夢ってかなうんだ。
SpaceXがついに、やりました。民間企業として初めて、有人ロケットの打ち上げに成功したんです。今日5月30日午後7時22分(米国東部時間)、米フロリダ州にあるケネディ宇宙センターからSpaceXのFalcon 9が国際宇宙ステーション(ISS)に向けて飛び立ちました。米国土から宇宙飛行士が飛び立つのは9年ぶりでもあり、そういう意味でも新しい時代の始まりです。
順調なミッション
この歴史的瞬間は、最初の予定では3日前に実現となるはずだったんですが、悪天候で今日に延期になってました。でも今日は打ち上げそのものがうまくいっただけでなく、SpaceXロケットの特徴ともいえるブースターの回収も成功しました。Falcon 9のブースターは打ち上げから数分後、ドローン船Of Course I Still Love Youに着艦しました。ブースター着艦自体は前から何回も成功してますが、何回見てもほんとに魔法みたいです。
Falcon 9 booster has landed on the Of Course I Still Love You droneship! pic.twitter.com/96Nd3vsrT2
— SpaceX (@SpaceX) May 30, 2020
宇宙飛行士のDouglas Hurley氏とBob Behnken氏が乗ってる部分、宇宙船クルー・ドラゴンはFalcon 9から切り離されて、1日かけて国際宇宙ステーション(ISS)に飛びます。そして5月31日午前10:30頃(米国東部夏時間、日本では午後11:30頃)、ISSとのドッキングを試みる予定です。
Crew Dragon has separated from Falcon 9’s second stage and is on its way to the International Space Station with @Astro_Behnken and @AstroDoug! Autonomous docking at the @Space_Station will occur at ~10:30 a.m. EDT tomorrow, May 31 pic.twitter.com/bSZ6yZP2bD
— SpaceX (@SpaceX) May 30, 2020
国家から民間へ
これまで有人宇宙飛行を実現してきたのは基本的に米国やロシア、中国といった国家だけでした。宇宙船の開発や打ち上げを民間企業にも開こうという動きは1980年代からありましたが、その動きが具体的な形になったのは2010年、NASAの商業乗員輸送開発(Commercial Crew Development)からです。
今回の打ち上げはその商業乗員輸送開発の中のCrew Dragon Demo-2ミッションの一部で、このミッションはSpaceXの機材による有人飛行を検証することが目的です。このテストが成功することで、予定通りにいけば今年8月からSpaceXによる有人宇宙飛行の本運用が始まり、初飛行では日本人宇宙飛行士の野口聡一さんを含め4人を載せてISSに向かいます。2011年のスペースシャトル退役以来、米国は有人飛行に関してはロシアのソユーズに頼ってきましたが、これで再び独立性を取り戻せます。
宇宙が身近に
また今回の成功は、SpaceXにとっても大きな意味を持ちます。ちょうど1日前の5月29日、SpaceXの開発中のロケット・スターシップが4回目の打ち上げ失敗してたんですが、スターシップは前澤友作氏の出資による2023年の月旅行で使われる予定であり、昨日と今日の打ち上げでさらなる知見が手に入ったことでしょう。さらに2024年にはNASAによる有人月飛行のアルテミス計画も予定されていて、SpaceXはそこにも参画しています。
今日のテストで宇宙船クルー・ドラゴンに乗り込んだHurley氏とBehnken氏はともにスペースシャトルの経験者で、とくにHurley氏は退役ミッション、STS-135に搭乗していました。米国宇宙開発のひとつの時代の終わり、そして始まりを現在進行形で作り出してますね…!
米国から民間の有人ロケットが飛べる、そしてこれから飛ぶ予定も何回も入っているってことで、月とか火星とか宇宙全体がもっと身近に感じられてきました。この流れだと、火星移住とかもほんとにありえちゃうんじゃないかって気がしてきます。
Source: NASA