Timexスマートウォッチ「Ironman GPS R300」レビュー:ほぼ1か月充電不要で1万円台!

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  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
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Timexスマートウォッチ「Ironman GPS R300」レビュー:ほぼ1か月充電不要で1万円台!
Photo: Victoria Song(Gizmodo US)

気に入ったらありなのかも?

Apple Watch以外のスマートウォッチって、かなり悩みます。いろいろ高機能でも、結局は同じ価格帯なのであれば、Apple Watchでいいのかなって…。でも、なんと1万円台で購入できてしまう、あのTimex(タイメックス)のスマートウォッチシリーズ「Ironman GPS R300」は、とにかく安いので、気になります。米GizmodoのVictoria Songがレビューしていますよ。



Ironman GPS R300

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Photo: Victoria Song(Gizmodo US)

これは何?:フィットネストラッカー風のGPS搭載スマートウォッチ。

価格:120ドル(約1万3000円)。

好きなところ:とにかくバッテリーの持ちがよい! 安い。GPSトラッキング性能は正確。

好きじゃないところ:通知音がうるさすぎる。特筆すべき機能は一切ない。コーチング機能は限定的。ダサいインターフェース。

2016年にタイムスリップしたかのよう

今年に入ってから、再びTimexがスマートウォッチ市場に帰ってくることを知ったとき、正直いって当惑しました。なんといっても、そのデザインはとても2020年代の商品ラインナップとは思えない、まるで2016年のスマートウォッチとフィットネストラッカーを足して2で割ったかのように感じられたからです。

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Photo: Victoria Song(Gizmodo US)

ただ単にIronman GPS R300が古風に思えただけではありません。なんといっても、ベゼルが目立ちすぎです! それから大きなボタンとスワイプで操作するインターフェースには辟易してしまいます。

Timexのアプリはそれほど悪いものではないのかもしれませんけど、最新のフィットネストラッカーやスマートウォッチと比較するなら、Ironman GPS R300はシンクロにもアップデートのインストールにも時間がかかりすぎます。

あと一般的なGPS機能を搭載するスマートウォッチと比べて、なにも目立ったオリジナル機能などはありませんよ。プッシュ通知に、限定的ながらコーチング機能や半透過型液晶ディスプレイ、音楽コントロール、継続的な心拍数測定機能があって、そして当然ながら、GPS機能がついています。睡眠測定機能もあります。つまり、どのフィットネストラッカーにでもあるありふれた機能ばかり。

そもそもこれをスマートウォッチと呼んでよいのでしょうか? NFC決済機能もアプリストアもサードパーティアプリも音声アシスタントも、まったく使えません。2020年代のスマートウォッチからは、ほど遠いと考えてもよいでしょう。

古くさいけれど軽くて快適

ところが、これまで2週間ずっとIronman GPS R300を使ってみて、この1980年代のようなデザインは気に入らずとも、とにかく軽くて、24時間ずっとはめていても快適なんですよね。運動のトラッキングも、まずまず正確にこなしてくれます。あまり出来栄えはよくなくても、120ドル(約1万3000円)という低価格が魅力でしょうかね? 競合モデルとなりそうなFitbit Charge 3よりも30ドル、Fitbit Versa Liteよりは40ドル安くなっています。

約25日の連続使用ができるバッテリー

なによりもIronman GPS R300が優れているのは、バッテリーの持ちです。

Timexは、フル充電から全機能を使用して約25日間連続使用が可能と公式に発表しており、GPSをオンにしたままだと連続20時間の使用が可能としていました。本当なの? 最初そう疑っていました。

レビュー開始時に箱から取り出したとき、バッテリー残量は55%でした。それから2週間まったく充電していません。でもまだ29%も残っているんです。そんなに私は活動的なほうではありません。運動するとき以外は、継続的に心拍数をモニターする機能はオフにしていました。それでも、毎日30分間はGPSをオンにして運動し、15日連続で使用し続けたのです。バッテリー寿命だけは、とにかくすばらしいといえるでしょうね。

そんなにバッテリーの持ちを重視しない人もいますが、ウェアラブル端末を長時間使う上では大切だと考える人たちもいます。充電する頻度が下がれば下がるほど、腕にはめ続け、より活動量を正確に測定し続けることができるでしょう。

しばしば私は、Ironman GPS R300をはめていることさえ忘れていました。そのデザインは、目立つものでしたけど。充電スタンドへ夜置いたまま、忙しい朝に忘れて出かけてしまうといったケースが減るでしょうね。ウェアラブル端末は、シャワーを浴びるときに外すようにしていますが、Ironman GPS R300は5気圧防水なので、そうする必要は本当はないのかもしれません。

GPSが正確だけど捕捉に時間がかかる

バッテリー寿命以外にも、Ironman GPS R300には、運動のGPSトラッキング正確というメリットがあります。ただし落とし穴もありました。GPSシグナルを捕捉するまでに、ほかのスマートフォンやウェアラブル端末よりは時間がかかってしまうことが多くありました。それほど気にはなりませんでしたけど、運動を始めて同じ場所にとどまっていると、GPSシグナルを拾ってくれません。逆に歩き出したり、走り出したりすると、半ブロックほど進んだところで通知音が鳴ります。何度か本体右の真ん中のボタンを押すのを忘れて運動を始めてしまうと、この通知音が鳴りました。もう少しインターフェースに工夫を凝らしてくれてもいいかなと感じましたね。

