カメラを使う理由は人の数ほど。ギズ編集部員のカメラチョイスをご紹介します

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カメラを使う理由は人の数ほど。ギズ編集部員のカメラチョイスをご紹介します
Photo: 西谷茂リチャード

カメラの存在意義とは?

ギズモード編集部、実はカメラ好きが多いんです。なのでカメラ特集の一発目では、僕/私たちが、どのようにしてカメラを選んでいるのか紹介します。

感性的な選び方から滲み出るギズ編集部のカメラ愛。ぜひ見ていってください。

綱藤公一郎:富士フイルム X-Pro3

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Photo: 綱藤公一郎

写真は光だ。

ってよく言いますけど、たしかに ぱぁーっと光が当たった景色ってきれいですよね。目で見たままの光をOVF(光学ファインダー)で狙ってシャッターを切れるX-Pro3がお気に入りです。

EVF(電子ファインダー)で被写体を覗くとなんか冷めちゃうことありませんか? 不思議なことに「わーきれいだなー」とアタマのなかお花畑状態のままでシャッターを切ったほうが、あとから見たときにいい写真に見えるんですよ。

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Photo: 綱藤公一郎

背面液晶も隠されているので、カメラの中で現像された結果を見るのは家に帰ってからの話になります。だからこのカメラを使いはじめてから、撮影をする楽しみと写真を見る楽しみが別々に味わえるようになりました。2倍楽しめるカメラなので、実質半額ということです。お買い得なんです。

金本太郎:Insta360 Go

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Photo: 金本太郎

Narrative Clip 2」に代わる新しいライフログカメラ(日々を記録するカメラ)として「Insta 360 Go」を買ったのですが、これが面白くって毎日持ち歩いています。

撮影できる画像はGoProのようなアクションカメラと似ています。でも超軽量・防水で場所や環境を選ばなくって、粘着パッドやクリップと言ったオプションも豊富、「この視点から撮ろう」と思ったらすぐカメラを設置できるのがユニーク。ドローン撮影のような「第三者視点からの撮影が簡単に実現できる!

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Photo: 金本太郎

短い動画やハイパーラプスを細かくつなげていく編集方法も気に入っていて、私のアルバム(=外部記憶)にちょこちょこ動画が入り込むようになりました。

佐々木崇:Leica M9

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Photo: 佐々木崇

ずばり、ものぐさのためのカメラですよ。

なんでそのカメラを使っているかというお題をもらったときに、お気にのLeica M9をスリスリしながら、フルサイズでこの大きさだから!とか、この操作性が!とか、デザインが!とか、CCDが!とか、M型レンズの写りの良さが!とか、理由を山ほど考えたんです。まあ確かに、上に挙げたものはすべて良いんですけど、結局何がいいんだって考えたら、面倒じゃないってことに気が付きました。

AFがついてないカメラなんて面倒だと思われがちですが、基本的には単焦点のレンズしかつけられないので画角で迷うこともないし、ゴリゴリとRAW現像しなくてもJPEG撮って出しでいい感じの写真が撮れるし、カメラ自体の設定も多くない。ものぐさには、そういうひとつひとつの選択が、面倒でしかなかったんです。

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Photo: 佐々木崇

「撮る」っていう行為自体を楽しみたい自分にとっては、M9は、色々な選択肢に思考を奪われない最高のカメラです。ほかのM型ライカも選択肢に入ったんですけど、最終的には握ったときのフィーリングと、大げさなシャッター音が決め手になりました。

尾田和実:OLYMPUS AIR 01

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Photo: 尾田和実

僕が今一度使いなおしてみたいと思っているのはオープンプラットフォームカメラ、OLYMPUS AIR 01です。

5年も前のカメラなんですが、サマリーポケットから引っ張り出してきました(笑)。こういうスマホと連携させて使うことを前提としたカメラって、昔は結構あったのに今はすっかりみなくなっちゃいましたね。

背景にスマホのカメラが二眼、三眼となり、基本性能が圧倒的に向上してレンズ交換ができるアクセサリーが不要になったことがある気がします。これって今のテクノロジー全般に言えることなんですよね。機能性が向上して便利になれば、それを補完する「道具」は不要になる。結果、ジャンルの隙間を埋めるようなハイブリットなプロダクトは消滅する。

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Photo: 尾田和実

でも、僕は未だに「いいとこどりのワクワク感が捨てきれない。それってすごく人間的な所作だと思うんです。だからガジェットでもカルチャーでも、横断的、超越的な存在にこそ惹かれます。そんな自分の原点を確認するために、あえてこの不可思議なカメラを使いなおしてみようと思ってます。でも、専用アプリまだ使えるのかな…。

