バンド部分までスクリーンなApple Watchが出たら、どう思う?

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  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • Rina Fukazu
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バンド部分までスクリーンなApple Watchが出たら、どう思う?

画面、見づらいのかな。

アップルウォッチの新しい特許情報が出てきたことについて、米GizmodoのVictoria Songが思うところを書いています。以前から、スマートウォッチのデザインは(微調整とか些細な変更ではなくて)大幅に変わることはないのだろうかと疑問を投げかけてきた彼女ですが、ウェアラブルとフレキシブルな画面の組み合わせについては「耐久性、快適性、耐水性、通気性に優れ、バッテリーを大量に消費しないのであれば良いけれど...」と懸念点があるみたいです。


手首に伸びるフレキシブルな有機ELディスプレイって、ちょっとサイバーパンクな感じがありますよね。でもこれ、SF作家や映画製作者以外には特にメリットがないような、ウェアラブルデザインの悪い例なんです。

なんでそんな話をしているのかというと、AppleのアナリストであるMing-Chi Kuo氏が数か月前、次期アップルウォッチの"改良フォームファクタ"について示唆していたことがあります。販売当初から大きなデザイン変更を遂げていないアップルウォッチですが、いつか変わらないかしらと願い続けてきたのは私だけではないはず。

そんななかMacRumorsが発見したのが、アップルウォッチ最新の特許にまつわる情報。腕に巻きつけるタイプのフレキシブルなディスプレイを搭載したモデル案です。

丸みを帯びた輪郭のディスプレイで、柔らかく「ユーザーの腕の形状に合わせて」調整することができるというもの。ベゼルを完全になくすことができると考えられます。「アクセサリマネージャー」を使ってストラップをカスタマイズできるようになる可能性もあるとか。また、バッテリーやプロセッサーなどのセンサーやその他部品は、ディスプレイユニットの背面付近に格納できるかもしれないとのこと。

...これって、どうなんでしょうね? ウォッチフェイスは丸くて、ベゼルは細い(あるいはなし)、ストラップ部分もデジタル仕様とな。一見すると、スマートウォッチの現状を変えてくれるのかなというワクワク感もあります。が、これは正直あまり使いやすくはないデザインなのでは、と思っています。なぜそう断言したのか、フレキシブルなディスプレイを搭載したスマートウォッチを使った経験を踏まえつつ説明させてください。

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アップルによる、フレキシブルな画面を持つスマートウォッチ案
Image: USPTO

まずは、開発者はすべてのアプリを新しいフォームファクタに合わせて完全に作り直す必要があります。同じく腕に巻きつけるタイプのNubia Watchをテストしたとき、基本的なアプリさえも使うのが不便だったのを覚えています。画面が縦に長く伸びていることから、手首の中心に必要な情報がないときはいちいち腕をひねる動作が必要でした。この表現でどれだけの人に伝わるかはわかりませんが、たとえるならば『スター・ウォーズ』のオープニングをスクロールし続けなければならない感覚です。正方形のディスプレイについては何とでも言えますが、スマホと同じ形をしているので、通知を読む作業は断然ラクです。

デジタルなバンド部分に関しては、かっこいいかそうでないかでいえば、前者です。でも、扱いやすいか扱いにくいかでいったら、後者です。物理的なバンドの良いところは、自分の肌に合った素材を選べること。シリコンストラップは長くつけているとかぶれてしまいますが、少なくともナイロンやレザーのバンドを買うという選択肢があります。ストラップをスクリーンにするとなると、傷つきやすく、通気性の悪いデリケートな素材に限定されることになります。ストラップ部分がサードパーティの開発者にも開かれていたら良いのかもしれませんが、Apple Watchなら、アップルが承認した数少ないストラップに限られることになります。

フィット感についても、個人的にはあまり期待していません。前述のNubia Watchは、フレキシブルなスクリーンであっても、部品を適切に収納できるようにある程度の剛性が必要なため大きな隙間ができる箇所もありました。私の手首には大きな違和感があって、ぴったりしすぎているのと同時にゆるすぎる感じがしたのです。

そういえばアップルの特許は、現在の技術ではこうした腕に巻き付くタイプのスマートウォッチが空気や水分による劣化に弱いことを認めています。現代人は、スマートウォッチをつけながら手を洗ったり(watchOS 7の手洗いタイマーは非常に素晴らしい)、皿洗いをしたり、雨のなかを移動したり、運動したら汗をかいたりするものです。剛性が高く、耐久性が低いという組み合わせは、優れたスマートウォッチのデザインに反するはず。また、画面サイズを大きくすることで、バッテリーの持ちが悪くなるというシナリオもできれば避けたいですよね。

もちろん、特許を取得したデザインであっても、その多くは日の目を見ることがありません。テック企業が念のためにアイデアをキープしておく、というケースがしばしばです。でも、もしこのフォームファクタを実現する方法を見つけられる企業があるとすれば、それはおそらくアップルなのでしょう。

フレキシブルなスクリーンは、スマホやロール収納式のテレビなら活躍の幅があるかもしれません。でも、ウェアラブルではどうなんでしょう? 耐久性、快適性、耐水性、通気性に優れ、バッテリーを大量に消耗しないフレキシブルディスプレイができるというのならこのアイデアは大歓迎ですが、それまでは寝かせておいた方が良いのではと思っています。みなさんはどう思いますか?