17.3インチの窓が、暮らしに動きを与える。アートフレーム「Mono X7」レビュー

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  • author ヤマダユウス型
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17.3インチの窓が、暮らしに動きを与える。アートフレーム「Mono X7」レビュー
Photo: ヤマダユウス型

意外とメンタルに影響があって、驚き。

デジタルアートというと、精巧に作られた3DCG作品だったり、ライゾマティクスのようなきらびやかなショウだったり、色々な方向で連想するかと思います。Wikiによるとその定義はコンピューターを使って芸術作品を作ることだそう。え、今の世の中ほとんどそうでは?

とかく、世の中にはデジタルによるアート作品が溢れている。そんなアートにもうちょっと目を向けてみまっしょいということで、台湾を拠点とするFRAMED社からデジタルアート作品を表示するアートフレーム「Mono X7」が発売されました。

超絶シンプルに説明するなら、壁に貼り付けて使うデジタルフォトフレームです。フォトフレームとの違いは、Chromium OSをベースとしたブラウザ・アプリとの連携。フォトフレームのように写真を映す以外に、世界中のデジタルアーティストの作品を購入し投影することもできます。試作機をお借りできたので、レビューをお届けしましょう。

薄型の本体にあらゆる画像を投影

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「Mono X7」本体は、1920×1080pxの17.3インチ非光沢LEDディスプレイ。視野角は180度を謳っており、斜めから見ても高精細に表示されます。重さは1.6kg、ディスプレイ厚は5mm。専用アダプターをType-C端子に接続して起動します(バッテリー駆動ではない)。背後のコンソールは10mmほど出っ張っており、透明のL字カバーがベルクロで接着されています。壁への取り付けには、このL字カバーに両面テープを取り付けて接着しました。

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上下移動ボタン、メニューボタン、電源ボタンの4ボタンを搭載。ボタンは電源オンオフのほか、初期設定時に使用しますが、基本的にはあまり使いません。ほとんどの操作はアプリとブラウザで行ないます。

まず専用アプリを介して「Mono X7」をホームネットワークのWi-Fiに接続してあげます。初期Amazon Echoのように、SSIDとパスワードを「Mono X7」に教えてやって、スマホと連携すればOK。このときに、デジタルアートのエコシステムビジネスを展開している「FRAMED」のアカウントを作成します。

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あとはアプリを起動して、画像を「Mono X7」に投影するだけ。投影できる画像は、マイページやフィードといったSNSライクなUIから検索することができます。

で、この画像登録が一癖ありまして。手持ちのjpgなどを直接マイページにアップロードする、という仕組みではなく、画像URLを拾ってきてマイページに追加するという工程になります。この方法の利点は、Webで見かけた良さげな画像やgifアニメーションを好きなだけ表示できる点。デメリットは、解像度が足りない可能性があることと、手持ちの写真を投影したい場合にいくつか工程が必要という点です。

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例えばこの写真は僕のHDDにあったもの。投影するためには末尾が.jpgのアップロードURLが必要なので、Tumblrにアップロード(原寸だとサイズオーバーなので縦1920pxにリサイズ)→画像URLをコピー→FRAMEDのマイページに追加、という手順を踏みました。ちな、Flickrの画像は末尾がjpgにならないから投影できませんが、Twitterはjpgでないのに投影できました。んんー?

まぁちょいと癖のある使い方ですが、本体のUSB Type-A端子を介して直接画像を登録することもできます。対応フォーマットはjpg、png、gif、raw、bmp、mpeg、mov、avi、flash…と非常に豊富。そう、動画もイケるのです。なんならアニメーションの表示こそ、こやつの真骨頂なんです。

無限にジャンルを選べるビジュアライザー

最初の方は自分の写真を投影して「おお、綺麗に表示されてるじゃないか」と喜んでいました。デジタルフレームに自分の写真を映すと、なんだか展示っぽくなってカッコいい。ベゼルが薄いおかげでシュっとして見えます。

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ですが、FRAMEDのフィードを眺めてみると、世界中のデジタルアーティストが手掛けた見ごたえある画像─いや、画像というよりもアートと呼ぶべきでしょう─アート作品ががたくさん並んでるんです。なかにはループアニメーションになっているものもありました。

試しにひとつ投影してみましょう。ほいっとな。

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……なんだか良いじゃん。もういっちょ、ほいっとな。

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おおー良いじゃん良いじゃん。なんかこう、感性に訴えかけるものがあるじゃん。

ってか「Mono X7」ってこう使うのか!

と、ヤマダ(筆者)に電撃が走りました。画像を投影するのも良いけど、アニメーションを投影すると空間に動きが生まれるんです。それはアニメーションが動いてるという意味ではなく、部屋そのものが少しだけ動的になるというか。例えば、部屋のインテリアに明るい色を取り入れると気分も明るくなるって言いますよね。じゃあそのインテリアの色やカタチが、ある法則性に従って循環していたら? ニュートンのゆりかごが永遠に止まらないとしたら?

そこまで哲学的な境地にたどり着いてはいませんが、iTunesやWindowsメディアプレイヤーのビジュアライザにうっとりしたことがあるなら、その心地良さに近いといえば伝わるはず。「Mono X7」をリビングや自室などいろんな場所に設置してみましたが、作業用PCの近くに設置して視界の端にチラリと見えるようにすると、なんだか良い感じでした。

iTunesのビジュアライザのカスタムにハマってた頃は、いろんなビジュアライザを個人サイトからDLしたものです。なんでしょうね、あの心地良さって。もっと小さい頃だと神戸ハーバーランドのボールマシーンを何時間も見ていましたし、ループモノへの陶酔感みたいなのがあったのかしら。え、あれってアメリカに修理に出てたたこともあるの!? ほへー。

この窓は、僕らの暮らしを少しだけ彩ってくれる

フォトフレームに似ているだけに、「Mono X7」のことは画像を投影する装置だと思っていました。でも、フィードで見つけたオサレなイラストやアニメーションを投影し、その存在感を楽しむうちに、このガジェットがフォトフレームではなくアートフレームと名乗る理由がわかった気がします。

「Mono X7」は、暮らしとアートを繋ぐ枠であり、インスピレーションの窓になるガジェットです。アートなんて高尚なものは自分の暮らしには関係ないと思っていたけど、「デジタルアートとは何ぞや」なんて考える必要はなく、ビビっときたものを暮らしに取り入れるだけで良かったんです。SNSで見かける良い感じのgifに良いねするのと同じです。ビー・カジュアル。

それに、アートアートするのに疲れたら簡単に投影する画像を変えられますしね。このへんはポスターを張り替えるのと近い感覚です。

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最後に諸情報のまとめを。ポータルであるFRAMEDやアプリではアート作品の販売もされており、気に入った作品は購入が可能です。また、画像のスライドショーやYouTube動画の表示などもアップデートで実装予定とのこと。

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「Mono X7」は予約販売を受付中で、通常価格4万9800円のところ、2020年9月30日(水)までの先行予約で3万9800円で購入可能。自分の感性にはないアート(存在)が暮らしに混ざる体験、なかなかに新鮮でした。


Source: Mono X7

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