

しかし、なんだかんだでプライベートでも重宝してしまっているのが、このカメラの魅力を表しているエピソードかと思います。

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Photo:照沼健太

防塵防滴、AFが効いて片手操作OK、さらにマクロ撮影可能。それでいて写真のクオリティーは紛れもないライカ。言ってみれば「反則」です。

iPhone感覚でその辺の被写体を撮れば、その空間を混じりっけなしのガラスでラミネートしたような美しい写真のできあがり。しかも雨の日も風の日も持ち出せてしまう。この感覚は、ぜひ一度味わってみていただきたいところ(戻って来られなくなる可能性もありますが…)。

ということで、旅行時やちょっと飲みに出かけるときには大体このQ2(デジタル)とT3(フィルム)の2台を持ち出すようになりました。

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

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Photo:照沼健太

以上、2019年に購入して気に入っている3台のカメラをご紹介しました。

M型ライカに、中古のコンパクトフィルムカメラ、防塵防滴のタフなコンデジというセレクトは、図らずも変化を象徴している気がします。

上記の通り2019年は弩級の散財をしてしまったので、2020年プライベート用カメラを購入するつもりはありません。ありませんが、α7Sの次機種でソニーがどんな方向性を打ち出すのかはとても気になっています。

というのも、今後のカメラの進化の方向性として、「中判フィルムの画が撮れるデジタル」というのがあると思うんです。「今それに近いのって、α7S系では?」と期待しています。