生き物の歩行パターンまで明らかに!
グランドキャニオンの有名トレイルの近くで落下した巨石から、化石化した脊椎動物の最古の足跡が見つかりました。どれくらい古いのかというと、恐竜が地球に出現するよりもはるか前である約3億1400万年前のものだとか...!
足跡の正体は、ナゾの生き物?
研究では、足跡ができた状況についてやや具体的に解き明かされています。
ひとつは、吹きさらしの砂丘をゆっくりと歩いたとされる足の長い爬虫類の生き物。もうひとつは、そのすぐ後に、もう少し速いペースでまっすぐ砂丘を登っていたとされる同じ4本足の動物(あるいは同様の生き物)による足跡だそうです。
これらの生き物が歩き去った痕跡は、湿気を帯びたのちに硬化し、砂に覆われて数億年のあいだそのままに。では、どんな生き物だったのか? その正体は特定されていませんが、陸上で受精卵を産む動物で、現代の爬虫類、哺乳類、鳥類の先祖だと考えられています。
「砂丘を歩く脊椎動物の最古の証拠」
化石化した軌道が刻まれた巨大な岩は、最近、マナカチャの崖からブライトエンジェルトレイルの近くに落下したもの。
ノルウェーの地質学教授であるAllan Krill氏は、4年前に学生たちと同エリアを散策した際、赤みがかった岩の奇妙な特徴に気づき、撮影した画像をネバダ大学ラスベガス校の古生物学者で生物の活動の痕跡について説明した最初のPLOS One著者であるStephen Rowland氏に送信したといいます。
国立公園局のプレスリリースで、Rowland氏は次のように説明しています。
これらは、豊富な化石の痕跡で知られるグランドキャニオンでもっとも古い脊椎動物の足跡です。
さらに重要なのは、爬虫類など殻付き卵を産む動物による、地球上で最も古い活動の痕跡のひとつであり、砂丘を歩く脊椎動物の最古の証拠となることです。
歩き方にも特徴が?
ひとつめの生き物は(上の画像のように)砂丘の斜面を20度ほどの角度で横切るように歩くことで急勾配を登るのを避けた可能性が示唆されています。なかなか賢そうですね...!
さらに研究によれば、この生き物は明らかに通称「後方交叉型歩行/ L-S walk」と呼ばれる歩行パターンを示していたようです。この動きは、猫がゆっくりと歩くのと同じで、片側の後脚と前脚が同時に動く(左足、左手、右足、右手、左足...の順で着地)イメージだとか。同時代でこの「L-S walk」が確認されたのは初めてのことではないかといいます。
ふたつめの足跡に関しては、ひとつめの生き物による足跡ができてから数時間または数日後、さらに砂が積もったあとにできたものだと考えられています。
歩行スピードはおよそ毎秒0.1メートルだと考えられていて、ひとつめの足跡をつけた生き物よりも速いとはいえ、かなりゆっくり移動していたことがわかります。また、この生き物はより一般的な「前方交叉型歩行」をするタイプだったようです。この動きは、犬や猫が通常通りのスピードで動く際と同じパターン(左足、右手、右足、左手、左足...の順で着地)だとか。
今回の足跡の発見は、以前の記録よりもさらに800万年前にさかのぼるといいます。歴史的にも重要な巨大な岩ですが、今後はどうなるのでしょうか。AZ Centralによれば、"不明"。というのも、Rowland氏は「管理の行き届いた環境」での展示を望んでいるものの、そうなるとヘリコプターで移動するなど複雑なプロセスが必要となるのだとか。しばらくのあいだは通りがかったハイカーの方々にはくれぐれも注意していただきたいですね、せっかく発見された(そして、約3億1400万年前から無事に現存していた)のだから...!