ただし、全体の運動距離に対するGPSラグや、マイルごとのスプリットタイムの遅れは、あまり気にならない程度のものでした。せいぜい100分の1マイルほど少ない計測誤差に収まっていました。

たとえば、スマートフォンでは3.13マイルのランニングを計測し、Ironman GPS R300での計測は3.1マイルでした。また、Apple Watch Series 5で2.13マイルのウォーキングを計測し、Ironman GPS R300では2.08マイルの計測でした。

この程度のラグが生じることは頭に入れておき、しっかり運動を開始するときに記録ボタンさえ押せば、GPSトラッキングをオンにし忘れるよりは正確な測定ができるということを意味しています。GPSシグナルの捕捉に時間がかかったので、シグナルを拾う前に走り出したときは、スマートフォンで3.4マイルの計測をしていたのに、2マイルしかIronman GPS R300では計測していませんでした。GPSをオフにしたランニングであれば、後ほど走行距離を手動で修正可能ですが、スマートフォンなしで走りたい人には不向きでしょうか。

コーチング機能は限定的。だけどモニター類は正確

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Photo: Victoria Song(Gizmodo US)

Ironman GPS R300をはめていればスマートフォンなしでも運動可能ですが、静かに走りたいという場合のみになります。Ironman GPS R300から、音楽再生コントロールはできるものの、オフラインで音楽を聴けるプレイリストの転送やBluetoothヘッドフォンとのペアリング機能は用意されていません。アプリから限定的なコーチング機能をインストール可能ですけど、かなりオプションは限られており、それほど自分が望んでいるようなカスタマイズにも対応していないようでした。

一方、運動中の心拍数測定正確で、Polar H10のチェストストラップとの誤差は、毎分5拍程度のものでしたね。睡眠モニター機能もかなり精度は高く、何時に眠って何時に目覚めたのかを正確にトラッキングしてくれます。

ただし、快眠度を示すスコアリングには疑問が残りました。飼っている猫がわけもなく午前5時に激しく鳴き出したとき、アプリは2時間12分の睡眠不足と表示したにもかかわらず、なぜか快眠スコアは92点も記録していたんですよね~。

シンクロ機能に問題あり

もうひとつ、接続に不具合を感じました。ほかのスマートウォッチに比べると、Ironman GPS R300でのシンクロやアップデートのインストールは、かなり時代遅れに思えました。とても時間がかかってしまうのです。まるでPolarやGarminの数年前のモデルみたいでした。

ちなみにこのシンクロの不具合は、通知機能の問題としても生じてきました。ときどき確認すると、スマートフォンとのBluetooth接続が切れていることがわかりました。Apple Watchからの通知は遅れず届いていたのに、何時間もIronman GPS R300からは通知が来ないことがありました。

もしかすると、これはそんなに気にすることではないのかもしれません。しかしながら、アプリや通話、テキストメッセージやメール、スマートフォンとの切断時の通知などをすべてしっかり受け取りたい場合は、手動でオンにしていく必要があります。Timex Smartのアプリから、どのアプリの通知を受け取るかを設定していけるのは便利です。ただし、Slackからの通知は、その他のアプリというオプションをたどらないと選択できないなど、使い勝手の悪いところも見受けられましたが…。

ちなみに、私はIronman GPS R300の通知を、別の理由でオフにしました。通知が届くごとに、ものすごく大きな通知音が鳴り響き、バイブレーションも派手でした。家で仕事をしているので、ほとんどは気になりませんでしたけど、ビデオ通話やブログを書いているときなどは、邪魔に感じてしまいましたね。

Timex Smartアプリの設定をいじるのは、それほど難しくありませんでしたが、通知音だけをオフにする設定は見つけられませんでした。たとえ見つけられても、バイブレーションの音だけでも大きく、ほかのスマートウォッチやフィットネストラッカーよりも気になってしまいます。

低価格でGPS機能重視なら選んでよし!

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Photo: Victoria Song(Gizmodo US)

もしかすると、Ironman GPS R300の評価は、もっと悪いかもしれません。すべてをレビューし切れたかどうか、不安なところもあります。よりフィットネスウォッチとしての機能を重視し、フル機能のスマートウォッチがもてはやされ、カジュアルウォッチとしての要素を重視するなら、もっとスタイリッシュなデザインが必要になってくるでしょう。それが今のトレンドですから。

Ironman GPS R300は、競合モデルよりも低価格で、GPS機能重視する人にのみ評価されそうです。ここを評価する人って、実際には少なくなかったりするんですけどね! でも、より機能性あふれるアプリやスタイリッシュなデザイン、サードパーティアプリなどは備わっていません。もし正確なGPS機能さえついていればよいという、ランニング重視のユーザーならば、Ironman GPS R300を選んで間違いありません。そして「安い」というのも大きなアドバンテージ。でもそこを重視しないのであれば、もっとほかによい選択肢がありそうですよね。

まとめ

・バッテリーの持ちのよさはすばらしい。

・GPS測定精度は高いものの、シグナル捕捉までにラグが生じます。

・まずまずのヘルスケア機能を備えるものの、特筆すべきものではありません。

・通知音およびバイブレーションがうるさすぎます! まるで2016年のアプリの完成度です。

・とにかくダサい。

・競合モデルより安いですけど、GPS機能を重視するランナー向けとしか考えられませんね。


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