Wacom Oneレビュー:Wacom初スマホ連動タブレット、安さと作業効率を天秤にかけて

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
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Wacom Oneレビュー:Wacom初スマホ連動タブレット、安さと作業効率を天秤にかけて
Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US

液晶ペンタブユーザー必見。

先月発売されたばかりのWacom Oneを米GIzmodoがレビューしました。スマートフォンと連動して使えるのが特徴ですが、そのためにあるスキルが必要なんだとか。そう、コードをうまいこと手元の邪魔にならないように配線するスキルが…。


ライバルであるAppleが、安価モデルのiPadもApple Pencil対応で競争力を高めている今、Wacomは昨年650ドルのCintiq 16をリリース。そして先月、より安価モデル=400ドルのWacom Oneを発売しました。Wacom Oneには専用OSやバッテリーはありません。つまり、1台で完結するタブレットではなく、2台目ディスプレイということ。ターゲット層は、学生や若手アーティスト。Wacomの高値モデルタブレットと比較するとあれこれ機能が割愛されていますが、そのぶんWacom初となるスマートフォン連動(一部のAndroid端末)がついています。ただ、やはりそこは安価モデルなのでiPadと同レベルを期待してはいけませんけれど。

Wacom One

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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US

これはなに?:Wacomの液晶ペンタブレット。お手頃価格とAndroid端末連動が特徴。

価格:400ドル(4万2900円)

好きなところ:若手アーティスト向けのお手頃価格で使えるツール

好きじゃないところ:Android連携は素晴らしいけれど、実用性アップのためにOS改善の余地あり。

Wacom Oneの液晶ディスプレイは、16.5インチのCintiq 16よりもひと回り小さい13.3インチですが、画面解像度は同じ1,920×1,080px。小さめサイズはもちろん、軽いのが嬉しい。Wacom端末を数年レビューしてきた者としては、これなら旅のお供にしてもいいかなと今回初めて思いました。バッグのラップトップスリーブにもすっと入ります。Cintiq 16は、どちらかといえばオフィス常駐タイプでしたから。小さくて軽い持ち歩き端末が欲しい人には、Wacom Oneのほうが向いています。

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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
ペンをとめておく布製のループ


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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
折りたたみ足つき。作業するときに角度がつけられるので助かる


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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
ケーブルは外せるので、スリムに収納できる


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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
折りたたみ足つき。作業するときに角度がつけられるので助かる


端末の後ろに折りたたみ収納されている足で、角度つけて作業が可能。この足のさらに後ろにはスタイラスペンを収納できます。タブレットに布製のループもついているので、簡単にここにペンをくっつけておいてもOK。

安さの功罪

しかし、Wacom Oneの物理ボタンは電源ボタンの1つだけで、これは残念ポイント。正面からスクリーン見るとiPadに似ていますが、iPadをコンテンツ視聴などに使う人がいる一方、Wacom Oneはストイックにクリエイティブ作業ツール。となれば、ショートカットに使える物理ボタンがないのでは作業効率に影響があるかと。特に、Wacomの他モデルを使ったことがある人は戸惑うのではないでしょうか。また、Wacom Oneのスクリーンはスタイラスペンのみに反応、指で操作は不可。指でのピンチズームすらできません。特にPhotoshopやIllustratorユーザーでショートカットを多用する人は、手の届く範囲にラップトップまたは外付けキーボードを置いておかないと作業しにくいと思います。

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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US

付属のスタイラスペンもショートカット用ボタンが1つだけ。消しゴムチップもなし。ただ、ペンはWacomの高機能ペンや、Staedtlerなどサードパーティのペンも使えるので、お金はかかるけどアップグレードはできます。

価格以上の期待はなく…

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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
Cintiq 16同様、Wacom Oneでもスクリーン表面とスクリーン下部にギャップがあり、ちょっと作業しにくいことも。線描きや色ぬりでは問題ないけれど、例えばPhotoshopでマスクなど枠を閉じるときにやりづらい


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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
スマートフォンと明るさ比較。その差は一目瞭然


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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
スクリーングレアを抑えるためのマット加工が、明るさも制限してしまうことに


ディスプレイも優秀とは言いがたく…。色忠実度はNTSC規格の72%で、写真家の目にはフラットにうつるかと。Cintiq 16同様に、これではスクリーン上での色を信用してはなりませんね。Wacom液晶ディスプレイで採用されているマットスクリーンがWacom Oneでも使われており、これスタイラスペンの感度は抜群なのですが、グレアがちょっと気になる。画面の暗さも気になる。スマートフォンやラップトップと比べるとかなり暗いので、作業するなら暗めのお部屋でするのがいいと思います。

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Image: Andrew Liszewski/Gizmodo US
ワイヤレス接続、充電可能バッテリーがないのでこうなります。ケーブル繋ぎまくり

特徴であるAndroid端末との連携、Androidアプリと一緒にタブレットやペンが使えます。現状の使い勝手はそこそこ、ちょいちょい反応が悪いこともあり。また、初の試みなので連携できるAndroid端末には限りがある(Samsung Galaxy、Huawei P30 Proなど)上に、各端末によってアプリの対応レベルも違う(自動で横向きになるならないなど)のが煩わしい。ポテンシャルは感じるので、対応拡大に期待しておきます。

Wacom Oneの最大の難点はケーブル地獄。スマートフォンと連携させようと思ったら、HDMI対応のUSB-Cアダプタが必要です。さらに、電源ケーブル(タブレットに充電バッテリーなし)も要ります。サイズと軽さは持ち運びに最適ですが、このケーブル接続あれこれを、旅先の小さな机や移動中の膝の上で使うのは現実的ではないですね。難しいのも理解できまずが、後継機種のアップグレードで最も望むのはワイヤレス対応です。

低価格と引き換えに失った機能は多々あるものの、そこはやはりWacomのペンタブ。業界をリードしてきただけあって、スクリーンでのペン使い勝手は素晴らしいものがあります。iPad Proよりもずっと安くで手にはいることを踏まえれば、やはり若手アーティストや学生にはオススメしたい端末。ただ、いまだにPhotoshopをハードコアで使う人はデスクトップを好む傾向があるので、ゴリゴリ作業したいプロユーズには向きません。あくまでも、手が届きやすいエントリー端末にすぎず。

まとめ

・400ドルのWacom最安値液晶ペンタブ。価格と引き換えにショートカットボタンなどがなくなり作業効率は落ちる。スクリーンもプロ仕様にはほど遠い。

・新機能のAndroid端末連携は、現時点では使える端末、アプリにかなり制限があるのでこれからに期待したい。

・端末自体は薄くて軽くて持ち運びに適しているものの、ケーブル&電源必須なので要注意。

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