比べると明らかにわかる、自分の耳にオーダーメイドされたサウンド。
例年に比べて、今年は気軽にお出かけしにくくなりましたね。家にいても気分をアゲる方法はいくつかありますが、やっぱり好きな音楽を聞くってのが定番ではないでしょうか。
ところで、同じイヤホンでも人によって聞こえ方が違うって知ってました?
実は耳の聴覚特性(聞こえ方)は人それぞれ違うのです。そして、イヤホンが特性にピッタリ合った音質だともっと気持ちよく音楽が聞けるんですよ。逆に言うとですよ...あなたのイヤホンの音質があなたの耳にあっていない可能性もあるってことなんです。とはいえ、自分の耳の特性なんてどうやってチェックすれば良いのかわからないし、特性にあったイヤホンを探すなんて至難の業。
しかし! この簡単ではないことをやってのけたのが、Jabra(ジャブラ)のイヤホン向けアプリに追加された新機能「MySound(マイサウンド)」。アプリ内で聴覚テストをし、Jabraのイヤホンを自分の耳の特性に合った音に調節してくれます。MySoundを一度設定すれば、同じ音楽でもよりいっそう気持ちよく聞けるようになるのです。
まずは人によって聞こえ方の特性がどう違うのか、実例を交えて紹介していきましょう。
人によって聞こえ方が違う = 音楽体験が違う
聞こえる人と聞こえない人がいる音といえば、キィーーンと響くモスキート音が有名(関係ないけどモスキートとギズモードって似てない?)。超高周波を使った高い音で、大人になると聞こえない=聞こえたら耳が若い、なんて言われたりもしていますね。これは年齢によって聴力や聴覚の特性が違うからなのです。
さらに、モスキート音よりも高い周波数の超音波を使った防鼠装置(ぼうそそうち、ネズミ除け)なんてのもあります。人間には(ほとんど)聞こえないけど、ネズミにとっては嫌な音を出してネズミを除けているのです。一部の駅や飲食店、デパートで採用されているそうで、街で「なんか超音波が聞こえるな」と感じた人は、敏感な耳をお持ちでいらっしゃる。
こうした聞こえ方の違いは、年齢や性別といったさまざまな要素によっても異なってきます。高周波はもっともわかりやすい事例ですが、高い音以外の周波数でも聞こえ方が違います。同じ音楽でもすべての人に同じように聞こえているとは限らないんです。不思議だねぇ。
耳に合わない音質で聞くのはもったいない
じゃあ、自分の耳の特性に合ってない再生機で音楽を聞くとどうなるのか。簡潔にいうと、綺麗に聞こえません。どこかこもって聞こえたり、高音が刺さって聞こえたりします。
でもこれって「ずっとこの音で聞いてるから、そもそもこもってるかどうかわからない」ということがしばしば。音楽を聴きながら自分の耳の特性に気づくことってできるのでしょうか? MySoundを開発したJabraの担当者の方に聞いてみました。
──聞こえづらい周波数帯があると、音楽を楽しむ上でどのように影響するんですか?
Jabra:聴覚に異常などがない場合は、ご自身で自覚するのは難しいです。MySoundによる調整の前後を比較することで初めて、聞こえづらい音域を自覚する方が多いです。 比較していただくと、音の厚みや深み、音場の広がりを感じる方が多いようです。
ふむむ、やっぱり聴覚特性そのものを自覚するのは難しいみたい。家電量販店などで色んなイヤホン or ヘッドホンを試聴して、ハっとする良い音に出会えた人は、音質が自分の耳の特性にマッチしているからかもしれませんね。それくらい、聴覚特性の違いは音楽体験を変えてしまうんです。
自分の耳に合ったサウンドを作ってくれる「MySound」
音楽を自分好みの聞こえ方にする方法として、イコライザーがあります。スマホ本体やイヤホン向けのアプリに内蔵されている機能で、低音を持ち上げたり、ボーカルを聞こえやすくしたりと細かい調整ができます。イコライザーを変えるだけで聞こえ方はガラっと変わるのですが、自分の聴覚特性を把握したうえでイコライザーを調整する人はなかなかいないでしょう。「僕の耳は高音に敏感だから10KHz周辺を下げよう」なんて判断、玄人すぎますって。
そこで「MySound」の登場です。これは聴覚テストのようなもので、Jabraのアプリ「Sound+」の新機能として実装されました。使い方はJabraのイヤホンorヘッドフォンを装着しながら、画面の指示にしたがって高周波や低周波が聞こえるかどうかをチェックするだけ。
年齢と性別を入力したらテスト開始。イヤホンから小さな音が鳴るので、聞こえたタイミングでボタンをタップしていきます。実際、聞こえやすい音と聞こえにくい音がありますねぇ。右耳と左耳で順番にテストするので、左右のイヤホンで特性が変わる可能性もあるかも。テストは3分ほどで終わります。
テストが終わると、Jabraが保有する8万人以上もの聴覚特性のデータをもとに、ユーザーが聞き取りにくい音域を補う専用プロファイルが生成されます。このプロファイルはいわゆるイコライザー調整(特定の周波数を増減させている)ではあるのですが、「Sound+」内の手動イコライザーは5段階の周波数帯を調整するのに対して、「MySound」ではさらに細かく10段階の周波数を調整しているとのこと。手動よりも遥かに細かい調整がされているわけです。
さてさて、「MySound」で調整してみた感想ですが…「気持ち良い音」になりました。調整前よりハイハットが通るとかキックが出てるとか、そうした劇的な違いというよりも、音楽そのものが気持ち良く聞こえるようになった。例えばキリンジの『エイリアンズ』のサビを鳴らした場合、今まで以上にクリアに聞こえたり、より豊かなレンジに聞こえたりするんです。
自分の特性を知ると、もっと心地良く音楽が聞ける
Jabraが属するGNグループは補聴器やヘッドセットでも高いシェアを誇っており、オーディオのプロであるとともに耳のプロでもあります。
「MySound」はいうなれば、自分で勝手に味付けしていたステーキを、一度プロに味付けしてもらうようなもの。好き勝手に塩コショウをかけても美味しいけど、プロの手にかかれば「お客さんの舌はちょっと敏感だから塩は控えめに、コショウは粗挽きより粉末の方がお好みかな」と、パーソナライズしてくれる。同じ肉(音楽)とは思えない美味しさになるんだから、特性の違い恐るべし!
もちろん、「MySound」を使ってからさらに手動でイコライザーを調整してもOKです。せっかく特性を合わせたのにいじっちゃって良いの?と思うかもしれませんが、Jabraいわく問題ないとのこと。実際、「MySound」で調整してからイコライザーをいじると、以前に比べて明らかに心地良く聞こえるようになりました。これ、オススメの使い方。
人の耳は千差万別。せっかくそれなりの金額のイヤホンを買ったのなら、自分の耳に見合った音質で聞きたいですよね。「MySound」を使って、秘められていた真のサウンド体験を味わっちゃって下さいな。
「MySound」は下記のヘッドホン、イヤホンに対応しています。
Photo: 小原啓樹
Source: Jabra