スクリーンに直接食べ物を置きたいかどうかは別として。
タッチスクリーンを可能にするキャパシタ技術は、私達の指やスタイラスだけに限定された技術ではありません。ということで、今年のノーベル科学賞の有力候補だと思うのですが、とある研究者が、ベーキングされた食べ物でもタッチスクリーンが反応することを発見し、しかも焼くときのちょっとした工夫で、iPadがマフィンの種類を識別できるようにしたのです。
タッチスクリーンは焼きたてほやほやを感知できる
ベルギーのハッセルト大学、Expertise Center for Digital Mediaの博士研究員であるFlorian Heller氏は、タッチスクリーンの電界において、人間の皮膚や金属以外でも静電容量を変化させることができると気づきました。ベーキングされた食べ物、特に焼き立てほやほやのものであれば、通電するのに十分な湿気を含んでいることがわかったのです。通電させることができれば、タッチスクリーンに認識させることができます。
マフィンの底にタッチポイントを作って識別させる
でも、触れたことがわかるだけでは面白くないですよね ? 先日公開された論文『 Muffidgets: Detecting and Identifying Edible Pastry Tangibles on Capacitive Touchscreens』において、Heller氏は研究チームが発案した特別なベーキングテクニックを紹介しています。マフィンの材料自体は、ひまわり油や水など一般的なレシピ通りでしたが、カップの底に特製のノッチのついた型を敷くことで、マフィンの底が特殊なパターンのタッチポイントになるようにしています。
静電容量式タッチスクリーン は同時に複数のタッチを検知できるので、Heller氏はタッチポイントのパターンを複数デザインすることで、iPadのようなデバイスがマフィンの種類を識別できるようにしたのです。
アイデア次第で使い方いろいろ
こんな研究意味あるの? と思うかもしれませんが、使い方はいろいろ考えられます。パーソナライズされた、ちょっとした遊び心(朝食の時、マフィンを置くとパートナーからのメッセージが表示されたり)をくすぐるようなこともできるし、特定の焼き菓子の内容物を表示させたりもできるでしょう。アレルゲンとなるような材料を確認したい場合に、携帯のスクリーンに置くだけでチェックできるわけです。他にもカロリーや動物性物質の有無、あるいは単純にレシピへのリンクにすることもできるでしょう。もちろん、油でベタベタになったスクリーンを掃除したあとに、ですけど。