毎日の食事に感謝。
高齢化や後継者不足が深刻化する、日本の農業。その現状を極小の泡と先端テクノロジーで変革しようとする企業が、IBMのWebメディアMugendai(無限大)に登場していました。
明治19年に創業した老舗が、AIにたどり着いたワケとは。
秘密は0.001mmの泡。農薬を抑え、病気になりにくい「ナノバブルウォーター」
インタビューに登場していたのは、「日本を農業で元気にする」をビジョンに掲げる、株式会社カクイチ代表取締役社長の田中離有さん。
創業から135年を数える老舗の同社は、創業以来多くの事業を展開していますが、その中の一つが極小の酸素の泡(ナノバブル)を取り込んだ「ナノバブルウォーター(直径が1μm以下の気泡を含んだ水)」の開発です。
当初は飲料用途で開発したものの、後に農作物の発達を促すことが判明。元々顧客の8割が農家だったこともあり、「恩返しをしよう」と事業が始まったそう。
実際、試用してくれる農家を募ったところ、「農薬の量が抑えられる」「作物が病気にならない」といったポジティブな報告が多数寄せられたといいます。
勘と経験頼りだった農業技術。「知の共有」で実現する未来とは
見事農家への恩返しを果たした同社が、ナノバブルウォーターを使って次に目指すのが、AIを活用した「農業革命」。
農業は、土壌や温度、季節や場所などさまざまな要因が複雑に絡み合っているため、再現性の低い事業といわれているそうです。どのような環境下でも再現性を高めるには、水以外にもさまざまなデータを集めることが必要だそう。
そこで同社は、気温、湿度、地中温、気象などが測れるセンサーを各農家に提供。それらをビッグデータとして貯め、AIの力によって有用な形にして農家に還元することで、これまで経験や勘に頼ってきた農業技術の「見える化」を目指しているといいます。
同社ではこれをサブスクリプションとして各農家に提供することで、孤立しがちだった農家同士のコミュニケーション強化にも取り組んでいるそうです。
今後の抱負について、田中さんは以下のように語っています。
農業変革が進めば、再現性の高い農業が実現するでしょう。再現性の高い農業は、先が見通せる上、収穫量つまり収入の安定や増加をもたらすと考えています。収入問題が解決すれば、農業が抱える課題の1つである後継者問題もおのずと解決に向かうはず。どんどん日本の農業にイノベーションを起こし、日本を農業で元気にしたいですね。
長い歴史を持ちながらも、農業にはまだまだ可能性があると田中さんは考えているようです。
その他にも、地域社会の問題解決に取り組む同社の試みの続きは、Mugendai(無限大)よりお楽しみください。
Source: Mugendai(無限大)