戸田:iPhone SE

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Photo: 西谷茂リチャード

カメラらしいカメラ、持ってません。写真もあまり撮らないし、最近はインスタのストーリーにあげるくらいしか…。撮ることより、場の楽しみを優先してしまうのは、即物的なんでしょうか。

"写真を撮ることが目的"ではない自分にとって、カメラを通して記録するのは、自分の記憶のためか、人に共有するためかのどちらかで、その衝動が生まれるのは、ほぼ音楽の現場(撮影OKの場のみ)です。もみくちゃになったりもするので、荷物はミニマム。ベストは手ぶら。

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Photo: 戸田

iPhoneSEは、小さくて、友達と連絡とれて、小さくて、写真と動画撮れて、SNSにすぐアップできて、小さい。ミニマルに完結するのが、美しくて好きです。

神山:Sony ILCE-6300(α6300)

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Photo: 神山拓生

2・0232 つづめて言えば、対象(注:事物)には色がない。

自分のカメラについて書けと言われて、とある本の一節を思い出しました。

私たちは空を見ると青いと認識しますが、その本質は空が青でないものと隣り合っている点にあるのではないか。別なものに取り囲まれているという関係性さえわかるなら、空の色を青と呼ばなくとも、青いと認識しなくてもいいのではないか。そんな意味合いでの「つづめて言えば色がない」。

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Photo: 神山拓生
α6300, CONTAX Distagon T* 28mm F2.8(35mm換算で42mm)

このカメラで撮った写真をモノクロにするとき、事物の関係性を切り撮るのがおもしろくて写真を撮っているのだなぁと改めて思います。精密に写し撮られた形や階調だけが残り、色はない。それでも晴れた休日に見た東京湾の一景であることは変わらない。描写が正確なカメラが気持ちいいのは、世界に通底している関係性をピクセル単位で捉えてくれるのがわかるからなのかもしれません。

Source:『ウィトゲンシュタイン・セレクション』(黒田亘編、平凡社ライブラリー)67頁

山本勇磨:Leica Q

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Photo: 山本勇磨

Leica Qは、フルサイズの大きいセンサーに、28mm F1.7の明るいレンズを一体化させたライカのミラーレス。ライカのなかでもっとも小さいフルサイズフォーマットカメラなのはもちろん、全フルサイズミラーレスのなかでも最小クラスです。たとえばα7 IIIが本体で約650g、Leica Qはレンズ込みで約640g。小さくて、AFもマクロも使える、もっとも便利なライカ」です。

最近聞いた話なのですが、最近のライカは開放F値でもっとも綺麗に解像するように作られているそうです。Leica QはF1.7。晴れた日は開放ではオーバーになります。しかし、Leica Qはメカシャッター(1/2000上限)から、自動で電子シャッター(1/16000上限)に切り替わります。つまりどんなシーンでも、ライカの繊細な画とボケが楽しめるわけ。

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Photo: 山本勇磨

編集部 佐々木が言うように、ライカが「思考を奪われない最高のカメラ」であることは紛れもありません。そうしたことからライカ=「感性のカメラ」と思われがちなのですが、その感性の裏にはしっかり練られたとしたテクノロジーがあるのです。そこがLeica Qの好きなところ。

西谷茂リチャード:Pixel 3

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Photo: 西谷茂リチャード

カメラ怖い。

2019年の半ばごろ、僕はお下がりでキヤノン EOS Kiss X2(一眼レフカメラ)をいただいたんです。2008年に発売された古いモデルなのに、2018年のスマホ=Pixel 3では撮れなかったディテールを軽々と掴むKiss X2。たとえ最新のモバイルテクノロジーの塊でも、10年前のエントリー向けカメラを全面的には追い越せていないことに驚きましたね。

なぜなのか調べるためにKiss X2を持ち歩くようにしたんですが、気づいたら2週末も費やしていました。普段は行きもしない公園や、気にも留めない路地。それらを写真に落とし込むために何時間も費やしてしまう。とても楽しかったし得るものも多かったです。

でも写真の管理用にハードディスクを購入したときに、僕はハッとしました。自分はこの写真をどうするのだろう? → 特になにもしない。なのに時間だけでなく金銭も投じている。これは……新たな趣味になりかけている…?

いやいやそれはだめだ! もう時間泥棒はYouTubeだけで十分だ!! …とPixel 3へ舞い戻りました。

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Photo: 西谷茂リチャード

いまの僕にとって、ある程度いい写真が省時間で撮れるのがGOODカメラ。この世で一番大事なものは時間だと思うんです。

あなたにとって最高のカメラ ほしい?

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