ボランティア=無償、ではないですものね。
近年の自然災害の多発などで、NPOなどの活躍もよく耳にするようになりました。しかしその活動を十分に理解している方は少ないかもしれませんん。
IBMが運営するWebメディアMugendai(無限大)に、日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾雅隆さんが登場。「NPOは安く(タダで)働け」という固定観念を崩すには。
海外では年収1,000万円超も。日本に根強い「NPOは無給」の意識
インタビュー中で鵜尾さんは、日本の多くのNPOは課題には一生懸命向き合うものの、資金援助をする側とのコミュニケーションが欠けている点を指摘。日本ではまだなじみのない「ファンドレイジング(=NPO法人などの活動資金を、個人や法人、政府などから集める行為)」という概念を実践し、NPOに回るお金の流れを変えようと奮闘されています。
NPOという言葉には、「奉仕」「無給」といったイメージがつきまといがちです。鵜尾さんも、日本ではまだ「NPOの給与は安く抑えるべき」という意識が根強いと指摘。
アメリカでも以前はそのような風潮があったそうですが、企業と同様に「優秀な人材に適正な対価で働いてもらう」ことの価値が認識され始め、今では年収1,000万円を超えるNPO経営者もいるそう。
そのイメージを払拭するキーワードとして「インパクト評価」という言葉を紹介し、以下のように語っています。
NPOの人件費はコストです。100のお金を寄付したら、人件費は5にして、95を対象に届けてほしいというのが寄付者の思いでしょう。しかし、5の人件費を10にして、90のお金が150のインパクトを生むのだということが説明できれば、10の人件費はコストでなく投資になります。(中略)
「私たちはこんな社会変革を起こすことができるのです。そのためにぜひご支援をお願いします」と説得力を持って説明し、それをしっかり実現していることを適切に報告する態勢へと変われば、人件費への認識も大きく変わるのではないでしょうか。
鵜尾さんはまた、本来「利益分配をしない」という意味の「Nonprofit(=非営利)」が誤解を招いている可能性を指摘。海外では「ソーシャル・インパクト・オーガニゼーション(SIO)」という名称も登場していることを紹介していました。
NPOが抱えるこれら課題の解決策として、「社会的インパクトマネジメントイニシアチブ」というプロジェクトを立ち上げた鵜尾さん。
これは、「スタッフのコスト=投資」という認識を広めるために成果を可視化するもので、例えば障がい者職業訓練では、参加者数、身についたスキル、就職者数、将来の社会保障費の削減費用などを数値化し、分かりやすく提示しているといいます。
奉仕の志や精神性はもちろん重要ですが、こうして論理的にハックすることでイノベーションが加速するのでしょうね。
他にも、寄付やNPO、社会活動にもさまざまな形態があることが分かる鵜尾さんのインタビューの続きは、Mugendai(無限大)よりお楽しみください。
Source: Mugendai(無限大)